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日本人的感覚からすると理解し難い3か月の夏休みって!?アメリカのサマーキャンプ事情。

皆様、こんにちは。先日記事にしてほしいトピックについて質問ボックスをしました。たくさんのご質問やリクエストありがとうございます。今回はその中でもリクエストの多かった項目の3本立てで記事を綴りたいと思います。今回の1本目はアメリカのサマーキャンプ事情について。

アメリカの夏休みはとにかく長いんです。

海外の夏休みは長い!ということで、息子の学校も6月中旬には終わりました。アメリカの多くの学校は5月末〜6月に終了し、6月の上旬から8月の下旬まで2か月半〜程度。親の気分は3か月・・・。この長い夏休みをどうやって過ごすか、毎年親たちが頭を悩ませるところです。この長―い、長―い、長すぎる、夏休みがあります。みんなどのように過ごしていると思いますか?

その答えはサマーキャンプです!とてもではありませんが、親も子供たちにウチにずっといられてはかなわないので、キャンプに通わせるのです。なぜ、アメリカではサマーキャンプが話題になるかというと、アメリカの夏休みがとっても長いからです。州や町によって異なりますが、基本的には、2.5か月近く夏休みがあります。

こちらの夏休みは「休み」ではなくて、学校ではできない経験をして「成長」するための夏季休暇になります。なので、塾はないですし、学校の宿題もありません

サマーキャンプって何?

サマーキャンプとは、夏休みに子供たちが通うプログラムの事です。日本人が思い浮かべる山でテントを張るキャンプとは違います。

タウンが行うもの、プライベートスクールが行うもの、ファームが行うものなど、いろんな種類があります。内容もただ遊ぶだけのところから、しっかりお勉強もしてくれるところまで、様々。フィールドトリップに行くキャンプやお泊りキャンプもあります。

今まで息子は2回程サマーキャンプを利用しましたが、正直年齢的に名前はサマーキャンプではあっても時間も短く、ナーサリーに近いサービスが多かったです。しかし、4〜5歳を超えるとサマーキャンプの幅は一気に増します。なので、今回はそんなアメリカのサマーキャンプにについて、ご紹介します。

大きくは、サマーキャンプは日中のみのデイキャンプと宿泊キャンプの2つに分かれます。日本でキャンプといえば、泊まりのキャンプのイメージですが、アメリカでサマーキャンプといった場合、日本と違って、ほとんどはディキャンプになります。1週間単位で開催されるものが多く、テーマもまちまちですが、働くお母さんにもありがたい、学校と同じく8時~15時のフルデイキャンプと、午前と午後だけに分かれている(もしくは短時間の)ハーフディキャンプがあります

内容は、カテゴリーに分けると以下のようなものが多いイメージです。

1)STEM系:プログラミング、ロボティックス、宇宙系、数学系などのキャンプ。非常に数が多く、沢山あるものの中から価格や時期、内容に応じて選べます。ヒューストンはNASAがあり、そこでもサマーキャンプをしています。中学生くらいになると、国際宇宙ステーションと実際にアマチュア無線で交信したり、火星での居住シミュレーションなどを行ったりします。また、地域にあるChildren’s Museumのものは幼児から小学校2年生くらいまでのもう少し小さい子向けで、レゴロボティックス、サイエンスのものが実施されています。

大学でも、子供~高校生向けのキャンプは実施しています。内容的には大学の教科内容とは別ですが、キャンパスに行ってみたい!という方はおすすめです。ただし・・高いです。色々なサマーキャンプを見ましたが、有名大学が主催するサマーキャンプだけかなり金額が跳ね上がるイメージがあります。

あとは、地元のタウンセンター、YMCAで実施しているほか、私的な団体や私立小中学校で面白いキャンプをやっているところは沢山あります。だいたい1週間で300ドルから500ドルくらいなイメージでしょうか。

2)ART系:4歳くらいからスタートできるART系キャンプ。こちらも人気で、上記のとおり子供向けのミュージアムや大学併設のキャンプ、タウンセンターなどでも実施していますが、美術教室でもテーマを決めて、1週単位でキャンプが実施されます。

4)演劇系:演劇系のキャンプも豊富です。子供向けのミュージアムでシェイクスピアのものをやったりします。

5)スポーツ系:もちろん、水泳・サッカー・テニス・ラクロス・バレーボール・バスケットボール・空手、、などなどスポーツ系のサマープログラムもあります。スポーツクラブが実施するいろいろなスポーツを1日でやるものや、特定のスポーツ領域を強化するものと両方あり、1週間単位で開催されます。こちらも、スポーツスクールの他、大学でもタウンセンターでも実施されます。甥は今フェンシングとバスケに大多はまり中で、サマーキャンプはやはり、フェンシングとバスケに通っています。その他、ディベートやサバイバル技術、いろいろな文化を学ぶものなど沢山あります。

6)泊まりのキャンプ(Overnight Camps):こちらは、ずいぶんと日本と違っていて、期間は最低でも1週間。2週間~3週間のキャンプが多く、基本的にあまり移動しないで広い(多くは湖畔の)キャンプサイトで過ごします。年齢は6歳くらいからですが、実質的には9歳前後から検討し始める人が多いようです。大型のキャンプは小学生から高校生までが一緒になって、長い期間キャンプ地でいろいろなアクティビティをして過ごします。こうしたキャンプは、キャビンという山小屋で、グループに分かれて2段ベッドで寝るタイプのものが多いようで、大学生がカウンセラーとして子ども3-4名に対して1名つき、一緒に寝泊まりします。

アクティビティはみんなが一緒のものをするのではなくて、たとえば、水泳やいくつかのプログラムは必須ですが、テニス・乗馬・ゴルフ・フリスビー・バスケットボール・ハイキング・サッカー・釣りなどなどからやりたいものを選んで、異年齢で楽しみます。みんなと同じことをやらないあたりが、アメリカっぽいですよね。

でも、こうやって書くとすごそうに見えるかもしれませんが、質もピンキリですし、日本には自然体験系の泊まりキャンプも含め金額的にも良心的でいいものが沢山あると思います。

アメリカの場合、キャンプにもよりますが、カウンセラートレーニング、施設維持費、そしてなにがなくともべらぼうに高い保険料が原因で選ぶキャンプによっては異常な価格設定で度肝う抜かれました。

比較的、良心的なデイキャンプも日本の感覚からするとかなり高いと思います。もし1週間300ドルの良心的なデイキャンプに8週間行ったら、それだけで2400ドル、子どもが二人いたら4800ドル、三人いたら7200ドルです。今の日本円で換算したら、今日時点で$1=135.94円なので、3人子供がいる場合最低でもサマーキャンプ代だけで100万は最低でもかかってくることになると思います。

確かにこれだけの経験を夏にするのは素晴らしいのですが、本当にアメリカって生きるのが大変な国だとも思います。なので、貧困層の子はとてもではないけどこんなキャンプに行けません。NPOや教会がこういった問題に対応するため、学習支援を含めたキャンプを実施したりしていますが、まだまだ足りず、家でテレビばっかり見ている子も多いはずです。あたりまえですが、こういう構造のため、夏に大きく学力や経験の格差が広がってしまうのが現実です。ということで、お財布にもなかなか負担の多い、アメリカのサマーキャンプ事情です。

そもそも、大前提に、日本人的感覚からすると、3か月の夏休み!?!っていくらなんでも長すぎですよね(笑)

いつから申し込みが始まるの?

さて、サマーキャンプは、いつから申し込みが始まるのでしょうか。こちらも、全く様々。夏を迎える前の春ごろから「サマーキャンプ、もう申し込んだ?」と言う声が聞こえてきます。3月にはサマーキャンプの早割が終わっているところもあります。早いところなら、冬から申し込みを開始するところもあります。早割が3月まで、4月までなどというところもあります。気になるサマーキャンプがあるのなら、早めに調べておきましょう。

最高の夏の経験を

多くの親は、子供たちが夏休みを有意義に過ごすにはスポーツをしたり、屋外で日差しを浴びながら、一生の友と言えるような友達と楽しい時間を共有することが素晴らしいということを知っています。

子供にあったサマーキャンプに参加する事で、子供たちは、スポーツの能力や、芸術的な才能、冒険心などを高めることができ、生涯にわたり活用できるスキルを育む事もできます。これらのプログラムではさまざまなアクティビティが提供されるため、子供たちは、あらゆることを試してみたり、どのようなスキルを磨きたいのかを自分で判断する事もできます。

スポーツなどのアクティビティは、単に子供たちの運動能力を高めるだけではありません。 コミュニケーションスキルの育成につながると共に、彼らに自信を与え、仲間と協力しあうことの大切さを理解できるようになります。

子供たちは、サマーキャンプの際に学んだ社会的スキルを学問的および社会的な環境の場で活用し、成長を遂げていきます。

たかが一日、されど一日

息子は小な時から自立が早い性格で、慣らし保育的なものを1歳2ヶ月で経験しましたが、1ミリも不要なタイプの人間でした。今回もそうですが、朝8時〜16時までの長い時間、誰一人知らない環境に息子を預けたことがこの年齢までないです。そんなことでソワソワする初日の母親とは反対に、車から降りる息子の足取りは爽快でした。小さな子供が、初めてキャンプに参加する時には多少の不安はつきものですが、楽しいアクティビティに参加し、新しい友達と出会い、そんな環境に身を置くこと。迎えに行った時に車の中から見た、息子が大きなお友達と戯れ合う姿とこちらに向かうその満面の笑みを見て私の恐怖心は薄れました。

幼い子供の決定事項は、家では両親によって、また学校では、教師によって導かれることが多く、全てを自分自身で選択することができませんデイキャンプで提供される育成環境は、安全な空間で、のびのびと、自由に学びながら成長することを可能にしていると信じています。

また、今回息子は5歳〜15歳対象のキャンプに申し込みました。もちろん、最近5歳になったばかりの息子がクラスでは一番小さいそうです。

息子は初めての人や環境で泣いたりは一切しませんが、私と正反対の性格で、とにかく自分が納得するまでは観察をし続ける性格です。なので私からは彼自身がその事柄に納得するまでに、自分からゴーサインを出すまでの時間は非常に消極的な性格に見ています(子供時代、夫がまさにそうゆう性格だったので、息子の気持ちが手にとるようにわかるそうです)。

なので今回のサマーキャンプでは、彼の親友や友達が参加するのと同じサマーキャンプに参加する選択はなかったです。そして、彼が普段接する事のできないような新しい人とも関係を構築して欲しいという思いが私たち親の一番の今回のサマーキャンプへの期待値設定です。

子供は、友人の全くいない環境に置かれる事で、新しい社会的関係を作る事ができるようになります。キャンプのスタッフたちは、いじめや喧嘩などを防止し、子供たちが自分の言葉でお互いを分かり合えるような育成環境を提供するように訓練されています。消極的な子が、他者とのつながりを持つきっかけを作る機会になるとも思います。

サマーキャンプが始まり2週間が経過しました。まさに、たかが一日されど一日を痛感しています。その一日の積み重ねが大きな結果を生みます。既に彼は驚く程に人格の変化が露骨です。あまりにすごいので、最近、家に入る前に父親と話し合いの時間を設けれれていました(笑)よく話し合いの時間を息子と設ける夫ですが、あそこまで、強い意思を伝え、約束をさせている夫を見たことがこの5年間ありません。それくらいに、たった1週間で息子に変化が出て来ているということです。

東京での環境ではいないようなスタイルの子供しかいない環境で、良いことも、悪いこと全てをスポンジのように吸収している姿を見ていて面白いと感じます。東京では圧倒的に体格のある息子が(年齢的に一番下なのはもちろんですが)とても小さく感じる環境で、ラフにプッシュバックされるのがとても新鮮なようで、この環境が新鮮すぎて凄い楽しいそうです。今の彼の環境にとっての当たり前がここでの当たり前ではない話もよくしてくれます。

言葉使いも正直どっから覚えて来たのかってような悪い言葉も使うようになりました。でも、それでいいと思っています。ここでのスタンダートを夏休みタプタプに染み込ませ、東京に帰りたいと思います。

二つの文化の親のもとに産まれた息子のような人間にとって、このような経験は彼のアイデンティティの構築にものすごく重要だとも考えています。高学年の子供たちを中心にキャンプに参加する多くの子供たちに揉まれ、長い期間、親から離れて生活する大きな環境の変化は新しい何かを彼自身が見つけるをチャンスになるとも思っています。こういった体験を通しさらなる独立心が芽生えることで、子どもたちは自分自身についてもっと知ることができます。また、成長をするにつれて、自分と向き合う習慣がついていくのです。

多くの子供たちは、幼い頃から夏のキャンプを体験し、年を取るにつれて夏のキャンプにもっと積極的に参加するようになります。この夏休みで、息子はどんな風になっているか、どう変貌するのか楽しみです。


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