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出会う本と、その役割について森絵都から考えることになった私は、自分の役割を問う

たまに、読んでみて欲しいと言われる本を紹介されるようになった。

こういう事は、今まで全くなかった。近くに1人も読書を好きだと話す人も居なく、読書に興味を持っている友人も居なかったからだ。

今のように、SNSなどで頻繁に本と出会えたり、その人の感想を読むことで「その人」の人となりが分かるのも面白いと感じる。

なるべく読んでみて欲しいという、そのリクエストには応えたい。それは、本が好きだし自分が何より特定の分野に限定されたくないからだ。

そうは言っても、私にとって興味がある分野は果てしなく本が存在する。生きているうちに読みきれない。でも、今生きているタイミング、タイミングで出会う本は大事に読みたいと思っている。

その人にとって大事な本となる森絵都の「つきのふね」を紹介して貰った。

久しぶりに読む、現代表現はスラスラと読めてスッと心に入ってきた。

児童文学に分類されるこの本の作者の他の作品を読んだ事を思い出した。それより少ない情報量で文を削減させ、なるべく心の動きを鮮明に描く事を重点的に書いている気がした。

森絵都の中でも児童文学の表現は使い分けていると書いてあった。

私は、読む対象を考慮して文章を書く事が現在出来るだろうか。多感な時期の人達の心に伝わる文章を書けるだろうか。

この本のジャンルをヤングアダルトともいうらしい。

英語圏の図書館においては児童文学と文学一般の間、12歳から18歳までの読者を対象に書かれた文学に対してYoung adult (YA)というカテゴリーを設けている。日本では13歳から19歳を読者層として想定している図書館が最も多い

Wikipedia より

初めてこういう事を考えた。

この本は、それくらい真っ直ぐな心の不安定さや、あの時期特有の社会への不安さや、誰も信じられない気持ちを持ちながら、どこかで誰かを信じたい気持ちを丁寧に表現している。照れ臭く真っ直ぐだ。

そこまで書かなくても分かるよ。

読みながらこう考えていた気持ちは、昔の自分を振り返るきっかけをもらいながらだんだんと変化する。

ここまで書かないと理解出来ないかもしれない。

と、変化していった。それは思春期や、反抗期特有の自己の殻に閉じ籠る期間は、誰の意見も誰の行動も見えない。ただ、漠然と現実が襲ってくる不安だけの日々であり、それをまた誰に何かを教えて貰う事もなく進んでいく。

稀に道を示してくれる識者や、先生、大人に出会う人もいるだろう。だが、それはごく少数だ。ほとんど無いと考える。そう易々と本当に尊敬出来る人になんて、狭い社会で都合よく出会えない。私の場合はそれすら拒否していた。

そういう時期に、代弁してくれている本があったらどう思うだろうか。

私は、ある年齢層の誰かに寄り添うような文章や、考え方を描いたことも無かったが、最初からそこの年齢層に向けて書いているという凄さを知った。

本の醍醐味とはなんだろうか。

私は、この本を読みながら普段は、純文学や好きな作家から自己の内面への探求をしていた私に、違う視点をくれた事に感謝しなければならないと感じた。

必要な時期は人それぞれ違うのが本。この本を然るべきタイミングで読み、大事な本だと言ったその人は本に呼ばれていたとしか思えない。

そういう本に出会えたら本も人も幸せだ。
何に価値を見い出し、時間を豊かにするのか。

本の感想とは、不思議なものだとも思う。別に内容に触れても触れなくてもそれが感想だからだ。

自己の探求は尽きない。少しでも私を知ってくれる人に出会えたらと考える。

私が出会ったその時期の本が私に「笑ってもいい」ということを、教えてくれた本があった事も思い出した。

なんのはなしですか

本の出会いも人の出会いも同じだ。
その人が読んで何を感じるか知りたいと思う気持ちは素直に受け取ろうと思えた。

私に、読んで欲しいと言われる幸せを感じながらその一方でどうしても私に邪念が生まれる。

この私に紹介ウフフシステムをどうにかこうにか、今後新手の出会いの形に変更出来れば、私は今後出会いに困らないのではないだろうかと考えてしまう自分に、ヤングアダルトを読む資格は問わないでいただきたい。

それと最後にもう一つ。私にこれを読んで欲しいと紹介してくれたキレイな女性が本当に存在したか。

それは、私だけが知っていればいい本当のことである。

最近は世知辛い。私のアカウントは私の世界だ。

これからも何一つ本当のことは、書かない。

それでよければ一緒に楽しもう。


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