シネマ婦人

はじめまして。シネマ婦人です。映像翻訳のお仕事をしています。月に5回は映画館に足を運ぶ…

シネマ婦人

はじめまして。シネマ婦人です。映像翻訳のお仕事をしています。月に5回は映画館に足を運ぶ映画好きです。このnoteでは、個人の鑑賞記録を徒然に記したいと思います。どうぞよろしくお願いします。あくまで個人の感想ですので、ネガティブなコメントはご遠慮いただけますようお願いいたします。

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記事一覧

プライドと偏見(2005)

優れた物語作品。 歩くのを嫌うダーシーが、強い動機に突き動かされて歩いてくるクライマックスが至高。彼にはエリザベスのプライドのために歩かざるを得なかった。父の強…

なぜ君は総理大臣になれないのか

大島 新監督 衆議院議員・小川淳也を2003年の衆議院議員総選挙初出馬以降、無所属で立憲民主党・市民クラブへ会派入りするまでを追い続けたドキュメンタリー。 観終わっ…

ミナリ

静かに裏切られる映画、といえばいいのか。 色々な不安要素を散りばめ想像を刺激しつつも、 裏切っていく。 現実とはそういものなんだろうな、とも思うんだけれどあまりに…

天空の結婚式

あはははは…ラスト、なんなんだこれは。。 イタリアンな陽気さと適当さの真骨頂だなぁ。 でも一応、散々padre(パパ)がバカにしてたミュージカルで締めるという伏線回収…

ハッピーバースデー家族の時間 fete de famille

主演:カトリーヌ・ドヌーブ、監督/出演:セドリック・カーン 久々に難しい映画だった。。 両親からは借金を返してもらえず、末っ子の弟の映画制作を手伝って、じつは1番愛…

すみっコぐらし 飛び出す絵本とひみつのこ(2019年)

むちゃくちゃ可愛いテンションでえげつない現実を突きつける。 置かれたところで咲きなさい的な。 経験積んだ大人にはわかる理不尽さも子どもにとってはただただショッキ…

わたしの叔父さん <ネタバレあり>

フラレ・ピーダセン脚本・監督・編集 2019年の東京国際映画祭でグランプリを受賞。 それ以前は本国デンマークでは19館のみの上映だったが、受賞が大きなニュースとなり”…

モーガン夫人の秘密

主演:キーラ・ナイトレイ キーラのラブシーン、色っぽく感じられなくて残念。 夫は悲劇の後もまじめに人道的に仕事する一方、妻は自己愛で敵国の男と不倫。でも夫は「君…

アメリカンマーダー(2020,Netflix original)ネタバレ

完全な胸糞作品です。幼い子どもの被害に関する話ですので、苦手な方は要注意です。 以下ネタバレ。 実際に起きた夫による妊娠中の妻と幼い娘2人に対する殺害事件を、SNS…

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ムーンライト(2016,監督:バリー・ジェンキンス)

ゲイだから黒人だから、よりも、周りの大人が子どもの生育にいかに影響を及ぼすか。それが印象に残った。 母が薬物中毒で、唯一手本になる大人が売人だから自分もそうなる…

TENET (監督:クリストファー・ノーラン) ※ネタバレあり

アンゼたかし先生翻訳。でもよくわからなかったということは、そもそも複雑な脚本なんだろうな。 迫力がありすぎるとよくわからない。 他の作品を鑑みてもこの監督が時間…

わたしの名前は… (監督:アニエス・トゥルブレ=アニエス・ベー)

デザイナー、アニエス・ベーの初監督作品。アニエス・トゥルブレは本名。 実父による性的虐待がテーマだが、「ただの胸くそ映画」で終わってしまわないでほしい。 実父か…

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スタンドアップ(監督:ニキ・カーロ、主演:シャーリーズ・セロン ※ネタバレあり

史実からはフィクショナライズされている部分もかなりあると言う。 全米初のセクハラ訴訟で勝訴し、連邦・州政府の労働者保護立法を促した。 本人の弁からも、時代背景か…

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プライドと偏見(2005)

優れた物語作品。

歩くのを嫌うダーシーが、強い動機に突き動かされて歩いてくるクライマックスが至高。彼にはエリザベスのプライドのために歩かざるを得なかった。父の強い愛も心を突く。

なぜ君は総理大臣になれないのか

大島 新監督

衆議院議員・小川淳也を2003年の衆議院議員総選挙初出馬以降、無所属で立憲民主党・市民クラブへ会派入りするまでを追い続けたドキュメンタリー。

観終わった感想を率直に書くと、「こりゃ総理の器ではないよな・・・」。
確かに実直で一見誠実で政策もロジカルだし説得力がありそう。序盤までは支援者の目線でエールを送っていた。

でも、、、

一言でいうと自己憐憫が強すぎる。まず初出馬の挨拶で

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ミナリ

静かに裏切られる映画、といえばいいのか。
色々な不安要素を散りばめ想像を刺激しつつも、
裏切っていく。

現実とはそういものなんだろうな、とも思うんだけれどあまりにも思わせぶりなセリフや間で駆り立てながら空振りが続く、みたいな。
個人的には乗り切らなかった。

もちろん静かでもいいんだけれど、
作り込みの甘さというか、韓国エンタメの完成度から考えると不完全燃焼感が否めなかった…

と思ったらブラピ

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天空の結婚式

あはははは…ラスト、なんなんだこれは。。

イタリアンな陽気さと適当さの真骨頂だなぁ。

でも一応、散々padre(パパ)がバカにしてたミュージカルで締めるという伏線回収にはなっている。

padreは村長として「これからは同化の時代、どんな人でも受け入れる」と謳いながらも、「自分の家でヒヒを飼うのはごめん」と、対外的なアピールと身内に面倒ごとは持ち込むなという見事なダブルスタンダードで、これ

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ハッピーバースデー家族の時間 fete de famille

主演:カトリーヌ・ドヌーブ、監督/出演:セドリック・カーン

久々に難しい映画だった。。

両親からは借金を返してもらえず、末っ子の弟の映画制作を手伝って、じつは1番愛情深く家族に対して一番献身的な長女。
精神異常者かと思いきや、その裏には家族にがんじがらめになっている事情がある。
だからこそ、兄弟それぞれのパートナーたちは彼女に同情的な視線を持っていたのだ。

だが、家族で唯一の成功者(=自立し

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すみっコぐらし 飛び出す絵本とひみつのこ(2019年)

むちゃくちゃ可愛いテンションでえげつない現実を突きつける。

置かれたところで咲きなさい的な。

経験積んだ大人にはわかる理不尽さも子どもにとってはただただショッキングなんじゃないかな。

2021年の第2作が楽しみ。

@Amazonプライム

わたしの叔父さん <ネタバレあり>

フラレ・ピーダセン脚本・監督・編集

2019年の東京国際映画祭でグランプリを受賞。
それ以前は本国デンマークでは19館のみの上映だったが、受賞が大きなニュースとなり”凱旋”後は80館にまで拡大上映された。

本当の姪と叔父が”両親を亡くした姪と彼女を引き取り12年間同居している足の不自由な叔父”を演じる。

舞台となった農場は”叔父役”のハンセン氏が実際に所有しているもの。監督が取材のために滞在

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モーガン夫人の秘密

主演:キーラ・ナイトレイ

キーラのラブシーン、色っぽく感じられなくて残念。

夫は悲劇の後もまじめに人道的に仕事する一方、妻は自己愛で敵国の男と不倫。でも夫は「君は宝物だから」と理解を示す。んなやつおるかーい!なハーレクイン展開が胸熱。

ラストでバックラインのストッキングを履いてくるのが、無駄に攻めてて好き。‬

アメリカンマーダー(2020,Netflix original)ネタバレ

完全な胸糞作品です。幼い子どもの被害に関する話ですので、苦手な方は要注意です。

以下ネタバレ。

実際に起きた夫による妊娠中の妻と幼い娘2人に対する殺害事件を、SNSに被害者がアップしていた動画、友人や夫とのテキストメッセージ、メディアや警官のボディカメラ、署内での取調べや裁判などの実録映像をノーナレで構成した完全なるドキュメンタリー。

半端なフィクションに比べ、その事実の重さにショックが大き

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ムーンライト(2016,監督:バリー・ジェンキンス)

ゲイだから黒人だから、よりも、周りの大人が子どもの生育にいかに影響を及ぼすか。それが印象に残った。

母が薬物中毒で、唯一手本になる大人が売人だから自分もそうなることに抵抗がなくなってしまった。

属性ではなく、環境、資質、性質が人生を左右する。

ステレオタイプの黒人女性や薬物依存性の役は演じたくないと考えていたポーラ役のナオミ・ハリスが、自身がいじめられていた経験を基に中毒者の葛藤を表現した、

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TENET (監督:クリストファー・ノーラン) ※ネタバレあり

アンゼたかし先生翻訳。でもよくわからなかったということは、そもそも複雑な脚本なんだろうな。

迫力がありすぎるとよくわからない。

他の作品を鑑みてもこの監督が時間遊びが好きなことだけはよく分かった。

もう一回見て確認したいけど、家で小さめのモニターで見たほうが理解しやすいかも。

作りが凝りすぎてる割には、悪役が核を求める理由がガンで死ぬから道連れにしたいとか、そもそも結局プルトニウムが最強の

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わたしの名前は… (監督:アニエス・トゥルブレ=アニエス・ベー)

デザイナー、アニエス・ベーの初監督作品。アニエス・トゥルブレは本名。

実父による性的虐待がテーマだが、「ただの胸くそ映画」で終わってしまわないでほしい。

実父からの性犯罪は表面化しにくい。その事実をリアルに描いている。

ピートとの旅を幻想的に表すことで束の間の逃避を許しながらも、ラストに衝撃的な喪失を描くことで、現実への絶望がより際立つ。

ピートの存在なく生きていかねばならない被害者の方が

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スタンドアップ(監督:ニキ・カーロ、主演:シャーリーズ・セロン ※ネタバレあり

史実からはフィクショナライズされている部分もかなりあると言う。

全米初のセクハラ訴訟で勝訴し、連邦・州政府の労働者保護立法を促した。

本人の弁からも、時代背景からいっても、描かれている性的圧迫は事実だろうと容易に想像できる。

レイプ被害を打ち明けられなかった少女の壮絶な葛藤を思えば、父親の数十年を経ての悔恨の念は凄まじいだろう。

主人公のその後の男性遍歴にも影を落としまくったレイプ教師は万

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