Mu | 理系ワーママのキャリア思考
企業の研究員が社会人博士課程への進学を決意した④

企業の研究員が社会人博士課程への進学を決意した④

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前編では、教授面談に際して準備したものや、当日の様子、そして、願書と添付書類の概要を紹介した。
女性研究員が社会人博士課程への進学を決意した③

本編では、入学試験準備と、当日の様子を紹介する。


入学試験準備


私が受験した大学の入学試験項目の一部を示す。

  • プレゼン
    過去の研究内容と博士後期課程で予定している研究内容について発表と質疑応答

  • 口頭試問
    教授陣から一般知識と専門知識について問われる

入学試験項目は、在学生も、他大学の学生も、社会人も全く同じだ。


プレゼン

過去の研究内容については、在学中の研究テーマと、会社での研究内容についてプレゼン資料を作成した。

特に、会社での研究内容はアカデミック寄りに書き換える必要があったが、知的財産の観点から詳細までは書けない。

しかし、薄っぺらい、上っ面な内容では、アカデミックの世界にどっぷり浸る教授陣には何も伝わらない。

ところが、受入先の教授には、「もっとアカデミック寄りに、学術的な要素を入れて」と言われ、上司には「そこは知的財産的に書かないで、もっとぼやかして」言われる、という状況を繰り返す始末だ。

少々息苦しい思いをしながらも、両者からOKを貰い、その後、社内の知的財産を管理する部門のチェックと社外発表手続きを通過し、会社側から正式に承認を得た。

今後、このやりとりをどれほど繰り返すことになるのだろうかと思うと、憂鬱になるので思考を止めた。


口頭試問

恐らく、プレゼン内容からキーワードとなる専門用語を拾って、それを問われるのだろうと予測し、予め資料にそのワードを散りばめた。

それ以外で言えば、在学時の研究内容や関連論文を読み直し、最新の論文や、特許を読み漁った程度だ。

特別な準備をすることはなかった。


入学試験


待合室

会場に一番乗りしてしまった。

正確には、受験者の待合室なのだが、入室時間の30分前に到着し、トイレで時間を潰していたのだが、手持ち無沙汰になった。

会場設営の様子を、廊下から恐る恐る覗き込んでいると、同じ社会人の受験生がやって来て、“同じく30分前に来てしまって、校内をフラフラしていた”と笑った。

待合室の開室時間に居たのは私たちだけで、在学生らは要領を得ており、受験開始5分前からチラホラ登場し、自分の受験時間の3分前に顔を出した学生もいた。

その様子に、学生時代を思い出し、余分な肩の力が抜けたのは言うまでもない。

もちろん、良い緊張感は持ち続け、待合室での時間を過ごした。

試験開始

名前を呼ばれ、試験会場へ入った。

ずらりと教授陣が並ぶところで、司会者の指示に従って、氏名や所属を名乗り、プレゼンを開始した。

これまでに何度もプレゼンをこなしてきたが、そうそう経験することもない状況に、肩に力が入っていくのを感じた。

予想通り、口頭試問ではキーワードに置いた専門用語を問われた。

大学の特色もあるが、企業と大学、目指すものが異なると、こんなにも捉えられ方が変わるのかという程、製品や会社の話は印象がよくなかった。

後に、受入先の教授にこの時の様子を尋ねたところ、「(教授陣は)みんな、ずっと大学という世界にいるから、”企業の研究なんて”と思っている人もいる。企業は学術的な部分を曖昧にするところがあるから。信用の部分かな。」と話してくれた。

知らないものや、分からないものへの対応が、如実に現れた、と。

本当にそれだけのことなのだろうか。

試験は、最後に「がんばってね」と言われて終了した。


帰路、そして


帰路、プレゼンの反省をしながら、また、企業と大学の違いを痛感しながら、今後、どうやっていこうかと考えていた。

会社の研究内容をどれだけアカデミック寄りに持っていけるか、そして、教授陣の承認が得られるにはどういうストーリーだてをすればいいのか。

むしろ、研究内容を大学の方で設定したほうが良かったのではないか、と後悔すらしていた。

そんな時、受入先の教授からメールが届いた。

『合格です。春からよろしく。』

後日、合格通知と入学案内が届くという。

さっきまで頭の中を巡っていた、迷いとか、後悔とか、全部一気に吹っ切れた。

今日一日で、この先数年間に進む道が決まり、動き始めたのだ。

喜びと安心を一瞬噛み締め、グッグッと、覚悟を決めた。

以上








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読んでいただきありがとうございました。
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理系大学院卒 研究職(企業) 勤務歴10年以上 30代ワーキングマザー twitter @Mu_journal