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季節外れだけど(°▽°)【へんいちエッセイ講座・参加作品】/2分で読める子育てエッセイ№828『あれ? お面どこ?』

娘と息子が園児だった頃。

幼稚園では季節ごとの行事を取り入れることが多く、節分には子供たちが一生懸命色を塗った個性的なお面をつけて帰ってきたこともあった。毎年、その日は幼稚園から帰ってくるなり娘も息子も「鬼が来た!」と大興奮。
あとでその豆まきの様子を写真で見ると、ひときわ目立っていたのが鬼役の先生。鬼の役作りが徹底しており、真っ赤な全身タイツに大迫力の金棒を手にして仁王立ちしていた。「鬼役の先生だれ?」と、いくら見ても考えても分からない。きっと園児から見れば鬼そのもの。園児たちが感情爆発させ、鬼を見るなり全力で逃げ出す子、泣きわめく子、果敢に鬼に豆をぶつけにいく子、あまりの非日常的な存在に傍観する子と、表情がそれぞれなのも納得した。



現在、小学生のうちの子供たち。さすがに鬼が来たと驚くことはなくなり、ここ数年、わが家でも豆まきを楽しむようになった。鬼役は親だけではなく、子供もやりたがる。それはわが家のルール、鬼が豆を投げ返してもOKにしてから。一方的に痛い思いをせずにすみ、不公平感も少なくゲーム性が高いので盛り上がる。
でも実際にやってみると、子供たちが鬼のときはみんなどこか遠慮がち。
「息子は小3で小さいから」とか「小6のお姉ちゃんにぶつけたらかわいそう」などと、何かしらの救済措置が思い浮かぶ。

つづいてワタクシが鬼になったとき。鬼のお面の母に対して子供たちがやっぱり遠慮がちだったので、ワタクシが先制攻撃をしかけた。
「そりゃ~!」
すると突如、キランと目を輝かせた子供たち。
「鬼は~外~! 鬼は外、鬼は外!」
手に握れるだけの豆を掴むと、全力遠慮なしにワタクシにぶつけ返してきた。豆をつかみ取っては投げ、つかんでは投げ、バトルがどんどんヒートアップ。
「豆、豆が足らな~い!」
投げては拾い、拾っては投げる豆は、どこに投げ散らかされたのかどんどん数が少なくなるので豆自体も取りあいに。
オマケに鬼を追いかけ走り回るので、豆はだんだん粉々に。
「ピピピピピピ・・・」
タイマーが鳴ってもだれもやめる気配すらなし。こちらも負けじと応戦しているうちに、ワタクシいつの間にか鬼の形相。
「こら待て~!」
「お母さん、顔、顔こわーい!」
本気100%で子供たちと豆をぶつけ合った。そして、終わった後で気がついた「あれ? お面どこ?」。わが家では、幼稚園の先生のように鬼の役作りはいらないと悟った。

みんなで後片付けをしながら
「これだけ徹底的にやれば、鬼はどこかに行ってくれたに違いない」
と大満足。ワタクシ豆まきの余韻を楽しんでいたそのとき、ハタと気がついた。

「福の神は・・・逃げてないよね?」



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この作品は、元編集者で先輩noterの「へんいちさん」が主宰されているエッセイ講座中級Ⅴ期に参加した作品です。テーマは「役作り」。

テーマがあり文字数があるというのは、ちょっぴりハードルが上がるけれど、もしも原稿の依頼が来るとしたら、条件が付くのはきっとテーマと文字数制限。ワタクシ慌てないように、こっそりと修行中です(⌒∇⌒)


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ワタクシ毎年、子供たちとの節分の記録を書いていたので、今回の作品が節分の作品・4作目となるのかと思いきや、まさかの5作目。
毎年毎年お付き合いいただいている皆様。本当にありがとうございます(⌒∇⌒)


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