投稿サイトのランキング・数値の「精度」を上げるには、どうしたら良いのか?(ユーザーレベルで出来ること)
【カギとなるのは、サイレント・マジョリティーの「見えないニーズ」】
サイレント・マジョリティーという言葉を聞いたことがありますか?
「多数派」でありながら「声を上げない」「意思を示さない」ために「姿が見えない」「存在しているのかどうかすら分からない」――そんな人たちのことです。
逆に「声高に意見を言う」ために「少数派」でありながら「目立つ」「存在感がある」人たちのことを「ノイジー・マイノリティー(あるいはラウド・マイノリティー)」と呼びます。
実際、過去のSNSの炎上事件(名誉棄損)で「犯人(最初にそれを言い出した人)はたった数人の『少数者』だった」という事例がありました。
1つの意見・情報が何かの拍子で大量拡散されてしまう現代では、ほんのわずかな「少数者」の意見が、あたかも「大多数の人間の意見」のように罷り通ってしまうことが、多々あるのです。
だとしたらコンテンツの「人気」――サイトのランキングや数値評価についても、同じことが言えるのではないでしょうか?
■アクションするのは「少数者」のみという現実
イーロン・マスク氏が、Twitterに「表示回数」の表示機能を追加する際、こんなことを言いました。
「Twitterユーザーの9割以上は、ツイートを読むことはあっても、ツイートやリプライ、『いいね』のような目に見えるアクションはしない」…と(原文から抜粋&意訳)。
小説投稿サイトの読者のアクションについても「同じ」かと思われます。
実際自分も、とある小説投稿サイトの「読者の動向」を見て「作品にリアクションをくれる読者って、こんなに少ないのか!」とショックを受けたことがあります↓。
(ちなみに総作品数7417(調査日の時点で)という規模のサイトですが、直近1ヶ月(当時)の「アクションした読者」の数が24人。しかも「評価」の8割以上を1人の人間のアクションが占めているという「ノイジー・マイノリティーの見本」のような状況でした…。↓)
つまり、作品に評価をくれたり、ブクマやお気に入りをしてくれる読者というのは、その時点でかなりレアで「貴重」な読者なのです。
大多数の読者は、作品を読んだとしても(そしてそれを気に入ったとしても)特に何の反応もしない――そういうものなのではないでしょうか?
なぜなら、そういったアクションをしなくても「普通に作品は読める(※)」からです。
アクションを起こすには、大なり小なりのエネルギーが要ります。
評価やブクマをするのに「アカウントが必要」という、システム面での「手間」もあります。
(作品を発表するのにアカウントが必須な「作者」と違い、「読者」はアカウント無しでも作品が読めるため、持っていない人は多いと思います。)
ほとんどの人間は「ちょっと面白い」くらいでは、そんなエネルギーや手間はかけてくれない(特に、そのためだけにアカウントを取るなんて、そうそうない)――そういうことなのではないでしょうか?
しかし、そんな「アクションしない読者」の存在が、小説投稿サイトの在り方を歪めている可能性は、大いにあります。
■人気があってもアクションが無ければランキングは上昇しない
「アクションをする読者が少数しかいない」ことで問題になるのは、それによって「ランキングの順位やポイント数値が左右されてしまう」ことです。
小説投稿サイトのポイントは、読者のアクションによって変わります。
PVやアクセス数はポイントにならないサイトもありますし…
ポイントになったとしても「アクションによるポイント」との差がエグいサイトもあります(※)。
同じくらいの人気がある小説でも、読者のアクションが「あるか・無いか」で数値や順位が天と地ほどに離れてしまうのです。
他の物書きさんの記事で「SNSなどで宣伝しても、数値が伸びない(その実感が無い)」という内容のものを読んだことがありますが…
それはおそらく、SNSで人を集められても、その人がアクションしない(もしくは、そもそもアカウントを持っていない)場合、成果に結びつかないからだと思われます。
(アカウントを持っている(そしてアクションする意欲のある)読者の目に留まる可能性もありますので、個人的には、SNSでの活動自体に意味が無いとは思いません。)
■ランキングはノイジー・マイノリティーの「好み」に偏っていく
「アクションする読者」によってランキング順位が左右されるということは、そのまま「ランキングが『アクションする読者』の好みに偏っていく」ということでもあります。
皆さん、小説投稿サイトのランキングを見て「内容(要素・属性)が偏っているな」と感じたことはありませんか?
実際、自分は過去、とあるサイトのランキングTOP10が全て「ざまぁ要素」で固められているのを見たことがあります。
(あと、上位のほとんどが「妊娠中や子育て中に夫が浮気や裏切りをして、最終的にその夫がヒドい目に遭う話」ばかりで、「このサイトには『夫に不満を持つ子持ち主婦層』しかいないのか!?」と思ったこともあります。)
それとサイト研究の一環で、新着小説の一覧をモニタリングしていた時、恋愛ファンタジー系の作品にはどんどん「お気に入り」がついていくのに、その他のジャンル(特に、オリジナリティーが高そうな作品)には全く「お気に入り」がつかず、「『お気に』する人の『作品の好み』が偏り過ぎでは!?」と慄いたこともあります。
…しかし、それらの状況は「アクションをする読者」の好みが「ソレ」というだけの話です。
読者の全てが「そういう好み」とは限りません。
(…というか、この多様性の時代に、人間の「好み」が1種類しか存在しないなど、不自然過ぎて恐ろしいです…。)
マンガやアニメなど他コンテンツに目をやれば、ランキング上位はほど良く様々なジャンルが入り交じっていますので、システム的に小説コンテンツに「偏りが出やすい」というだけの話なのでしょう。
…ただ、その「偏り」が長期に渡って続くと、読者自体がそちらに偏ってくる可能性もあります。
なぜなら、小説投稿サイトは作品の露出機会が少なく(&検索機能がイマイチなことが多く)ランキングから小説を探すユーザーが多いからです。
「ランキングが好みに合う」ユーザーは、そのままサイトに定着してくれるでしょうが…
「好みに合わなかった」ユーザーは、読みたい小説が見つからず、サイトを去ってしまう可能性があります。
そうやって読者の自然淘汰が起こった結果、「サイトに残っている読者」が「そういう好みを持つ読者ばかり」になっている可能性も否定できないのです。
■「アクションする読者」が増えれば、偏りは解消される?
サイトの評価・ランキングが一部のノイジー・マイノリティーの好みに偏らず、本当の意味での「人気」が反映されるようになるには、どうしたら良いのか…
単純に考えれば「サイレント・マジョリティーだった人たちが、もっとアクションするようになれば良い」ですよね?
実際、読者のアクションを促す施策を行っているサイトもあります↓。
あるいは「選択肢を選んでクリックorタップするだけでアクションできる『ひとこと感想』システム」のような、アクションのハードルを下げる機能を取り入れているサイトもあります(ベリーズカフェさん&野いちごさん&ノベマ!さんのスターツ出版系3サイト。詳細は別記事にまとめてあります↓)。
ただ…「これで全てが解決」というほど単純な問題ではないと、自分は考えています。
なぜなら「アクションする意欲のある読者」が増えても、その読者が「現時点でランキングに載っていない(埋もれている)高クオリティーの小説」を見出してくれないことには、状況は変わらないからです。
困ったことに、人は「目に見える数値」に踊らされる生き物です。
「行列ができている店」と「人が全く並んでいない店」とでは、「行列の店」の方が良く見えてしまうのが、人という生き物です。
特に「他人の目を気にする」「同調圧力に流されやすい」日本人にはその傾向が強く、「自分の意思や好み」より、ランキング・数値の高低を気にする「ランキング神話」「数値信仰」の信者が数多くいるようです。
数字は数字を呼び、高い数字が表れている場所にはさらなる人が寄っていき、数字が低い場所には人がなかなか寄りつかない…そんな両極端な現象が起こってしまいます。
「アクションする気のある読者」が増えても、その読者が皆「ノイジー・マイノリティーが既に数字を高めている作品」にばかり寄って行ったら、意味が無いのです。
■精度の高いサイトには「スコッパー」と「ファーストペンギン」が不可欠
サイトの精度を高めるために必要不可欠なのが「スコッパー」と「ファーストペンギン」です。
スコッパーは「作品発掘者」。埋もれている名作を見出してくれる人のことです。
ファーストペンギンは「まだ誰も挑んでいないモノに最初に挑戦する人」――ここでは、まだ誰も評価していない作品を読んでくれる(評価をつけてくれる)人のことです。
このどちらにも必要な資質があります。
それは「数値や順位に惑わされない能力」です。
どんな名作も、最初は必ず0ポイントからのスタート。
まだ誰も読んでいないのにポイントがついているとしたら、それは「サクラ」です。
小説投稿サイトはスタートダッシュに失敗すると、もう人気が出ることはないと言われています。
それは順位や数値で全てを判断する「ランキング神話」や「数値信仰」の信者は、数値や順位が低い作品は眼中にも入れてくれないからです。
しかし小説投稿サイトの数値はクオリティーの指標ではありません。
コア・ユーザー(ノイジー・マイノリティー)の好みに合っているかどうかにも左右されますし…
さらには「ページ配分」や「投稿ペース」によっても変わってくるのです(※)。
どんな名作も、まだ数値や順位が低い段階で「数字が低いから」と見放されてしまっては、咲く花も咲きません。
数値の高低で判断せず、ただ「作品自体のクオリティー」で判断してくれる人間がいて初めて、「クオリティー通りの数値」に近づいていけるのです。
ちなみに、スコッパーに必要な資質はもう1つあります。
それは「検索テクニック」です。
「数字に惑わされない意思」と「アクションを起こす意欲」があったとしても、埋もれた名作を「探し出す能力」が無ければ話になりません。
…しかし、この3つ全てを兼ね備えるというのは、なかなかに大変です…。
なので、せめて「検索テクニック」だけでもどうにかできないかと、個人的にせっせと「検索&閲覧ノウハウ」を記事にしてUPしています。
かつて「読み専」だった頃から独学で磨いてきたテクニックですので「もっと良い方法があるよ!」というモノもあるかも知れませんが…。
(「もっと良い方法」をご存知の方がいらっしゃったら、是非その方法を拡散してシェアしていただきたいです。)
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