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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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#あの夏に乾杯

足早に過ぎ去る夏を思いながら【8/27横浜戦●】

夏休みも本当に締めくくり。というわけで、横浜(ならびに鎌倉)の旅、に出ることにした。 「山東」で水餃子を食べて久々に中華街をぷらぷら歩いていると、中華街はタピオカ街みたいになっていた。10歩歩くとタピオカ屋、四方八方から押し寄せるタピオカの波に、子どもたちは素直にのみこまれ、母さんはタピオカを買うはめになった。三人でマンゴータピオカを飲みながら歩いていると、高校生にでも戻ったような気になった。嘘ですなっていませんごめんなさい。 正真正銘、数年前まで高校生だったけいじくんは

現実は、思い描いたハッピーエンドばかりではないけれど【8/21広島戦●】

もしこれが3時間の映画だったら、と、思う。クライマックスは、たぶん先週の試合だ。カツオさんがノーノーまであと一歩という素晴らしいピッチングで、野手たちは打ちに打ちまくった。カツオさんのこれまでの苦悩と、そして努力と、チームの思いがぎゅっと詰まった試合だった。 その二日前、村上くんはサヨナラ2ランを放った。一日前の試合では、一点差の試合を勝ち切った。そしてカツオさんの試合があった。その三連戦は、それまでのミスも、エラーも、失点も、あの日の悔しさも、サヨナラも、大量失点も、全部

とんでもない男性につかまってしまった女性の話【8/20広島戦●】

想像してみてください。 あなたの目の前には一人の男性がいます。そこそこ、いけめんです。スポーツはめちゃくちゃできる。その男性はかわいい笑顔であなたに寄ってきます。「ビールが半額だよ」とか「花火が綺麗だよ」とか言いながらあなたを誘い出します。 早速彼は、とても優しい言葉をあなたにかけます。「今日は勝てるかもしれない。」そうです、出会ってすぐです。出会ったばかりです。それなのにあなたのために1点を捧げてくれます。夢へと続く道のようです。 さらに彼は、あなたにもっと高級なプレ

チームの勝利と、個人の記録と。【8/18中日戦◯】

ブキャナンのヒロインを見ていると、いつも泣いてしまう。そしていつも、良い時も、悪い時も、応援していこう、と、思う。誰しも良い時も、悪い時もあるのだから。 だけど今日のブキャナンを奮い立たせたのは、もちろん家族と、そして後ろの守備も大きかったのだろうなと思う。 何度も言うけれども良いピッチャーというのは、ピンチを招かないというよりは、招いたピンチをしっかり乗り切ることのできるピッチャーだ、と、基本的には思っている。 ランナーを出しても乗り切ることができる、そして、エラーが

スマートじゃなくていい。そこで掴み取る一勝に拍手を【8/17中日戦】

情報量が少数精鋭の神宮バックスクリーンに、「B7」の文字が輝く。そうつまりヤクルトは、四球を7個与えていた。とても味わい深い。 与えた四球7個とヒットの9本分くらいはとにかく、生きた心地のしない試合であった。満塁の(文字通りの)ピンチを招くたびに、私は軽く絶望し「こりゃだめだわ…」とつぶやいた。だけどそのたびにヤクルトは、もはやよくわからないけれどもそのピンチを何とかかんとか息も絶え絶え乗り越えた。 「ブルペンデー」とあらかじめ決められた日だった。平井くんは、プロ10年で

いつだってそこが転機になるのだと信じて【8/16中日戦●】

スーパーカツオさんのスーパー好投の余韻は、まだ神宮全体に残っていた。だけどまあ、どんな時も、新しい試合はやってくるのだ。良い時も、悪い時も。 ライアンは、初回に2ランを2本打たれ、4失点をした。いつだって現実は、向こうから急にやってくる。 結局その4失点のみで、ヤクルトは今日も負けた。4回表、たいしのホームランから始まった攻撃で、ここからまた反撃開始か、と、思ったものの、無死満塁の好機は今日も生かしきれず、そのあともタイムリーが出ず、エラーもあり(失点はしなかったけれど)

「誰かのため」と心から思えるそんな日に【8/14横浜戦◯(はなまる)】

8回表、カツオさんが伊藤裕季也からホームランを打たれた時、一塁側からは、今日一番の大声援と拍手が送られた。それはとてもとても、あたたかい拍手だった。 ノーノーを達成した瞬間じゃない。ノーノーが破られた瞬間だ。だけどヤクルトファンは、その瞬間に、大きな大きな拍手を、小さな大エースに送った。 そういうところだ、と、私は思った。ヤクルトファンの、そういうところが大好きだ。 その拍手に応えるかのように、カツオさんは、そのあとの打者をしっかりと打ち取った。カツオさんは8回を投げき

それぞれの1本には、黙々とバットを振り続けた時間がある【8/13横浜戦◯】

ツーアウトからランナーをためる、相手のためたランナーはもれなく返す、それはいつものことだ、今さら驚くことでもない。と、思いつつ、大きなため息とともにビールを飲む。上田はピッチャーの登板前にもちゅーした方がいいんじゃないのと思う。それくらいのことしかもう考えられない。 サヨナラの余韻が残る中、迎えた試合だった。だけどまあ、そうなのだ、なんだってそううまく行くわけじゃない。だけど一つのミスからなかなか立ち直れないピッチャーを見るのは、なかなかに辛い。 なっしーが5失点をした後

どうか19歳の人生が「野球をやっていてよかった」と思えるものでありますように【8/12横浜戦◯】

その打球は、私たちが座っているライトスタンドの方めがけて、すっと飛び込んできた。まるで、ライトスタンドが打球を呼び込んだみたいに。村上くんのタオルを掲げていた熊本出身のオットが、大喜びではしゃいでいる隣で、私は目の前で起こったことがなかなか理解できなかった。 いつもそうだ、私はどんなことも、ストンと自分の中に落ちるまでに時間がかかる。 それが、村上くんのプロ初打席だった。新井さんが神宮での最終戦を迎えたその日、村上くんは、プロ初打席で、ホームランを放った。 あれからもう

双眼鏡でほしくんを眺める、むすめを見ながら。【8/10巨人戦●】

「明日の先発、誰でしょう!」むすめを迎えに行ったとき、真っ先にそう聞くと、むすめはちょっと緊張した顔をして、「ほしくん・・・?」と、言った。「ぴんぽーん!」と言って、私とむすめは小さくハイタッチをした。 むすめは、しばらくしまっていた24の背番号が入ったクルーユニフォームを出してきて、自分のバッグに入れた。お気に入りのレディースユニフォームじゃなくて、そっちを持っていくことにしたらしい。 オットと息子はサッカーの合宿に出かけ、むすめと私は二人でドームへいくことになっていた

だけどベテランにしかできない仕事がきっとある【8/8阪神戦●】

(※ベテランというのはきよしのことではありません、念のため) 阪神ファンの「あと一球!」コールが神宮に響く。ライトスタンドからは負けじと「奥村コール」がかかる。だけど阪神ファンの声に、ヤクルトファンの声はかき消されそうになる。昨日と一昨日は気づかなかったけれど、球場は結構な黄色に染まっていた。広島戦の赤ほどではないけれども、まあこれは、結構、黄色だ。 友人の息子くんが夏休みの自由研究に各球場の特徴について調べていて、神宮の特徴について聞かれたけれど、「多くの場合、ビジター

188cmの19歳と、167cmの39歳と。【8/7阪神戦◯】

「カツオさんを「生きる見本」だと言う、田畑さんのコメントを見かけて、そうだよなあ、生きる見本だよなあ、と、改めて思う。 打ち込まれる日もあった。イニングの途中でマウンドを降りることもある。でもそれでも、何度も何度もそこに戻ってくる。その度に、少しずつ、あらゆる調整をして、考えて、考え抜いて。 その小さな身体で、それを短所ではなく、長所にでもするかのように。みんなが持っているものはないかもしれない。でもだからこそ、みんなができないことが、できるのだ。ないものを長所にする方法

おっくんの笑顔が「本当に」チームを救う、それは優しい一勝だ【8/6阪神戦◯】

半月ぶりに戻ってきた東京には、ようやく夏が来ていた。暑いねえ、と、言いながら、ビールを飲む。神宮には、夜の風が吹き抜けていく。 どれだけ負けている試合でも、この空気があればなんとなく、救われるような気がしていた。それは、去年も、一昨年も。 だから5回裏、花火が上がるのを見上げながら、「まあ、良いか、負けても。花火は今年もきれいだし」と、私は思った。久々の神宮は、目の前の試合が負けていてもやっぱり、私の好きな場所だった。 だけど今日のヤクルトは、久々に、「花火の時間を過ぎ

さよならだけが、人生だけど【8/4中日戦◯】

とうとう、パイナガマビーチでぷかぷか浮きながら、iPhoneで試合を見るようになってしまった。波にたゆたいながらヤクルトたちを見ていると、まあたいていのこと(エラーやミスや失点や…)はどうでもよくなるなと思っていると、ヤクルトは今日も元気に先制された。 うむ、やっぱりどうでもよくはない。18時台ではまだまだ明るい、宮古の空を浮き輪から眺める。明日にはこの島を発つけれど、ここにいる間とにかくヤクルトはよく負けた。本当によく打たれ、よく負けた。人生はとは負けることの連続なのだよ