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独特の世界観で海外にも多くファンを持つ作曲家・ギタリストの逆瀬川剛史さん

アジア・日本を代表するグローバルなギタリスト逆瀬川剛史さんにインタビューさせて頂きました。

逆瀬川剛史さんプロフィール
出身地:鹿児島県活動地域:福岡、東京、大阪、アジア各国、アメリカ、オーストラリアetc
経歴:逆瀬川剛史(さかせがわ・たけし) 作曲家 / ギタリストアコースティックギターのあらゆる特殊奏法を駆使し、ギター一本とは思えない圧倒的なパフォーマンスと独特の世界観を提示し続けているソロギタリスト。メロディアスで哲学的な示唆に富む楽曲は特に海外で広く受け入れられており、これまでに中国、韓国、台湾、シンガポール、香港などアジア各地での大規模なコンサートツアーを次々に成功させた。動画投稿サイト「YouTube」では多くのフォロワーが彼の楽曲をプレイした動画を見ることが出来る。ギター専門誌においては次世代を担うギタリスト15名に選出され、TBS系列「感動!レジェンド動物園(出演:滝川クリステル、剛力彩芽他)」シリーズのテーマ曲や中国の大河ドラマ「大唐栄耀」「軍師連盟」の挿入曲を担当するなど、楽曲のオリジナリティが高く評価されている。「音楽の無い場所に音楽を届ける」ことを活動の中心にしており、これまでに東大寺や橿原神宮、太宰府天満宮、またニコライバーグマンカフェ「NOMU」や小杉放菴記念日光美術館といった数々の文化的・歴史的な場所でコンサートを行っている。また、2018年には東大寺とのコラボレーションアルバム「花のごとく」をリリース、東大寺本殿での奉納演奏を行う。

逆瀬川剛史さん、以下、逆瀬川
よろしくお願いします。

Q:現在どんな夢やビジョンを持って取り組んでいらっしゃいますか?

 「心の声に従って舵を取り

           オリジナルな世界観を描きたい」

逆瀬川:ノスタルジックで抒情的なメロディーが綺麗な楽曲を描きたいと思っています。技巧派ギタリストに思われることも多いのですが、あまり技巧的な部分をフィーチャーすることはありません。自分が好きなのはメロディーを作ることであって、あくまでもギターはそのためツールだと捉えています。

オリジナルばかり作っていると、もっといろんな人の曲をカバーした方がお客さんにとってはいいのかなと考えたりして悩んでいた時期もありました。でも、自分の心からやりたいことでないとモチベーションが湧かないんですね。楽しいこと、自分の納得行くことに集中したほうが結果的には良い仕事に繋がるなと思っています。

昨年から独学でピアノも学び始めました。絵で例えるなら、ピアノはギターよりもキャンバスの大きさが大きく絵筆の数も多いようなイメージです。なぜピアノを始めたかということですが、創作のパターンを増やしたかったのもありますし、単純にピアノの美しい音には昔から憧れがありました。先日実家に帰った時にピアノを弾いてみたら、母親が意外にも上手だとビックリしていました。ピアノの関してはどこかに習いにも行くことも考えましたが、結局のところ自分で学ぶ姿勢が大切だと思い独学で練習しています。

新しいことを練習する時には、練習中に自分の体や脳に変化が起きているのかを見定めることが大切だと思います。教室に習いに行くと、行っていることに満足してしまって実際に自分に変化が起こっているのかを見定めにくいと思います。たとえ独学であっても、自分自身の変化によく注目してしっかり練習を積み重ねていけば、十分成長できると考えています。

独学の過程で間違えて覚えたことだったり、工夫して練習したりする中からオリジナリティーも生まれると思います。間違いを恐れて「正しいやり方」を探し続けるより、間違えながらでもやり始めることが大切です。そのうち間違えたことも自分らしさに繋がっていくと思います。世の中のほとんどのものには実は正解なんてないわけで、何が正しいかは本人が決めるしかありません。

Q:その夢を実現する為にどんな目標計画を立てていらっしゃいますか。

逆瀬川:以前は自分の活動を外に発信し続けることに重きを置いていましたが、30歳を過ぎた今はより内面を探求する方に重きを置くようになりました。

実は一時期SNSに対して違和感を感じていました。いいねの数を競ったり、よく知らない人の投稿でタイムラインが埋め尽くされたりする状況を見て疲れてしまったんですよね。でもそこから一周して、また前向きな気持ちで向き合えるようになりました。最近はYouTubeに力を入れていて、Vlogといってブログを動画形式でカジュアルにアップするやり方をしています。これがなかなか面白いんですよ。

ミュージシャンのYouTube戦略というと、カバー曲やレクチャー動画をたくさんアップするというのが定番です。しかし僕はカバー曲を演奏することにそこまで興味が無いですし、レクチャー系はギター好きの人にしか訴求しません。ライブやイベントで僕のことを知ってくれた一般の方が、なんとなく流し見出来るようなチャンネルは作れないものかと思って、Vlogチャンネルを開設しました。日記感覚でカジュアルに話をしているのを撮って、ほぼ編集無しでアップしています。何かの拍子にたまたまYouTubeで僕のことを知ってくれた人がいたとしたら、そこから僕の音楽にも興味を持って聴いてくれる可能性が生まれるので面白いですよね。

記者:私も逆瀬川さんのCD2枚持っていますが、ライブでの曲も話しも面白くてその場で購入してしまいました。日本人の琴線に触れ心の中心にグッと来る曲に惹かれて。翻ってエネルギッシュな楽曲も大好きです!

                   逆瀬川剛史「希望の大地」

「創作をして深め、それを通して

                   人々と交流を深めていく」

逆瀬川:ありがとうございます。何か創作してみたいというのは小さい頃からずっと思っていました。自分がやりたいこと、向いていることに集中するというのは本当に大切なことだと思います。目の前のことに振り回されて、自分の特性を見誤ってしまうのは自分にとってかわいそうなことです。

かくいう僕自身も、目の前の色んなことに翻弄されていました。音楽を仕事でやる上では、お客さんが喜ぶように努力するのは当たり前。でも、なんでもかんでもお客さんの要望を聞いていると自分らしさが失われていくのも事実。何かを発表すると、賛成意見もあれれば反対意見も出て来ます。これは当然のことです。そこで大事なのは自分がどう感じるのか?ということ。先に述べたように、「答えは人が決めるものではない」ということです。

記者:素敵です!生き方の深いところに哲学を取り入れてらっしゃいますね。

Q:どんな心のあり方や認識の変化があって常に自分の軸を維持できているのですか。

逆瀬川:ステージに立つ時以外はドロ臭いことばかりやってますよ(笑)。練習も地味ですしメールのやり取りや交渉事も自分でやっているので。でもこういった一つ一つが大切なんですよね。何か新しい技術を習得しようと思ったら5年はかかるというのが自分の考えです。なので色んなことを5年刻みで考えています。

最近ではいかに執着と向き合うかとか、そういったことをよく考えます。SNSとかでキラキラしている人を見ると、心がザワザワすることって誰しもありますよね。そういった感情は無くなることはありませんが、付き合い方次第では味方に付けられます。日常の中で起こるような、誰にでも起こるような感情をどう御すか。仏教的な考え方ですが、ブッダも同じような感情と向き合っていたんだと思います。

作曲という作業は、人と比べるのではなく自分の世界を深めていく行為です。ワクワクしながら曲を作っていくという人生の中に、執着に対する一つの答えがあるように感じています。

記者:そうだったんですね!内面の追求を通してネガティヴとポジティブ両方の感情にありのままに向き合い、最後は何とも比較しない自分と出会って行く道がオリジナル曲だったのですね。

Q:これからの未来に何を残していきたいですか。

    「大人がもっと夢を見れる世界に」

逆瀬川:大きく世界を変えることは難しいかもしれないけれど、1人の変化がじんわり周りに伝わるように、小さく変えていくことは可能だと思います。僕は、「自分って本当はこうなんだけどな」って自分の中に違和感を抱えている人に寄り添える言葉や音楽を創っていきたいです。

そして、大人がもっと夢を見れるようになれたらいいなと思います。人間は死ぬまで可能性に溢れています。それなのに、皆次世代に託すのが早すぎる。まだまだ自分自身の可能性を全然試し切ってないまま、「若い世代に伝えていきたい」とか言うのはおかしいと思うんです。40歳、50歳からミュージシャンになる人だっています。いつ何をしたっていいんです。

僕は英語が好きなんですが、一人で勉強するより周りを巻き込んで勉強した方が学習効率もいいと思って、10回限定で英語勉強会を開催をしたことがあるんです。その時、上は60歳の方が参加してくれて、とても楽しい経験になりました。その60歳の方はその後、佐賀のバルーンフェスティバルの通訳をするまでになったんですよ。彼もまた、何事も遅すぎることは無いということを教えてくれました。

Q:全世界で活躍する逆瀬川さんからみて日本人に共有したいメッセージは何ですか?

逆瀬川:いろんな国に行く中で思ったことは、どの民族にも同族意識と同族嫌悪があるということです。海外は開放的で日本人は閉鎖的、と思ってる方は多いでしょうがそれは間違いです。どの国にも同族意識と同族嫌悪の両方が存在しています。どこも同じようなものなんだなぁと思いましたね。英語に関しては、日本人は自分の英語が下手だと思ってる人が多いですが、僕は世界的に見ても日本人は英語力があると思います。

例えば英語で「私はギターを弾きます」と言う時、”I play the guitar.”となるのは分かりますよね。じゃあベトナム語だったらどう言うか分かりますか?恐らく殆どの方が分からないと思います。これが本当の意味で「分からない」状態なのであって、それからすると英語ははるかに分かっていると言えると思います。「日本人は英語が下手」と言っているのは実は日本人が作り出した幻想です。そういった作られたステレオタイプに惑わされずに、実際のところはどうなの?と一歩引いて考えてみることです。

国や民族が違っても、人が何を嬉しいと思い、何を嫌うかなんてことはそんなに変わるものではありません。「アメリカ人はこう」「中国人はこう」といった作られた概念に頼って思考停止するのではなく、目の前の一人ときちんとコミュニケーションを取ることが大切です。

記者:インタビューは以上です。ありがとうございました!

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逆瀬川剛史さんの活動、連絡については、
こちらから↓↓

◆HP→http://takeshi-sakasegawa.com/
◆Facebook→https://www.facebook.com/takeshi.sakasegawa.1
◆Youtube→https://m.youtube.com/user/TAKESHISAKASEGAWA

【編集後記】

インタビューの記者を担当した風見、高村、です。普段から時間をかけて考え自ら答えを導き出す哲学的思考を生き方に取り入れているからこそ、それが凝縮されて抒情的でメロディアスな音楽が生まれていくんだなと感じました。

記念写真を撮る際にも、逆瀬川さん自らお店の方にお願いして下さり、ギターを通して人との交流を深めていくというライフスタイルが呼吸をするように自然になっていらっしゃるんだなと思いました。

風流でカッコいい東大寺の管長とのコラボCDも出され、今年もまた東大寺でのライブ予定があるとのこと。令和の時代を迎えた日本、逆瀬川剛史さんの音楽がいろんなところで聴けるといいな!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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