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『レスポワールで会いましょう』第1話
第1話
ばばっ、ばっ、ばっ。
すぐ前に停まっていたセダンの4つのドアが、すべて開いた。
午後8時過ぎ。
陽が落ちてずいぶん経ち、あたりは真っ暗だ。いつのまにか、B県にまで移動していた。
みのりと尾崎が乗ったワンボックスカーは交通量が少なく、街灯もほとんどない道で信号待ちをし始めたところだった。信号機の赤い光が道路を不穏に照らしている。
助手席で体を硬くしたまま、みのりは思わず「あ」の形に
『レスポワールで会いましょう』第2話
第2話
事件のあとは、拍子抜けするほどあっさりと何もかもが流れていった。
手の施しようがないダメージを受けたと思われたみのりの精神状態は予想外に穏やかで、朝は以前とそれほど変わりなく目を覚ました。だるさとうんざりするような憂鬱さを伴ってはいたけれど。
それでも、4日間の有給休暇を取り、休養のための時間をつくった。
「事後処理もあるだろうし、なにより心を休めて」
そう言ってくれたのは直属の上