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とんでもない男性につかまってしまった女性の話【8/20広島戦●】

想像してみてください。

あなたの目の前には一人の男性がいます。そこそこ、いけめんです。スポーツはめちゃくちゃできる。その男性はかわいい笑顔であなたに寄ってきます。「ビールが半額だよ」とか「花火が綺麗だよ」とか言いながらあなたを誘い出します。

早速彼は、とても優しい言葉をあなたにかけます。「今日は勝てるかもしれない。」そうです、出会ってすぐです。出会ったばかりです。それなのにあなたのために1点を捧げてくれます。夢へと続く道のようです。

さらに彼は、あなたにもっと高級なプレゼントをくれます。勝利の女神が微笑むかのよう。アーチを描くのです。豪華です。そんなもの、ここしばらく目にもしていなかった気がします。このまま彼とゴールインできるかもしれない。胸は高鳴ります。

ところが直後に、彼は冷たくなります。優しくしてくれたのなんて嘘のよう。女神は幻だったのか。あのプレゼントの一部を返してくれ、と迫るのです。でも思えばそれは、豪華なアーチだったのです。ちょっと自分には勿体無かったかもしれない。少しくらい、仕方ない。あなたは、少しの不安を覚えながら、プレゼントの一部を彼に返します。

ところがその途端、彼の態度は豹変します。あんなに尽くしてくれた彼はもういない。フライ、ゴロ、三振。あっさり三者凡退です。

その直後です。なんと彼は、プレゼントをすべて返してくれと迫ります。あれはなかったことにしてくれというのです。

さらに悲劇はそこでは終わりません。そう、心のどこかで感じていた不安は的中します。彼は何事もなかったかのように、1点をどこか知らない女性にプレゼントします。あなたは絶望します。信じていた彼との将来は、幻に終わるのです。

もうこうなったら、冷たい彼はあなたを見向きもしません。さらに1点をその女性にプレゼントします。でももうあなたは絶望も何も感じません。そう本当は、知っていたのです。わかっていたんです。彼がそういう男性だということは。

ところが。そこまで来たところで、彼はあなたを振り向き、笑顔で言います。夢へと続く道をもう一度見せるよ、と。それはスタンドを超えてはるかな夢へと続きます。また、一から始めよう。彼は、そう言うのです。あなたは今までのことをすべて忘れて、もう一度彼を信じてみようと思うのです。

はるかな夢を見ただけでも満足していたあなたに、なんと彼はまだ言います。貫けフルスイングだよ、と。なんのことだろう、あなたは思う暇もないでしょう。それは一瞬の出来事です。君の努力の結晶が今咲き誇るのです。

あなたは思います。全部、このためだったんだ、と。これを見せてくれるために、彼は今までわざと冷たくしていたんだ、と。

あなたの思いがようやく通じたのでしょう、彼はその後、もう冷たくなったりなんてしません。三振、フライ、ゴロ。今度は彼が、鮮やかにそれを見せてくれます。あなたをしっかり、守ってくれたのです。

さらに彼は、最後のプレゼントだよ、と、優しく微笑みます。あなたと共に描いた未来を掴むため、愛するあなたと更なる伝説築こうとささやきかけてくれるのです。ようやくあなたはここで、確信します。愛する彼との将来を。ようやく掴む、その幸せを。

さて、ゴールは目の前です。長く、辛い道のりもこれで終わりです。今度こそ彼と幸せをつかもうとした、その瞬間です。

荒川のちょっと強面のにいちゃんが通りかかります。ええもん持ってるな、ちょっとよこせ、と、凄まれます。

それは一瞬の出来事です。彼は、あっというまに、全てを荒川のにいちゃんに手渡してしまうのです。そして、君の努力の結晶も、さらなる伝説も、何もかもなかったことにしてくれ、と、彼は言います。

それからのことをあなたはもう覚えてもいません。おそらくまた、あの女性に彼は何かを渡してしまったのでしょう。全ては夏の儚い幻に終わるのです。彼との将来は、最後の最後に全て奪われてしまう。そういえば遠い記憶の彼方に、同じ彼に同じことを何度も何度もされた気がする。だけど正確には思い出せません。多分全て、夏の夜の悪夢だったのです。

・・・こんな経験をさせてくれるチームが東京にあるらしいんですけど一緒に応援しませんか?いやですかそうですか私もいやです!!!!!!!!(号泣)

 ※同じ男性に騙された方がいらっしゃいましたら、被害者友の会は常時受付中です。


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