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出会い

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人と出会うと、すぐに言葉にしたくなる。この世界の何処かで出会ってくれてありがとう。
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#日記

同族INTP

同族INTP

「こういうの自分で撮っててさぁ、」

この後に、続く言葉を私は知っている。
私のSNSを目の前でスクロールしながら、冷たい視線を注ぐ彼が、次に口にする言葉を。

「恥ずかしくね?」

ほら、そういうと思ったよ、と私は頬が緩んだ。

「どうでしょう?」
そうやって笑いながら、真っ白なマグカップを口元へ運ぶ。

私は彼を嫌いながら、同時に隅々まで彼の心理が手に取るように分かる。

一生懸命になることで

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「楽しかった」という完結方法

「楽しかった」という完結方法

街中で聞こえてくる「かわいい」と、「楽しかった」という感情はどちらの方がより軽率なものなのだろうか。

もしかするとどちらもそうではないのかもしれない。

無意識のうちに、

素直に口から溢れでた、

温かいままの感情なのかもしれない。

「楽しかったらそれでいい」なんて言葉はとても便利であって、肯定文にだって言い訳にだって使えてしまうのだ。

「楽しい」という感情は割と手の届きやすいところにある

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桜を見て思い出すのは、きっとサンドイッチだ

桜を見て思い出すのは、きっとサンドイッチだ

お花見だなんて気分でもない時に、

桜を見ながら歩こうなんて誘いを受けた。

桜がどこに咲いているのかすら知らない私と、

このルートが綺麗なんだと率先して歩く目の前の人。

桜の景色よりも、公園で食べたサンドイッチをよく覚えている。

知らない人が犬の散歩をしながら話しかけてきて、

きっと話しかけてきた人は日本人じゃないねなんて話をした。

それ以外は何も思い出せない。

その日本人ではないで

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「俺なんかさ」の話

「俺なんかさ」の話

彼女は、事務もできて、他の仕事もなんなくこなすけど「俺なんかさ…」

君も、パソコンできるし、此処に居なくても生きていけるだろうけど「俺なんかさ…」

彼はさ、普通の仕事が本当はできるはずなんだよ。だから、どこに行っても困らないけど「俺なんかさ…」

彼は、いつもこうやって卑下し、自分のことを話してきていた。

暖かい癖に、孤独な人だと思った。

一度彼に尋ねてみたことがある。

「寂しくないです

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