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「俺なんかさ」の話


彼女は、事務もできて、他の仕事もなんなくこなすけど「俺なんかさ…」


君も、パソコンできるし、此処に居なくても生きていけるだろうけど「俺なんかさ…」


彼はさ、普通の仕事が本当はできるはずなんだよ。だから、どこに行っても困らないけど「俺なんかさ…」



彼は、いつもこうやって卑下し、自分のことを話してきていた。



暖かい癖に、孤独な人だと思った。





一度彼に尋ねてみたことがある。

「寂しくないですか」と。

そうすると、いつものおちゃらけた顔で「めちゃくちゃ寂しいよ」と言った。



女性のことをいつも「女」と呼ぶが、その時は「パートナー」が欲しいのかもしれないと言っていた。



彼は、悲しい時に笑おうと思える人で、

楽しいことへの探求心に長けている人で、

嫌われる勇気を持っている人で、



平等に皆に視線を送り、

平等に笑顔を与える人だ。






そして、人の言葉を決して笑わない人だと思った。



彼の言葉はとても楽天的だった。「なんとかなる」という想いそのままが言葉に表れていた。そしてまた「俺なんかさ」を繰り返し、ヘラヘラしながら他人を褒めた。





彼と eye to eye をする時、真っすぐさに飲み込まれそうになり何度も目を逸らしてしまった。

「私なんかさ」と言ったことは、今まで一度もない。しかし、別に自分に自信があるわけでもなかった。だから、自分の弱さを認められる彼の強さを羨ましいと思った。







だから、今度は、


「俺だからさ」が口癖になった彼に会えるの楽しみにしていようと思う。







p.s


最新記事3つとも伊勢で出会った人のことです。














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