お人好しな依頼⑬【不幸者の幸い(3/3)】
「ひとつだけどうしてもわからないことがあります」
「何でしょう?」
「どうして僕たちだったんですか? 他にも探偵はたくさんいるでしょうに。それにたとえチサトさんの初恋の人は見抜けても、アタルさんの犯行には気づかなかったかもしれないのに。そのときはアタルさんに遺産を全て渡す可能性だってあったんですよ」
「……そうね、これは正直言って賭けでした。でも私には勝算がある賭けだったわ。是枝さんを選んだ理由ね。まずひとつめは、近くに私を見守ってくれる協力者が欲しかったの。アタルはなりふり