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【七転び八起きの四起き目③】

【七転び八起き】マガジン

 一般部門のグランプリはフリースタイルフットボールのコが獲得して、自分はアダルト部門のグランプリになった。
 20万円貰えるラッキーぐらいに思っていたけど、受賞した後はローカルのテレビ局とか新聞とか雑誌の取材を受けたり、色んな人に声をかけられて、貰った名刺が花札かってぐらいの束になって困惑したりもした。
 さらにグランプリおめでとうで終わりではなく、1年間はエゾメンとしてメディア出演したりしなきゃならない契約だと知ってゾッとしたけど、ただの賞金稼ぎで終わらず、店の宣伝にもなると思ったから知ってるフリで全て引き受けることに。
 そういえばグランプリ賞品のビールはこっそり酒屋に下げてもらって換金したんだったかな、ごめんなさい。

 一般部門でフリースタイルフットボールボールのコがグランプリになったこともあり、いつだか思いついたアイデアを実現させるチャンス到来、他の子たちも誘ってパフォーマンスチームとして活動しようという誘いをしてみた。どうせエゾメンとして1年間は一緒に色々と活動しなきゃならないわけだし。
 これがA.P.D.旭川パフォーマンスドールの誕生の瞬間であり、でも実際はリスタートの瞬間だったりもする。
 ちなみにチーム名はもちろん東京パフォーマンスドール由来であり、篠原涼子が好きだったからそうなった。

 そんなこんなでgroveは少しだけ延命に成功していた。店舗としてはあいかわらずマイナスではあったけど、エゾメンでのパフォーマンスを観た人たちや企業からイベント出演の依頼がきたからそのギャラでマイナス分を補填しながら。

 旭川パフォーマンスドールを結成してまず行ったのはスポンサー集めだった。公式サイトを作ってページの広告スポンサーと、チームユニフォームのスポンサーを集める。これはプロサッカーチームのやり方をモデルにしたやり方。
 確か初動で100万円ぐらい集めたんじゃなかったかな。そのお金で一眼レフを買って今度はPVの撮影。
 公式サイトとかPVをしっかり作り込むことで周知が進むと出演オファーをもらいやすいかなと。

 groveは赤字でもパフォーマンスのギャラで補填するというこの当時のやり方は美しくはなかった。けどそうするしか術はなく……なんて悲壮感はゼロで、ノリノリで色んなとこ行ってパフォーマンスして盛り上げてワイワイしてたのが懐かしい。
 売上ないしマジでヤバいね……OK、ピザ回してくるわ!みたいなノリで。

 このgrove最後の一年に関しては起きてるんだか転んでるんだか一番微妙な一年かもしれない。なんせ潰れる方に転がりながらのストーリーなわけで、逆転劇とか復活劇というよりは逃走劇とか脱出劇という感じだろうか。

 なので確実な五転び目というのがもちろん一年後に訪れる。

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