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野呂巧さん/ウチノ食堂藤蔵 kitchen To-Zo-

これは、これからの働き方・暮らし方を考えていく人のためのインタビュー記事です。 「働き方・暮らし方を変えたい」と感じたとき、旅先で出会う案内版のような地図があったらいいな…と思ったことがきっかけで、この記事を書くことにしました。働き方と暮らし方が多様になった今、これからの一歩を踏みだすために、どんな道しるべがあったらよいのでしょうか。 多様な視点を求めて、新しい働き方と暮らし方を実践する10人の方にお話をうかがってきました。

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興味を軸に⾏動していくことで同じ興味を持つ⼈が集まり、自分と周りの⼈の居場所ができていくと思っています。


野呂巧|のろ・たくみ
新潟市⻄区⽣まれ/大学卒業後16カ国を旅し、営業職、飲⾷店勤務やゲストハウス⽴上げに携わった。2017年より⽣まれ育った内野町にて、ウチノ⾷堂藤蔵 Kitchen-ToZo-を開店。訪れる⼈の好奇⼼をくすぐる「気になるモノ」がある⾷堂で「⾯⽩いことが⽣まれる場」を育てている。 

His works

定⾷とカレー、お惣菜の販売をする店を営む巧さんの仕事は、⾷事の提供に留まらない。「ヒトやモノが交わる、イレギュラーな出会いのある場にしたい」という⾔葉の通り、店には本・写真・⾳楽・イベント・⾊々な⼈々が集う。⼦供・お年寄り・地元の⼈・他所から来た⼈が交差する、スペインのバルのような自由な場所。彼の仕事は⼈と⼈、⼈とモノの出会いが発⽣するような場を作ること、その場から⽣まれてくる新しい試みを育てることだ。

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His point of view

 「20代は目標達成のため逆算式で考えてきた」という巧さん。「店づくりも目標に向けてデザインしましたか?」と尋ねると「デザインはしてないです。様々な⼈が改装に参加してくださり、⾝近にあるものを組み合わせ、考えながら作っていった、コラージュのようなものです。」という答えが返ってきた。 

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どんな経緯でその仕事をすることになりましたか

⾼校3年の時に読んだ本「世界⼀周しちゃえば?(WORLDJOURNEY)」がきっかけで旅をしたくなって。大学では地域研究をして、旅費を稼ぐために飲⾷店でアルバイトをしていました。卒業した2011年3⽉、お⾦が貯まったので念願の世界旅⾏へ。7ヶ⽉かけて16カ国を旅しました。

旅の後、関東で営業の仕事と飲⾷店の店⻑を経て、2015年に新潟に帰ってきました。「ゲストハウス⼈参※1」の⽴ち上げに参加したのはその直後です。 同じ頃内野町では、町の暮らしに根づいた⽼舗と、若者や新しいコトの関係性が積み重なっていくような場が増えていました。僕自⾝は、ツルハシブックス※2やイロハニ堂※3、飯塚商店※4など、⾊々な世代の⼈達との繋がりが増えており、内野町を⾯⽩いと感じていました。

自分の店をやりたい気持ちはもともとあったのですが、偶然空き店舗が⾒つかった機会にご縁だと思い、店を始めることにしました。 

大切にしたいことは何ですか

何かに興味を持つことです。本屋の仲間がいるからアパートメントブックス※5ができる。僕が好きだと思ったCDや本を共有したいから売るとか。 興味を軸に⾏動していくことで同じ興味を持つ⼈が集まり、自分と周りの⼈の居場所ができていくと思っています。

あなたの原点を教えてください

スペインを旅した時に出会ったバルです。⼦供、お年寄り、サッカー観戦をする⼈やゲームをする⼈もいる。とても自由で、すごく好きな空間でした。 だからバルみたいな、年齢や目的を問わず、⾊々な⼈に開かれた店を作ろうと思いました。飯塚商店や、コメタクとの関わりもあった中で、内野町に合う形を考えたら⾷堂がいいなと思って。ランチ、カフェ、持ち帰り惣菜もあるお店になりました。 

時間の使い方について意識していることを教えてください

 コミュニケーションの時間を重視していることです。お客さんと話す、時には⾷卓を囲む、遊ぶ。店に来る⼈と接することで何か企画ができたり、イベントができるかもしれない。店の営業時間を、お昼時から⼣方までにしているのは「何か起きるかもしれない」時間が⾯⽩いからです。 

お⾦の使い方について意識していることを教えてください

個対個でする、顔が⾒える関係での商売は、お⾦だけじゃなくて信頼もやりとりしているんだと思います。その⼈の商品だから欲しいとか、その⼈と⼀緒にお⾦や時間を使って企画をしたいとか。だから、できるなら、顔の⾒える⼈から買いたいし、関係性が近い地域や⼈が作っているものを買いたいと思っています。 

働き方・暮らし方を変えようとしている⼈に伝えたいことはどんなことですか

「好きなこと」「気になること」など、自分が興味を持てることを探すことから始めたら良いと思います。 最初は興味を持ったことを⾯⽩がるところからで良いんじゃないでしょうか。それから興味を持ったことについて、なぜ気になるか、掘り下げて考えてみたり、興味を軸に⾏動してみてください。 

(取材⽇:2018年11⽉23⽇)

※1 新潟市中央区古町通三番町にあった、団⼦・餅菓⼦の⽼舗「古町伊勢屋」をリノベーションして⽣まれたゲストハウス。
 ※2内野町にあった「⼈⽣の旅」の途中で⽴ち寄るゲストハウスのような本屋。店舗は2016年閉店。現在は不定期でのイベントのみの活動となっている。
 ※3ツルハシブックスの2階にあったカフェ。2016年に閉店し、2017年より上越地域医療センター病院内1階で営業している。
 ※4内野町に古くからある米屋。来た⼈それぞれに合うお米を選んでくれる他に「つながる米屋コメタク」「雑貨・古道具デネッカ」等、若者が営む店舗を受け⼊れている。
 ※5ウチノ⾷堂内の書店ブース。ウチノ⾷堂に縁のある本屋が出店している。

▼さらに詳しく知りたい方へ

 ウチノ⾷堂藤蔵Kithen To-Zo
(https://kitchen-uchino.com) 

読んだ方へのお願い

あなたがこの記事を読み、働き方や暮らし方について考えたことは、わたしたちがこれからを考えるための大切な道しるべになります。感想をお送りいただけることを、心からお待ちしています。 感想の送付先は、moshimo.theater.info@gmail.comまでお願いいたします。 

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