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188cmの19歳と、167cmの39歳と。【8/7阪神戦◯】

「カツオさんを「生きる見本」だと言う、田畑さんのコメントを見かけて、そうだよなあ、生きる見本だよなあ、と、改めて思う。

打ち込まれる日もあった。イニングの途中でマウンドを降りることもある。でもそれでも、何度も何度もそこに戻ってくる。その度に、少しずつ、あらゆる調整をして、考えて、考え抜いて。

その小さな身体で、それを短所ではなく、長所にでもするかのように。みんなが持っているものはないかもしれない。でもだからこそ、みんなができないことが、できるのだ。ないものを長所にする方法を、誰よりもたくさん、たくさん考え続けたから。

エイオキと、てっぱちが塁上に並ぶ。その並びを見るだけで、なんだかいつも泣きそうになる。今だけだ、今だけだ、と、思いながら、この贅沢な光景を、目に焼き付けようと思う。

そう思いながら眺めていたら、村上くんは完璧すぎる3ランを放った。エイオキと、てっぱちを、村上くんがかえした。

それはもう、過去と未来とそして現在が一緒になったみたいな、一つの時代を切り取ったような、とてもとても素晴らしいホームランだった。完璧だった。小泉進次郎と滝川クリステルの組み合わせくらいに完璧だった。

19歳188cmの村上くんと、39歳167cmのカツオさんは、一緒にお立ち台に上がった。親子ほどの年の差の二人は、親子ほどの身長差があった。恵まれた身体で、高卒2年目で24本のホームランを放ってしまう村上くんと、小さな身体で、ここまで466試合に登板し、168勝を挙げるカツオさんは、それぞれの立場で、全く異なる苦労や悩みがあるのだろう。でも同じように、自分にしかできないことを考え続け、誰よりも努力を積み重ねている。二人とも、他の誰にもできないことを、別のベクトルで成し遂げている。

それは、誰よりも考え続けたからだ。そしてそのために、ひたすらトレーニングを積み続けたからだ。自分にしかできないことを、ただひたすらに。

持って生まれたものがあるというのは、もちろん素晴らしいことだ。だけど同時に、それは生まれながらにある種の苦労を背負うということでもあるのだと思う。村上くんはいつも、それと戦い続けてきた。そしてこれからもきっと、それと戦い続けなきゃいけない。

でも、そういう村上くんにとっても、カツオさんがそこで戦い続けた姿は、「生きるお手本」のその姿は、何か励みになるものなのかもしれないな、と、少し思う。19歳と39歳がそこで出会えた奇跡のようなものを、私は思う。

少しでも長く、このベテランたちと、若手たちが、同じグラウンドに立てますように。この大切な時間を、神宮の花火とともに少しでも長く見ていられますように。上田がホームラン打ちますように、ここにぐっちが戻ってきますように。


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