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「美しい」
「ええ」
「純白の……」
「まァ、そうです」
「——ももひき」
「ありますか」
「あるとも。それから、転ばぬ先の……」
「杖でしょう」
「——杖学校」
「どうして」
「どうしてって時代さ。それから、食い終わり……」
「もう僕は箸をしまいます」
「——食い終わったはずの焼きそばの群れ」
「……そっと箸を出す。——お母さん、ここの焼きそば。やっぱり食い終わってからが一番だねェ」
「どうして」
「どうしてって、あァそうだ、兄さん。井戸を掘って宇宙に去った……」
「何が」
「——兄さん」
「誰の兄さん」
「誰のってことはないんです。それじゃ、砂場を掘って……」
「宇宙だろう」
「——掘って掘って、気づけば爺さん」
「婆さんは」
「まァ、婆さんも。だいたい人は宇宙人です」
「年はとるか」
「7倍です」
「——おい、だんだん宇宙の気持ちになってきた気がする」
「ご乗車ァ、ありがとうございます。本湯舟丸わァ……」
「——ももひきィ、杖学校前ェ、焼きそばの群れ経由ゥ、井戸を掘りィ砂を掘りィ……今はもう茹だってふやけた」
「次わァ、終点、終点の——終点だなァ」
「終点だ」
「どうも名前もないみたいです」

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