【これが本当のメタバース】障害者がアバターで働く「分身ロボットカフェ」
「分身ロボットカフェ」として恐らく世界初の常設店(常設実験店)となる日本橋の『DAWN』で「障害者のインクルージョン」と「人類における好まざる孤独の解消」という壮大な社会実験に参加してきました。
「どうも」メイドカフェ(Japanese maid café)を文化にした者です。正確には「メイドカフェ」を文化(Japanese maid café culture)として政府に認めさせた者になります(詳細は以前の記事『【メイドカフェ】を文化にした者からオタクへの密命』をご参照ください)。
とは言うものの私はカフェの客というだけだったのですが、分身ロボットのパイロットとしてリモートで働く障害者の方々とロボットというアバターを介して会話などのコミュニケーションを行なってみてそれなりの発見がありました。(尚、本稿では敬称などを省略することとします。)
「分身ロボットカフェ」とは?
「分身ロボットカフェ」(Avatar Robot Café)とは、外出困難な重度の障害者などが自分の分身(アバター)となるロボットを遠隔地からリモートで操作してサービスを提供している新しい形態のカフェです。
これまでは期間限定のイベントとして何度か開催されていたのですが、今年(2021年)6月に常設実験店『DAWN』(ver.β)が日本橋にオープンしました。
「メイドカフェ」で言えば、『コスチュームカフェ』などのイベントとして何度か開催されていたものが、2001年に世界初のメイドカフェ常設店となる『CURE MAID CAFÉ(キュアメイドカフェ)』が秋葉原にオープンしたのと同じような感じです。
当時の秋葉原は社会に適応できない人たちの吹き溜まりという側面があり、店員もお客も「社会不適合者」として見られていたオタクというメイドカフェは社会的シェルターの役割を果たしていました。それが今ではオタクに憬れる層が世界的に形成されたと言われるに至りました。強いて言えば「オタクのインクルージョン」です。
障害者のインクルージョン
「分身ロボットカフェ」はそこから一気に身体的障害という次元を克服するためにテクノロジーを活用し、「障害者のインクルージョン」というビジョンに向けた世界を壮大にデザインします。
「Diversity」ではなく「Diversification」
一口に障害者と言っても障害はそれぞれ異なります。手指で分身ロボットを操作する人もいれば、口で操作する人、目で操作する人など様々です。
「分身ロボットカフェ」で改めて感じたのは「多様性」(diversity)というワードは多様性を一括りに捉えられがちですが、予め全て「多様化」(diversification)されている個々人の集合体として包含する社会が重要だという極当たり前のことです。
英語圏での標語としては「ダイバーシティとインクルージョン」なのでしょうが、予め全て「多様化」された存在であることを強調する「ダイバーシフィケーションとインクルージョン」の方が日本人には理解しやすいスローガンかもしれません。
生き生きと働くパイロットのみなさん
生き生きと働くパイロットのみなさんは、日本中だけでなく、オーストラリアなどからもリモートワークで分身ロボットを操作しているようです。
「分身ロボットカフェ」というメタバース
SDGsアカウント(「救命救急×ドローン×AI」による【救急医療ドローンプラットフォーム】アカウント)での記事『【メタバースとは何か?】バーチャルリアリティとの違いは?結局何が変わるのか?』において「メタバース」(metaverse)には明確な定義が存在せず、「virtual」(バーチャル)は「仮想」あるいは「擬似」という意味ではないことを解説しました。
さらに「メタバース」という曖昧なイメージから共通項を抽出すると、「virtual reality」「augmented reality」「mixed reality」と全て「reality」(現実)と結び付いたものであることを確認しました。
そもそも「メタバース」は「meta」と「universe」を合わせた造語とされています。「meta」とはオブジェクトがそれ自体を参照していることを意味する形容詞であり、「universe」は宇宙を表す名詞です。
分身ロボットというアバター(avatar)によって自分自身を参照し、身体と空間を超越してコミュニケーションを取り、サービスを提供する世界である「分身ロボットカフェ」はまさに「メタバース」であると言って過言ではありません。
オリィ研究所のリレーションテック
吉藤オリィ(吉藤健太朗)とオリィ研究所のビジョンとリレーションテックはMark ZuckerbergとMeta社などよりもずっと以前に「メタバース」を実現させていたのです。
アバターコミュニケーションの課題
今回、分身ロボットというアバターとコミュニケーションを行なって感じた課題は、相手の表情が分からないことによる不安です。表情から感情を読み取ることができないので、相手が話しているときはまだいいのですが、こちらが話しているときはもっと話した方がいいのか、相手が話そうとしているのかのタイミングが掴み辛いのです。
空気を読もうとし過ぎかもしれませんが、アバターコミュニケーションの課題は「分身ロボットカフェ」に限らないので今後徐々に解消されて行くと思われます。
「分身ロボットカフェ」という社会デザイン
リレーションテックによる「分身ロボットカフェ」というビジョンとデザインは間違いなく日本が世界に発信できるメタバーサル(metaversal)なインクルージョン文化となることでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?