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クリントイーストウッドは僕らを大人にしてくれた

「僕の昭和スケッチ」93枚目

100マカロニウエスタン

<「マカロニウエスタンの頃」画/© 2021 もりおゆう 水彩/ガッシュ>

戦後の貧しい時代に庶民の娯楽の筆頭は映画でした。
しかし、昭和も40年代に入ると生活は少しずつ上向いて行き、何処の家庭にもテレビがあるようになると、この新しい無料映像コンテンツによって映画は斜陽の兆しを見せ始めます。
昭和20年代、30年代とうって変わり、映画館が立ち見で一杯になるような事も次第に少なくなっていき、特に日本映画は時代劇離れも重なり観客動員数は右肩下がりとなっていく時代にはいります。時代は極貧の戦後から一億総中流へと、どんどん変わりつつありました。

そんな中、中学生になった僕が夢中になったのが洋画でした。

それまで、東映の時代劇や東宝の怪獣映画、加山雄三の若大将シリーズばかり見ていた僕が何故急に洋画ファンになったかはよく判りませんが、きっと僕もそんな年頃だったのでしょう。洋画を見る事は大人への入り口だったのです。

洋画雑誌「スクリーン」を買い始めたのもその頃でした。字幕で映画を見たり、渋い男優やセクシーな女優の名前を覚えたり、新作映画の情報を仕入れてクラスの女の子と話したり、、、、馬鹿みたいかも知れませんが、そんな事の一つ一つが大人の世界に入っていくようで何かワクワクした気分でした。懐かしい日々です。

その洋画で当時大ヒットしていたのがマカロニウエスタン映画!
僕もよく見に行きました!!

最初に出会ったのは、西部劇の名作「夕陽のガンマン」! 
(*実は、このマカロニウエスタン映画というのは、西部劇なので僕らは当然アメリカ(ハリウッド)映画だと思っていたのですが、実際はイタリア映画でそのためマカロニウエスタンと呼ばれていたのでした)

主演はアメリカの若き俳優クリントイーストウッド

後に「ダーティハリー」で確固たる地位を築く彼は、背が高くイケメンで、何処か遠くを見ているような目差しでスクリーンに登場し、台詞回しはアンニュイ、、、大人のカッコ良さ満載でした。
とにかく、立っているだけでカッコイイのです。
それと、字幕で観ていたのが良かったと思うのですが、あの声にも憧れました。イーストウッドには、一時代前のジョン・ウェインのようなオジさんっぽさはなく、僕らの兄貴分のような新時代の雰囲気をあの格好いいポンチョと共に身に纏っていたのです。

「君達、早く大人になりなよ」
とスクリーンの中からイーストウッドが言っているようでした。

そう言えば、バック・トゥ・ザ・フューチャー3(西部劇編)の中でマイケル・J・フォックス演じるマーティ・マクフライが名前を聞かれて「クリントイーストウッド」と名乗って観客を笑わせる名シーンがありましたね。スピルバーグはああいうくすぐりが上手です。

「あんなカッコいい男になれたらいいなあ…、
 きっと女の子にもてるだろうなぁ、、、」
イーストウッドは、大人への架け橋にいた僕らの憧れでした。

年を重ねると共にクリントイーストウッドは渋みを増して名優となり、グラン・トリノ等もいい映画なのですが、やはり僕は西部の街に立つ若き日のガンマン・イーストウッドが好きなのです。



😊今日でnoteを始めてちょうど1年が経ちました。
 1年間有り難うございました!


*クリントイーストウッド 1930年〜 アメリカの俳優にして監督
*マカロニウエスタン映画のヒット作には何故か夕陽とか空をタイトルに冠したものが多い.
「夕陽のガンマン」1965年 監督/セルジオ・レオーネ
 「夕陽の用心棒」1965年
 監督/ ドゥッチョ・テッサリ 主演/ジュリアーノジェンマ
 「星空の用心棒」1967年
 監督/スタン・ヴァンス 主演/ジュリアーノジェンマ
*スクリーン 近代映画社が1946年に創刊した洋画専門の映画雑誌. 映画愛好者のバイブル.
*ちなみに、上のイラストは著作権に配慮し、特定の映画の看板ではなく、マカロニウエスタン映画全体のイメージとして描いてあります。
By the way, in consideration of copyright, the above illustration is drawn as an image of the whole macaroni western movie, not as a signboard of a specific movie. 

<© 2021 もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(This picture and text are protected by copyright. 2021.Yu Morio)

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