マガジンのカバー画像

京都・ピアノサロンオーナーのちょっと気になるミニコラム

49
運営しているクリエイター

#音楽

ソロリサイタルを終えて

ソロリサイタルを終えて

今年最後の大きなイベントであったソロリサイタルが終わりました。

お時間を作ってご来場いただいた皆さま、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。お運びいただきまして、まことにありがとうございました。

また、今回のリサイタルについて、各種運営は全て主催者の方で対応いただきました。大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。

【プログラムについて】

プログラムノートとしてお配りした文章、ご紹介いたし

もっとみる
ピアノ演奏時の視覚情報 ― あなたは目をつぶってピアノを弾くタイプですか?

ピアノ演奏時の視覚情報 ― あなたは目をつぶってピアノを弾くタイプですか?

私が、ピアノを弾く方に広く聞いてみたいと思うことの一つに、「あなたは目をつぶってピアノを弾くタイプですか?」という問いがあります。皆さまはいかがですか?

私の場合は ― 多数派であるかどうかは不明ですが ― 「目をつぶって弾いた方が、落ち着くし、音を聴きやすい、むしろ、視覚情報は基本的に邪魔!」と感じるタイプです。少なくとも私は、伴奏・連弾等、見て弾く本番、と決まっている場合を除くと、譜面を見て

もっとみる
真似という学び

真似という学び

皆さまは、「真似をする」という言葉に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

ひょっとすると、最近では、個性を重視する立場から、真似をすることを嫌う人々も多いのかもしれません。あるいは、「猿真似」という言葉があるように、やみくもに他人の真似をすることに対しては、必ずしもいいイメージは与えられていないようです。

また、真似をすることの負の側面として、盗作・盗用といった事象も残念ながらありそ

もっとみる
楽屋で行うセルフ・メンタル・コントロール  ― 音声素材の提供について

楽屋で行うセルフ・メンタル・コントロール  ― 音声素材の提供について

本番のパフォーマンスを良好なものにするためには、楽屋での過ごし方がとても重要であることは言うまでもありません。

ところが、楽屋で過ごす時間というものは、どうも落ち着かない、という方も多いのではないでしょうか。楽譜と睨めっこしてみたり、気を紛らわせようと人とお喋りをしたり、せわしなくウロウロしてみたり…。

深呼吸が重要だと思っても、落ち着かない状態で呼吸を行うと、かえって呼吸が早く浅くなりがちで

もっとみる
00:00 | 00:00

※試聴版です。オリジナル版(15:50)は購入後に視聴できます。

楽屋で行うセルフ・メンタル・コントロールのための音声素材です。
約15分の音声誘導に合わせて、深呼吸や軽いストレッチ、アファメーションを行うことで、演奏前の気持ちを整え、パフォーマンスの向上をめざします。
お手持ちのスマートフォン等にダウンロードして、ご利用下さい。

本音声は、心身ともに健康な方を前提に作成されています。
以下の方は、ご利用をお控えいただくか、医師に相談のうえご利用ください。

もっとみる
ピティナ「ピアノ曲事典」公式採用動画作成をお手伝いしました!

ピティナ「ピアノ曲事典」公式採用動画作成をお手伝いしました!

嬉しいお知らせがありましたので、ここでちょっとご紹介したいと思います。

友人でピアニストの前田美和さん、この度ピティナピアノ曲事典オーディションにおいて公式動画採用となりました!!

審査結果は、こちら。

前田美和さんの公式動画採用は、スクリャービン、ブルーメンフェルトに次いで今回で3作目ですね。本当に素晴らしい演奏をされる方で、私も大ファンです!!!

しかも、今回のオーディションで公式採用

もっとみる
【あ~あ 残念なピアノ弾き 「イメージはあるけれども、技能が伴わない」 ― それ本当にそうでしょうか?】

【あ~あ 残念なピアノ弾き 「イメージはあるけれども、技能が伴わない」 ― それ本当にそうでしょうか?】

ピアノに限らず、楽器を学んでくると、その習熟度に応じて、更なる課題というものが現れます。

私が拝見したところ、ある程度の年数学習を続けてきた人であっても、例えば以下のような課題を抱えている方は結構多いのではないかと思います。

・抑揚を適切かつ自在に表現することができるフィンガーコントロールが身についていない
・その楽器が有する最もふくよかな響きを引き出すことができない
・喜怒哀楽を切実に表出す

もっとみる
老化と向き合う・変化を受け入れる・何かを補う身体

老化と向き合う・変化を受け入れる・何かを補う身体

この頃、実感するのは、同じことをしていても、以前とは同じというわけではないということです。

例えば、「一晩寝れば元気回復」が当たり前だったのに、「一晩寝ても疲れが抜けない」とかいったこともそうですし、同級生たちよりも十年ほど遅いと豪語してはみるものの、最近「老眼かも…」と思い当たるシーンが増えてきました。

常々、「『トシだから』を免罪符にしない」とは思いつつも、身体の変化は受け入れて行かなけれ

もっとみる
ライプツィヒの思い出

ライプツィヒの思い出

以下は、もう随分昔(20年以上前)、ライプツィヒを訪れた感想を綴ったものです。今回、こちらに掲載するにあたり、若干もとの原稿を改めたところがあります。

------

「バッハに会いに行こう!」

そう思い立って、楽聖ゆかりの街ライプツィヒにたどりついたのは、初夏の日差しもまぶしい五月のはじめ。ベルリンから列車で約2時間、のどかな景色の果てにたどりついたこのザクセンの都市は、高層ビルと中世風建築

もっとみる
Carles & Sofia International Piano Competition 2021 で金賞とベスト・モーツァルト賞をいただきました

Carles & Sofia International Piano Competition 2021 で金賞とベスト・モーツァルト賞をいただきました

先ほど、海外から嬉しい知らせがとどきました。

スペインで開催された Carles & Sofia International Piano Competition 2021 の PROFESSIONAL 部門において、金賞とベスト・モーツァルト賞をいただきました。

この時代らしくオンラインで開催されたので、今一つ実感がわかないところもあるのですが、これも今までいろいろご支援いただいた方々のお力あ

もっとみる
愛の夢 第3番 ― 歌曲版とピアノ版を比較したことはありますか?

愛の夢 第3番 ― 歌曲版とピアノ版を比較したことはありますか?

2年前ほど前に、リスト「愛の夢・第3番」の歌曲版の伴奏を練習する機会があったとき、野本由紀夫先生のエディション(全音楽譜出版社)を買いました。楽器屋さんの店頭で立ち読みをしていて、注釈も豊富、解説も詳細ということで即購入となりました。

<以下譜例は上述の楽譜からの引用です>

ご承知の通り、ピアノ曲としておなじみの「愛の夢・第3番」は、もともとリストが作曲した自作の歌曲のピアノ編曲版ですが、歌曲

もっとみる
シューマン=リストの「献呈」がね~ どうも気になるのですよ

シューマン=リストの「献呈」がね~ どうも気になるのですよ

スタジオを運営するようになって分かったことは、なぜかこのリスト編曲は絶大な人気を誇っている、ということですね。

ちなみに、私のように、歌曲大好き人間は、圧倒的に原曲の歌曲の方が好きです。はいはい、分かったってば…。

それはともかく、やはり気になるのですよ~、こういう曲の表現のあり方。もとの歌曲における表現のポイントが、ピアノ編曲版を演奏するときに考慮されているのかどうか、というあたり。少なくと

もっとみる
【あ~あ 残念なピアノ弾き それ歌ってるつもり?】

【あ~あ 残念なピアノ弾き それ歌ってるつもり?】

「もっとメロディを歌って!」 ― ピアノを習うと必ず注意されることです。

でも「ピアノで歌う」ってどういうことでしょうか?

おっと、例によって、歯に衣着せぬ物言いでおなじみの「嫌味婆K子さん」、またまた言いたいことがあるらしく、さっきから毒舌を吐いているようです。

ピアノの腕前を判定するのは、至極簡単なことよ!
メロディを歌う能力があるかどうか、ま、4小節聞けばわかるわね!
だいたい、歌う基

もっとみる
助言を受け入れる器

助言を受け入れる器

人間とは厄介な存在で、第三者からの助言に対して、虚心坦懐に受け入れることができる場面というものは意外に少ないと感じます。かく申す私自身もそうです。

習い事のように、上手くなりたくて教えを乞う場合でも、上手くなりたいにもかかわらず、指摘されることに対して心理的に抵抗感が生じる場合があります。

もちろん、助言を行う者と助言を受ける者との相性ということもあると思いますが、最近思うのは、助言を「受け入

もっとみる