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【短編とあとがき】産土(うぶすな)さん
産土(うぶすな)神社
産土神は、神道において、その者が生まれた土地の守護神を指す。その者を生まれる前から死んだ後まで守護する神とされており、他所に移住しても一生を通じ守護してくれると信じられている。
産土神への信仰を産土信仰という。(Wikipediaより)
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ぼくが5才くらいの頃のことだ。
ぼくは夕海(ゆうみ)という女の子と幼なじみだった。近所の裏山にある神社
短編とあとがき「水底の書」
─ 海行ゆかば 水漬く屍(かばね)
山行ゆかば 草生す屍(かばね) ─
( 万葉集:大伴家持)
ああ、暗い。
月のない夜だった。
山の奥にある、深い沼の底。
腰から下が水底の泥に埋もれて、
上半身はゆらゆらと揺れていた。
揺れるたびに少しずつ肉がはがれ、泥水に溶けてゆく。
指先から、はらり、はらりと
爪が剥がれる。
コロ