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【読書記録】人間失格/太宰治

本のこと

徹底した自己破壊、人間に対する絶望…。内面の真実を探究し、現代人の孤独を浮き彫りにした太宰治の最後の自伝的作品を、読みやすい大活字に編集。

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感想

「他人が何を考えているのか分からない」
「人間が怖い」

そんなことを考えたことは、多くの人にあると思うし、私にもある。
主人公の葉蔵ほどではないにしろ、30年以上生きてきて、たくさんの人に接する中で、理解できない人に出会ったこともあり、気持ちは少し理解できる。

私は、親しい人に対して疑いを持たないし、信頼しているし、感謝を忘れないように意識している。
反面、私と関係がないと考える人については、かなりドライな考え方をしていると思う。
期待しない。
何かをしてくれるとも思わないし、私が何を言ったからとて変わってくれるとも思わない。
そうすることで、他人が期待通りにならないときの失望感を軽減しようとしているのだと思う。

葉蔵が堕ちていく様が印象に残るけれど、私の中ではヨシ子の一件の時に出てきた
「神に問う。信頼は罪なりや。」
が、印象的だった。
人を信じる心は美しいけれど、自分を忘れてはいけない。
自分の心を守るためには、人を拒絶しないといけないこともある。

『人間失格』の『人間』は何なのだろう?と考えた。
「世間的な、一般的な生き方」が人間合格か?
それも違う気がする。
別に人の生き方は様々だし、合格も失格もないと思う。
結局は、自己満足だ。
自分が「私は良く生きた」と思えれば、それが最高だと私は思う。
だからこの『人間失格』の『失格』は、葉蔵か、太宰治から見た、いわゆる一般的な生き方から外れた人に烙印として押されてしまうラベルのようなものかな、と自分の中では考えた。

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