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【Mumエッセイ】おしゃれな格好に隠れた「装備」はいらない。

いつもと変わらない厚い雲に覆われた空から雨が降っている。
いつもと変わらない。梅雨に慣れてきた兆しかもしれない。
きっと雨で憂鬱になる事さえ慣れた頃には、凄まじい暑さが訪れるのだろう。今年は余計に身体がひゃっと悲鳴をあげそうだ。

昨日は、友人と会う約束をしていた。
誰かと予定を合わせて出かけるなんて、本当に久しぶりだった。
しかし、難しい事にあまり元気がない状態だった。
部屋も薄暗く、物寂しい空気が流れていて、その空気に飲み込まれてしまいそうな予感さえした。
案の定、お布団の中で楽な姿勢を取っていた。
変わらない毎日であればお布団の中で穴が開きそうな程、壁を見つめる瞑想をしているものだ。今日は数少ない友人に会うチャンスである。

「えいやっ」と腰を上げて、
いや、腰は痛めているので腕で上半身を半ば無理やり上げて立ち上がった。

出かけるとあれば、なぜだろう。少し緊張している自分がいた。
どうしよう、何を着ていこう、メイクはどうしよう、アクセサリーは、髪型は?
今日のどんより気分の原因が分かった。これだ。
「オンリーワン」の理想が高すぎる。


私は20代を迎えてようやく、
完璧、自分らしさ、個性を追求しすぎている事に気づいた。
今までの計画のほとんどは、結果がどうであれ
必ず周りの人を観察する、リサーチする思考があった。
そのリサーチは「自分と差別化したい」、「自分が特別な状態であってほしい」そんな感情の表れである。

だから、服装も今日会う人の雰囲気をイメージしてほどほどに合わせつつ個違った雰囲気をイメージしたり、前回あった時のコーディネートを避けて考えたり、メイクも新しい感じで行こうとか。
購入するお洋服やアクセサリーもブランド品を好むわけでは無かったが、とにかく誰ともかぶりたくないという感情は強かった。
クローゼットやタンスから洋服を引っ張り出しては着て、引っ張り出しては着ての繰り返し。エネルギーがあるだけ思考を巡らせていたのである。


しかし、それが毎日続くのはとても酷な生活だ。
思い返せば、出かける度に自分は特別なんだ!と思いながら周囲にエネルギーを発散しすぎていたと思う。褒められると嬉しかったし、それだけ考えて良かったとも思っていたのが事実だ。

この広い世界に生きる1人の人間。
世界に一つだけの花。
「オンリーワン」

というだけあって自分という存在は「特別では無い。」とまでは言えない。でも正直大それたことではないと思う。

おしゃれは「娯楽」であるべきだと思う。しようがしまいがどちらでもいい。だって娯楽だから。もちろんTPOに合わせた服装を考えるシーンもあるのは否定しない。オフィス、ビジネス、冠婚葬祭、お見合い、合コン、アウトドア。でもそれはおしゃれするカテゴリーには入らない気がする。
「装備する」イメージが近いと思う。

私は、毎日「装備」していたのだと思う。TPOやどのように見られたいのか考えた上で戦略的に自らに着せていく。
つまり楽しんでいない。「娯楽」とは離れ、むしろプレッシャーを感じていた。だから少し緊張する。

空しくなった。これこそ完璧、自分、個性を追求してきた自分なのに本末転倒。いや、最初から「自分は特別にならないと!」と気を張ること自体が必要なかった。
別に誰が自分をどう見ようと関係ない。まず人は他人にそれほど興味がない。装備では無くて自分の心にあったおしゃれをすればいい。そう思った。

”楽”がないと本質的な”娯楽”とは言い難い。

そんなことに気づいたら、するすると変わっていくものである。

自分の心に向き合って「今日はこれが着たいな。」と思えるようになった。

メイクも「この色が可愛いな」としてみれば自分の顔がパッと華やかになった。

気づいたら自分の中でおしゃれを楽しんでいた。楽しかった。

正直、前ほどこだわっていない。今日は望んでいなかったからアクセサリーやネイルもしていない。

でも今の自分は娯楽としておしゃれを楽しめていたから。まったく気にならなかった。「楽しかった。」その一心だった。

「オンリーワン」なんて最初から言わなくていい。
装備とおしゃれを分ける。自分の心でおしゃれを楽しめれば、もう十分。

お茶したお店は大好きなドラマのロケ地だった☺︎またおしゃれして行こう。

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