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恩返し。31

まずは、母さんに何か買ってあげよう。
今までなんだかんだで一番僕を心配してくれたり、寄り添ってくれたり、母親だから僕をって、そういう親の愛情以上の何かを僕は働いて稼いでみるとわかる。

無色透明の感情になんて名前をつけよう。
「恩」なのかも知れない。

母さんに何か欲しいものを聞いてみると
「いいわよ、あなたが頑張って稼いだのだから自分のために使いなさい」
と、予想はしていたけれども案の定なことを言われ、僕は少ししめしめと思う。この「恩」というやつはお金では返せないのかも知れないし、まだ答えはわからない。

お金の使い道は特に決まっていないけれども、予想する当たる、しめしめ、予想する当たる、しめしめ、ってこれは父さんに似てきているということか元々僕が持ち合わせている性格の悪さというのか、狡猾さというのか、そこまで苦労して稼いだわけではないお金ってのはささっと消えてしまう。

稼ぐ、ささっと消化。

人間の営みというものを理解した気になって、感情が薄らいでいっていることに気づかずに、人形、いや、ロボットのように生活する人間。
世間というやつの歯車、自動機械、うむ、何か、違和感がある。


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