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足早に過ぎ去る夏を思いながら【8/27横浜戦●】

夏休みも本当に締めくくり。というわけで、横浜(ならびに鎌倉)の旅、に出ることにした。

「山東」で水餃子を食べて久々に中華街をぷらぷら歩いていると、中華街はタピオカ街みたいになっていた。10歩歩くとタピオカ屋、四方八方から押し寄せるタピオカの波に、子どもたちは素直にのみこまれ、母さんはタピオカを買うはめになった。三人でマンゴータピオカを飲みながら歩いていると、高校生にでも戻ったような気になった。嘘ですなっていませんごめんなさい。

正真正銘、数年前まで高校生だったけいじくんは、今日、6回3失点で試合を作ってくれた。もちろん、打たれないでその1本!というのはあったけれど、急に崩れて大量失点をしたり、途中でマウンドを降りることもなかった。何より、打たれてしまったそのあとも崩れることなく投げ続けた。それは、まだ若いけいじくんの、一つの成長のように見えた。少したくましくなった気がするその背中を見ながら、私はベイスターズエールを飲んだ(おいしい。)

初めて座ったハマスタのレフトスタンドは、ものすごい熱気に包まれていた。会社帰りらしきおねえさんは、カッパも着ず、きれいな服のまま、濡れながら座ってじっと試合を見ていた。彼に誘われてきたのかな、こんな雨のデートになっちゃって気の毒だな、と、ちょっと思っていると、クリーンナップが元気に三者凡退するのを見て、おねえさんは小さな、でもはっきりとした声で、「…もうっ!!」と、言った。

ああそうか、ファンなのはおねえさんの方なのだ。その気持ち、めっちゃわかります。と、思いながら、私はまたベイスターズエールを飲んだ(おいしい。)

夏はいつだって、おどろくほど足早に過ぎ去っていく。降りしきる雨は、秋の訪れを少し早めるような気がする。それぞれの夏が、それぞれに、終わろうとしていた。

今年私は、おそらくものすごい選手になるであろう村上くんの、最初の成長を見続けていた。でも残念ながら、村上くんの成長がチームの成長や順位に直結することは、あまり多くはなかった。村上くんが打っても打っても、勝てない試合が続いた。31号なんていうものすごいホームランを目の前で見ながら、それを応援するかのように35歳の先輩たちが打つのを見ながら、それでもヤクルトは勝てない。

だけどもちろん、「村上くんがいなければ勝てなかった試合」も山のようにあった。同じくけいじくんがいなければ勝てなかった試合も、おっくんがいなければ勝てなかった試合も、太田くんがいなければ勝てなかった試合もあった。

若者たちのその活躍は、その成長は、紛れもなく、今シーズンを鮮やかに彩った。勝つ日も負ける日も、それは、未来の希望そのものだ。

思い返してみれば去年のじゅりも、どれだけ好投しても勝てない時も続いた。それでもそこで、投げ続けた。だからこそ、「じゅり物語」は余計に人の心をぐっとつかんだのだ。そして、じゅりは勝てるピッチャーになり、チームは順位を上げた。

続けていくことはきっと、強みになる。

この夏と、過ぎ去った夏の景色は、いつだって大きく異なる。この夏はもう、二度と戻らない。だけどこの、最下位をひた走った夏だって、いつか思い出した時に、懐かしく思うのだろう。あの夏、村上と雄平とココちゃんが、一緒にホームランを打ったのだよな、と。

あっという間に過ぎ去る夏の記憶はたぶん、人生の宝物みたいなものなのだ。そっと取り出す記憶があるというのは、きっと素敵なものだから。


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