見出し画像

使う予定もない、ヌードシーンの撮影

映画にしかり
ドラマにしかり
『撮影したけど、お蔵入り(使わない)になってしまうシーン』
はどうしてもあります。


お蔵入りになる理由も様々で
『撮影してみたけど、思い描いていたシーンにならなかった』
という、
クリエイティブな理由もあれば、
『作品の時間を短くするために、無くさなければならなくなった』
という、
作品の時間的な制限による理由の場合もあります。


これらはどうしても仕方がないことで、
納得をしなければならないのですが、
どうしても納得がいかない撮影がありました。


それは
「とりあえず、撮っとくか」
というもの。


「とりあえず、撮っとくか」
で撮影されたシーンで
実際に本編で使われたシーンを私は知りません。


映画もドラマも
台本(脚本)があり、緻密なスケジュールから製作されています。


この
「とりあえず、撮っとくか」
は、
時間が余ったから、とか
脚本にないけども突然の思いつきで、とか
なんともいい加減な理由で撮影されることがありました。


その中でも
『使う予定のない、ヌードシーンの撮影』
は、
どうしても我慢ができませんでした。


撮影前に配られていた台本(脚本)にはなく、
撮影所にいくと突然監督がA4の紙を持ってきて
「使うかわからないんですけど、今日ちょっとこれを撮ります」
と言ってきました。

撮影現場では
『監督の言うことが絶対』
です。

そこに逆らうことはできません。

しかし、
どうしても納得がいかず
「監督!この撮影は必要ですか?」
と意見をさせて頂きました。


「なんだ?ファインドプロの女優はヌードにもなれないのか?」
「あーあ。もうファインドプロさんの俳優は使われないね」

という声を横目に、
うちの女優を守るために、
戦ったつもりです。

結果的に
うちの女優のヌードを撮ることにはなりませんでしたが、
他の役の方が代わりにヌードになることになりました。

結果、
映画本編で使われたかというと。

もちろん、
使われませんでした。


一体、
なぜあのシーンが必要だったのか。

今でもわかりませんが、
今でも監督のパソコンの中に
彼女のヌードシーンがあると思うと
なんとも気持ちの悪い話です。


映画などで描かれるラブシーンやヌードシーンの撮影をサポートする
『インティマシー・コーディネーター』
が注目を集めていますが、
彼らを雇うには、
それ相当のお金が必要です。

小さな役、
少ない出演料では
とうてい雇うことはできず、
使う予定もないラブシーンやヌードシーンの撮影に
応じるしかなかった女優は、
少なくないと思っています。


⇒ 小説『地図を探して』:目次はこちら

※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?