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第4章<診断する>準備度アセスメントに認知カテストを含めるべきか?

長年にわたる研究の結果、認知力(知性)はリーダーの未来を予測するのに非常に有効であることがわかった(02)。仕事が複雑になるにつれ、個人特性と同等に認知力の重要性が増すと言われる。われわれもこれには同意見だが、人材開発の加速化においては、特に注意する点がある。

第一に、職務が複雑になるにつれて認知力の必要性が大きく高まることは疑問の余地がないが、サクセス・プロフィールに占めるその割合が必ずしも大きくなるわけではないという点だ。なぜなら他の必要条件(対人関係、リーダーシップ課題、ビジネス管理タスクなど)も、同じように重要性が高まるからである。要するに認知力はリーダーシップの成功の予測に信頼を与えるが、それは、認知力が成功の最大の決定要因だから、というわけではない。さらに、認知力はサクセス・プロフィールの要素の中でも最も個人で開発しにくいため、成長を加速したいときは慎重に考慮しなければならない。


リーダーの準備度を診断する際には、認知力を包括的なアセスメントの一要素として考えることが最も有益である。リーダーシップの低階層では、状況判断テストのような、より焦点を絞った認知力のアセスメントが行われることが多く、上階層では、批判的思考(クリティカル・シンキング)や複雑な論理的思考のような、より包括的な測定が行われるだろう。また、低階層ではリーダーの人数が多く、外部のテストツールがより必要となり、認知力テストは選考システムの一環として(他の行動測定とともに)、人材を振り分けたり、次の選考段階に進める人材を決めたりするのに使用される。

経営幹部階層への昇進を検討されているリーダーについては、昇進の判断を下す際に認知力は重要な要素となる。だが、人材開発の加速化計画の立案にアセスメントデータを使う際は、結果の解釈と伝え方に注意が必要だ。知性の高いリーダーが失敗した、あるいは知性はそれほど高くないリーダーが大成功を収めたといった話は少なくない。認知力テストの結果は、スキルと属性の全体的なプロフィールと照らし合わせ、各個人の強みと能力開発ニーズにおける役割という視点から解釈されるべきである。成長の加速化を求めるリーダーは、リーダーシップの中で、知性をどう活用するかが知性そのものと同じくらい大切だということを理解している。

1.アセスメントはどれくらい実施すれば十分か?

アセスメントを人材開発の加速化の取り組みに役立てるには、実施するアセスメントの量が適切でなければならない。少なすぎても意思決定の改善に役立たず、多すぎても情報をまとめるための投資が大きくなりすぎて、アセスメントで得られる価値を超えてしまうだろう。では、十分な量はどのように決めれば良いのだろうか。その鍵となるのが、焦点である。例えば猫の目を見てみよう。飼い猫でも野良猫でも、大きくても小さくても構わない。その目は焦点について大事なことを教えてくれ、アセスメントにも通じている。動かずじっとしているとき、猫の瞳孔は細く黒い縦線のようになり、視野は広く、さまざまなものに、さまざまな度合で焦点を当てている。一方、狩りのモードに入ったとき、瞳孔は最大限の光を取り込むために大きくなって、標的がよく見えるようになり、標的以外の周囲はぼんやりとしか見えない。このように猫は自分の課題に対して焦点を合わせているのだ。

猫の目の働きを参考に、アセスメントツールを活用しよう。顧客サービス担当、メンテナンス技術者、ソフトウェアエンジニアなど、焦点が集中している仕事では、サクセス・プロフィールの中から、業績を上げるのに欠かせない要素(サービス指向、職務遂行基準、専門知識など)だけを絞り出す(=狭い焦点)。一方、職務がより複雑で、多様なスキルが必要になってくると(スーパーバイザー、マネージャーなど)、もっと包括的にサクセス・プロフィールを診断しなければならない(=広い焦点)。

副社長、ゼネラルマネージャー、最高責任者など、最も複雑でリスクの高いポジションには、2つ(狭い焦点と広い焦点)を組み合わせた方法を採用しよう。こういった職務には、さまざまな複雑な課題が課せられ、成功の決定要因も数多いので、その要因の一部のみを取り出すと、視野が狭くなり重要な洞察を逃してしまう可能性が高い。この最も複雑なレベルの仕事では、アセスメントはリーダーが業務を遂行する状況も考慮しなければならない。ビジネス・ドライバーをアセスメントに組み込む目的は、リーダーの能力や性格の分析を可能にするだけではなく、今後当人が置かれるであろう環境にその能力を重ね合わせた場合どうなるかの分析も可能にするためだ。

多くの組織では、ビジネス上の異なるニーズを同時に抱えているので、色々な角度から人材開発の加速化を行うことが必要となる。そのためそれらの中で何が優先事項なのかをよく考えながらアセスメントの規模も決め、限りあるリソースを割り当てなければならない。例えば1社の中で、グローバルなプロジェクトリーダーと、重要な職務を任せる有望な最高経営幹部の準備および能力開発を同時に行う必要があるのだ。それぞれリーダーの成長の加速化を目的としている点は共通しているが、具体的なアセスメントのニーズは異なる。表4.1は、競合するアセスメントニーズに関する有効な評価方法および、大規模実施可能性と包括性の適性バランスの取り方を示している。

4.1図
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意思決定のリスクがより高く、より重要な成長の必須要件がある場合は、はるかに包括的なアセスメントを必要とする。反対に、実施することが困難で人数も実施場所の数も大きいアセスメントは、大規模に実施可能で焦点のはっきりしたアセスメントが求められる。もちろん、どの場合にもあてはまる完璧な答えを出してくれる単純な方程式などない。だが、これらの要素でアセスメントニーズへの理解が深まれば、限られたリソースの配分を決める際に役立つだろう。

2.適切なアセスメントデータがあれば、フィードバックは格段に改善する

アセスメントデータ――特にここで述べているようなデータ――は強力だ。その力がフィートバックを大きく改善し、成長の加速化をさらに後押しする。この後に、フィードバックについて、他とは異なるアプローチを説明する。これは、能力開発の機会を自ら求めて最大限に利用するよう個人を促し、成功に向かって大きく飛躍させるためのアセスメント活用法だ。

4.1表 アセスメント規模を決定する際に考慮すべき4つの要素

3.おすすめ人材アセスメントソリューション

①コンサルティングソリューション

②オンラインシミュレーションアセスメント&アセスメントシステム

③オンライントレーニング&ディベロップメント

4.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

5.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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