本のこと
日の名残り
カズオイシグロ
ハヤカワepi文庫
印象的な言葉
序盤、旅が始まったばかりのときの言葉。
旅をしているときはアレコレと目移りしてしまうけれど、全体を通して見てみると、「これ最後に持ってくれば良かったなあ…」と思うこともあったりします。
スティーブンスは旅を楽しむ気なんだな、と微笑ましくなった言葉。
スティーブンスの「品格」に対する考え方。
本書を通して語られる一つのテーマが、品格。
仕事へのこだわりを感じます。
また、古き良きイギリスの紳士がこうあったのだろうとも思わせてくれます。
自分は仕事に対してここまで突き詰めて取り組んでいないな、と思った言葉でした。
スティーブンスの父が、衰えていく自分を受け入れられないのかも、という描写。
「引き際が大事」と色んな場面で聞きますが、実際にその時がきたら、上手く引けるんだろうか?
そんなことを考えました。
「俺はまだやれるのに」とか思ってしまいそう。
スティーブンスの仕事に対しての考え方。
自分の仕事で、少しでも世界が良くなったり、誰かが喜んでくれる。
そんなことを実感できたら、仕事は楽しいものになるはずです。
私はそんな風に考えていて、この言葉には共感できました。
とても共感した言葉。
最近仕事で転機を迎えましたが、思い返せば「あの時のアレが」というのがたくさんあります。
そのときは必死で目の前のことに打ち込んでいましたが、結果的には、それが自分を思いもよらないところに運んでくれている気がします。
会社経営をイメージして読みました。
最近は本当に世の中が目まぐるしく変わっていて、すぐにブームが生まれては去ります。
古いやりかたにこだわっていてはいけません。
自分が置かれた場所で全力を尽くす。
私が仕事てま大切にしていることのひとつです。
だからこのスティーブンスの言葉にはとても共感しました。
それぞれの立場で、仕事への考え方はちがいます。
だから、みんながそれぞれの場所で全力を出すことが、よりよい社会にしていくことになります。
倒れた父と同じように、スティーブンスにも引き際が来てしまいます。
自分の人生、仕事を振り返るスティーブンスのこの言葉に、胸がギュッとなりました。
夕方。
なんとなく、この言葉は本書の中では、人生の後半、という意味で読めました。
それまで必死で走ってきて、至らないことや、後悔もある。
けど、それでもまだ続く人生の楽しみを見つけて前向きに生きる。
そんな風になれたらと考えていました。
感想
自分の仕事に誇りを持ち、全力を投じて、少しでも世界をよくしたいと願う、スティーブンスの生き方に感動しました。
人生を仕事に捧げるというのは、周りから見ればなんだかかっこよく見えます。
しかしそうして走り切った後に、何が残るんだろう?
満足感を得るためには、どんな走り方をしたらいいんだろう?
そんなことを考えました。
スティーブンスは、最後に自分の人生を振り返って、夕方の桟橋で涙を流しました。
それでもその後、また別の楽しみに向けて、前向きに考え始めます。
人生を一日に表すなら、35歳の私は今、昼間かもしれません。
自分の人生も、いい「夕方」を迎えられるだろうか?
そうなるように、一所懸命に生きていきたいと思います。
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