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【七転び八起き】

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起業からの七転び八起きの一転び目から八起き目までをまとめてみた。
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#飲食店経営

【七転び八起きの三転び目①】

【七転び八起きの三転び目①】

 認識の甘さから生まれたのはつまりほろ苦くビターな経験。

 思ったよりも旭川にはスペイン料理を待っていた層がいたってことにびっくりした。その辺の認識からもうすでに甘かった。
 全国的な流行りが蠢き出して3年目ぐらいだったと思うから、そういう層はきっと東京や札幌でスペイン料理を食べて、旭川にもこういう店が出来たら良いねって感じで心待ちにしていたのだろう。従来のスパニッシュイタリアン的な流れではない

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【七転び八起きの三転び目②】

【七転び八起きの三転び目②】

 平日でも普通に満席だったし、予約の電話は毎日何度も鳴った。
 半分イタズラで載せたバカデカい広告の効果は絶大で、BRASS MONKEYは移転オープンから連日満席で大盛況だった。少人数から団体客までバランスよく来てくれて、大学生からサラリーマンまで客層も幅広く取り込めた。

 料理をしていて楽しかった。
 オープンキッチンの店内はお客さんの反応がダイレクトに伝わってくる現場だったし、もちろん悪い

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【七転び八起きの三転び目④】

【七転び八起きの三転び目④】

 移転したBRASS MONKEYを一緒に支えてくれていた大学生の卒業は大きな転機だったけど、それは精神的な転機であって真鍮製の猿はいつも通り止まることなく走り続ける。

 そのまま大学を卒業したらお店で雇って一緒に働けないかなと真剣に考えたりもしたし、一緒に働きたいとも言ってくれていたけど、将来の安定や経済的なことを考えるとそれはどちらにとっても現実的なことではなかった。内定決まってたのトヨタだ

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【七転び八起きの四転び目①】

【七転び八起きの四転び目①】

 ELECTRIC SHEEPの店長はレゲエのセレクターをしていて、分かりやすく言うとレコードを回すDJね、HIP HOPクルーの一員としても活動していたから、出演するイベントがあったりしたら店の営業が終わってからクラブに顔を出したりすることが多くなった。
 お客さんにもDJやシンガー、ダンサーの子たちがいっぱいいたから、自然と友達が増え、気がつけば毎週末クラブで遊ぶようになってたんだけど、まだ旭

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【七転び八起きの四転び目②】

【七転び八起きの四転び目②】

 流行りの店への葛藤みたいなのが自分の中にあって、その頃はアイリッシュパブみたいなスタイルに対するそれが強かった気がする。旭川にも増え始めていたからね。
 そういう店に行ってフィッシュ&チップスとかがメニューにあると注文してみてたんだけど、オーストラリアに住んでた頃に食べていたそれとは違う日本化された料理、既製品を上手に使って。悪くはない、むしろクオリティは高い。
 だが気に食わない。そういうのじ

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【七転び八起きの四転び目③】

【七転び八起きの四転び目③】

 さて、groveの店長はもともと地元のイタリア料理の老舗で店長を任せれていたコだから、料理の技術はしっかりしてるし、店舗管理も経験があるから、BRASS MONKEYの方はそのコに任せても大丈夫だと思っていた。けど、それは大きな間違いだった。
 だからこそ任せるべきじゃなかったと今になって思う。BRASS MONKEYの料理や店に対する愛情や愛着なんかがない状態でのスタートになってしまったから。

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【七転び八起きの四転び目④】

【七転び八起きの四転び目④】

 BRASS MONKEYを残すか、groveを残すかの2択。冷静に考えれば間違いなく前者を残すのが正解だし、それは分かっていた。
 けど、そこで邪魔をしたのがプライドと煩悩ってやつで、より良い選択肢を理解していても、それが後退だと錯覚して間違った道を選んでしまう。
 もしあのタイミングでBRASS MONKEYを残していたら今の人生はなかったと思うから、それはそれで正しかったとは思うんだけどね、

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【七転び八起きの四起き目③】

【七転び八起きの四起き目③】

 一般部門のグランプリはフリースタイルフットボールのコが獲得して、自分はアダルト部門のグランプリになった。
 20万円貰えるラッキーぐらいに思っていたけど、受賞した後はローカルのテレビ局とか新聞とか雑誌の取材を受けたり、色んな人に声をかけられて、貰った名刺が花札かってぐらいの束になって困惑したりもした。
 さらにグランプリおめでとうで終わりではなく、1年間はエゾメンとしてメディア出演したりしなきゃ

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【七転び八起きの五起き目②】

【七転び八起きの五起き目②】

 流石にジャージではなかったと思うが、もしジャージだったとしたら全力で謝罪しよう。中富良野のとみたメロンハウスに初めて行ったとき、こんなところにこんな観光施設があったのかと正直驚かされた。
 中富良野には斜面にラベンダーが咲き狂ってるぐらいの印象しかなくて、子供の頃の思い出、家族で散歩した田舎のだだっ広い公園みたいなとこぐらいのイメージ。
 それがどうだ?目の前には洗練されたオシャレな空間。メロン

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