あなたのためのポジティブ心理学 【Vol.1 ポジティブ感情】

「何かいつも満たされない」
「自分に自信が持てない」
「生きていてつらい」
ポジティブ心理学は、そんな人生の悩みを解決してくれる心理学です。

あなたのためのポジティブ心理学 

はじめに

　私が「あなたのためのポジティブ心理学 」を書く目的は、少しでも多くの人を幸せにするためです。これは、私の人生の目的でもあります。ポジティブ心理学を学び、広めていくことで多くの人が幸せになることを確信しています。なぜなら、ポジティブ心理学は宗教や占いとは違い、科学的な根拠を持つ学問だからです。内容自体は出来るだけ簡単に書いているので、心理学をあまり知らない人でも読みやすくまとめてあります。少しでもポジティブ心理学に興味を持っていただけたら幸いです。

あなたのためのポジティブ心理学とは

　文字通り、ポジティブ心理学は今読んでいるあなたのためにあります。つまり、ポジティブ心理学はどんな人にも応用できる心理学なのです。かなり落ち込んだ人もポジティブになれますし、健康な人も今以上にポジティブになって健康になれます。
　なぜそう言い切れるのか。それはポジティブ心理学の様々な研究から、その効果が実証されているからです。

ポジティブ心理学の目的

　ポジティブ心理学の最終目的は、世界のポジティブ感情の総量を長期的に増やすことです。つまり、ポジティブ心理学の知識を使うことで自分が幸せになるばかりか、周りの人も幸せになる事が期待できるのです。長期的という言葉が使われているのにも理由があります。
　例えば、タバコや薬物などの依存症は、ポジティブ心理学では幸せとは言えません。なぜなら、タバコや薬物を使った時には短期的な快楽は得られますが、将来的には健康を害してしまい、長期的には快楽を得られなくなる要因になるからです。つまり、依存症はポジティブ感情の総量を増やすどころか、減らす要因になりかねないのです。これでは、ポジティブ心理学の目的を達成する事はできませんし、あなたが本当の意味で幸せになる事もできません。
　あなたが本当の意味で幸せになるためには、日頃から人に感謝をしてお互いのポジティブ感情を高めたり、自分の強みを生かして自分に誇りを感じたりする必要があります。つまり、あなたが日常の中からポジティブな要素を見つけ出せるようになったり、よりポジティブ感情が増えるような物の捉え方ができるようになったりして世界のポジティブの総量を増やしていくのです。もし今ネガティブな考えの人でも全く問題ありません。なぜなら、ポジティブ心理学ではネガティブな人も練習することでポジティブになり、幸せになれることが明らかになっているからです。
　では具体的に、どんな方法でポジティブの総量を増やすかについて説明していきます。

　まず、より幸せな人生を送るためには、以下の5つの要素を満遍なく満たさなければならない事を理解する必要があります。言い換えると、これらの5つの要素を満たす事さえできれば、あなたはとても幸せな人生を歩む事ができます。
・ポジティブ感情(Positive Emotion)
・フロー(Engagement)
・意義・意味(Meaning)
・達成(Achievement)
・対人関係(Relationships)
　聞き馴染みのない言葉も含まれているかもしれませんが、これから１つずつ詳しく説明していくので安心してください。　
　今回は5つの中の1つ、ポジティブ感情について解説していきます。

Vol.1 ポジティブ感情

1.ポジティブ感情とは

　心理学では諸説ありますが、ポジティブ感情は「幸せ、誇り、安心、感謝、希望、驚き」の6つの感情から構成されていると言われています。そして、これらの感情を生活の中で増やす事で人は自分の人生が幸せだと感じることができます。
　一方で、ネガティブ感情も存在します。ネガティブ感情も諸説ありますが、「怒り、イライラ、悲しみ、恥、罪、不安(恐怖)」の6つから構成されていると言われています。これらの感情が生じることは、一概には悪いとは言えませんが、何度も感じたり、強く感じるとうつ病などの気分障害を引き起こす可能性が高まります。

2.ポジティブ感情を増やすには

　先述の通り、ポジティブ感情を増やすことで、人は人生を幸せだと感じるようになります。逆に、ネガティブ感情を増やしすぎてしまうと、人は人生を不幸だと感じるようになります。では、ポジティブ感情を増やすにはどうしたらよいのでしょうか。その具体的な方法について解説していきます！

ポジティブ感情を増やす方法①

　1つ目は、良い所を見つける習慣を身につける事です。普段の生活の中から良い所を見つけるようになれば、ポジティブ感情を今までよりも得られるようになります。
　では、どうすれば良い所を見つけられるようになるのか。それが簡単にできる方法を今回はお教えします。その方法とは自分の周りで何かあったら、その度に「良かった・ラッキー・面白い・楽しい」などと最初にポジティブな言葉を発するようにしましょう。
　これは心理学の予測の自己実現という理論を理解すると分かりやすいです。予測の自己実現とは簡単に言うと、根拠のない思い込みが現実になることです。人は物事に対して、1つの印象を抱きそれが正しいと思い込むと関連する情報を探しすようになります。例えば、会社や学校に行く途中、「今日はいい日だ」と言葉にしたとします。そうすると、「今日がいい日なのは、天気が良くて気持ちいいから」「昨日褒められたから」「仲の良い同僚と働けるから」などと関連したポジティブな情報を探すようになります。最初は何も根拠のない「今日はいい日だ」という思い込みが、本当に実現するようになるのです。

ポジティブ感情を増やす方法②

　2つ目は、良い出来事を見つけた時に、その原因を自分に関連させることです。これは心理学者ワイナーの原因帰属理論によって、意欲を高めることが明らかになっていて、日本でもその効果は実証されています。原因帰属理論について簡単に説明すると、成功の原因を内的な要素(自分の才能、努力)に関連付けることで意欲が高くなる(誇りを持てる)ことが明らかになっています。逆に、成功の原因を外的な要素(運、他人、課題の難易度)に関連付けると意欲はあがりません。だから、良い出来事があったら、自分と関連づける方が良いのです。例えば、プロジェクトが上手く行ったときには、「自分にはこの仕事を上手くやれる才能があったからだ。」というように自分に関連づけましょう。これは日本人の多くが苦手とする所だとおもいます。なぜなら日本の文化として、謙虚であることが良しとされていて、幼い時からその文化に慣れてしまっているからです。実際、私も最初は躊躇しましたが、やってみると意外と自信が持てるようになってきます。そして、良い出来事の原因を自分に関連させる事に加えて、周りへの感謝を伝える事でよりポジティブ感情の総量が高まることが期待できます。

3.短期的なポジティブ感情

　一見ポジティブ感情が増えていて、「幸せだから、そのままで良い」と思える事も長い目で見ると、実はポジティブ感情を減少させてしまうことがあります。つまり、短期的にはその人のポジティブ感情を上昇させていても、長期的にはその人自身や周りの人を不幸にさせている場合があるのです。今回は、そんな悪い例である短期的なポジティブ感情もご紹介します。

短期的なポジティブ感情①

　１つ目は、タバコ・ギャンブル・薬物・スマートフォン・ゲームを含む依存症の場合です。行為をしている時に、人は心地よい(幸せ)と感じているので一見問題ないようにも見えますが、これは幸せな状態とは言えません。なぜなら、何かに強く依存している状態では幸せな人生に必要な5要素のうちのポジティブ感情しか満たせていないからです。例えば、スマートフォンに依存している場合、その時に面白いと感じたことについて何時間もただ眺めていることが多いので、達成や意義・意味を感じる時間は短くなってしまいます。対人関係にも悪影響を及ぼす可能性もあります(スマートフォンばかり触って家族や周りの人と会話しない等)。もちろん、気分転換や娯楽をすることは否定しませんが、スマートフォンは面白いコンテンツが数多くあるので、誰でも依存しやすいデバイスであることは理解しておいてください。もし代わりに何かするのであれば、ポジティブ感情、フロー、意義・意味、達成、対人関係に良い影響を与えやすいものを選ぶと、より幸せに感じることができると思います。読書、映画、家族や友人と会話する、勉強、ものづくり等は依存のリスクが比較的低く、自己の成長や対人関係構築に繋がる行為なので、人生を豊かにするには向いていると言えます。ちなみに薬物とギャンブルはどんな理由があっても、依存することはおすすめできません。薬物は使用時には短期的に高揚感や幸せを感じることはできますが、次第に強い不安や恐怖を感じたり、幻覚・幻聴などの禁断症状が出てしまうことがあります。ものによっては、脳に作用して脳を委縮させてしまうものもあります。そうなると日常生活に大きな支障をきたすため、対人関係を破壊し、達成や意義・意味なども感じられない人生を送ってしまうことになります。

　ギャンブルは掛けたお金よりも多く返ってきた場合には大きな幸せを感じることができます。しかし、その幸せ(快楽)は一時的なものであり、その快楽を得るために再びお金を使うようになります。ギャンブルの会場はきらびやかなで豪華な見た目をしている事が多いです。都会でも「何億円かかったのだろう」と思うような駐車場付きの大きなパチンコ店を見かけることがあります。パチンコ店も大きな利益を上げなければ、そんな立派な建物を建てることはできません。そのお金はどこから来ているのか。そうです。ギャンブルに依存している人たちから来ています。ご存知の通り、基本的にギャンブルはお金を使う人が負けるようにできているから、パチンコ店が儲かるのです。パチプロなどと称してあたかもパチンコで大儲けできるような情報を目にしますが、それはごく一部の運が良い人もしくは偽造された情報です。より幸せな人生を送るために、ギャンブルはしない事をおすすめします。精神科にかかる費用とギャンブルに一生使う費用を比較すると、精神科に使う費用は数万円かかったとしても100分の1程度で済むはずです。

短期的なポジティブ感情②

　2つ目は、他人に対して悪口を言ったり、いじめたりしてポジティブ感情(優越感や誇り)を増やすことです。実際に他人の悪口を言ったり、いじめたりする行為によって、脳内のドーパミンという快楽物資が脳内で増えることが明らかになっています。つまり、人は他人への悪口やいじめで幸せだと感じてしまうのです。しかし、この幸せは一時的なものであり、長期的にみるとを不幸になります。　

　その理由は心理学の返報性の原理で簡単に説明できます。返報性の原理とは、簡単に言えば「自分が良い事をすれば良い事が返ってくるし、悪い事をすれば悪い事が返ってくる」ということです。例えば、他人に親切な行為(良い事)をすれば、その人はあなたに親切な行為を返したくなり、親切な行為(良い事)が返ってきます。そればかりか、その周りにいた人たちはあなたのことを親切な人だと認識するので、あなたは信頼されやすく円滑なコミュニケーションが取りやすくなるのです。

　逆に、他人に悪口を言った(悪い事をした)場合、その人はあなたに仕返しをしたくなり、あなたを無視するか直接やり返すなどの行為(悪い事)があなたに返ってきます。また、悪口を言うのを見た周りの人は、「自分も悪口を言われるかもしれない」と思うようになるので、人に信用されにくく人との円滑なコミュニケーションが取りにくくなります。
　日頃から親切な行為をすれば、人から信頼され、コミュニケーションも上手くいきやすくなります。そういった経験を積み重ねると、他人は良い人だと思えるようになり、より一層人との関係性が良くなります。

まとめ

　今回の内容をまとめていきます。

①良い所を見つける習慣を身につける。(最初にポジティブな言葉を発する)
②良い出来事の原因を自分に関連づける。(自分の才能や努力のおかげで良い出来事が起きたと考える)
③依存や誰かをおとしめるような行動はやめましょう。

　以上の3つを守れば、あなたのポジティブ感情は上昇しますし、ポジティブなあなたに人は集まり、あなたが周りの人のポジティブ感情を上昇させることもありえます。つまり、あなたの意識１つで、周りの人まで幸せにすることができるという事です。

終わりに　

　今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。1人でも多くの人が少しでもポジティブになってみようと思ってもらえたら光栄です。
　次回はフローについてまとめる予定です。スポーツの世界ではゾーンと呼ばれることもあります。あまり聞き馴染みが無い人もいると思いますので、わかりやすく解説していきます。
　強みを生かして、何かに没頭した人生に憧れませんか？人は誰しも必ず何か強みを持っています。そして、それを日々使えるようになるとあなたの人生は大きく変わるのです。

　これから、日常で使えるようなあなたの人生をよりよくする情報をお伝えしていきますので、次回もぜひお楽しみに！

　また、今回の記事で新たな発見などありましたら、「スキ」をお願いします。今後の励みになります。これからも投稿していきますので、よかったらフォローもお願いします！
　記事の分からないところや指摘などありましたら、教えてください！コメントもお待ちしております。

参考文献

中野信子(2014)．脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体　幻冬舎新書

中野信子(2017)．ヒトは「いじめ」をやめられない　小学館新書

マーティン・セリグマン(2014)．ポジティブ心理学の挑戦　❝幸福❞から❝持続的幸福❞へ　宇野カオリ監訳　ディスカヴァー・トゥエンティワン

筒井清次郎(1992)．競技意欲・競技不安と原因帰属　

Weiner(1979)．A Theories of motivation for some classroom experiences. 

あなたのためのポジティブ心理学 ー幸せな人生に必要なたった5つのことー|【Vol.1 ポジティブ感情編】

寺尾誠弘