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2023年詩

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#平和

198「詩」クリスマス

198「詩」クリスマス

争いのあるところに平和

遠い昔救い主はそう唱えた

優しく思いやりのある子に育ってと
産まれたばかりの赤子を見て母親が思った
ひとつの命が産まれるまでに
どれだけの奇跡が重なっているか
母親は知っている

奇跡のように産まれたこどもは
手間暇かけ心を尽くされて大きくなり
誰かにとって宝物であり続ける

争いの中で
命が砂粒のように扱われる
その小さな一粒は
誰かにとってかけがえのない宝物なのだ

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160「詩」十六夜

160「詩」十六夜

あとは欠けるばかりです
毎日毎日小さくなっていくばかりなのです
小さくなって完全に消えてしまいます

すぐに
新しく違うわたしが生まれます

それでも
今のわたしが伝えたいのです

夜明けまで
わたしは
あなたたちを見守ります

世界中に
鈍く心地よい光を落とします

あなたたちが
朝を迎えられるように見守ります

ひとりひとりが
そのまま大切にされますように
願いをこめて光を落とします

159「詩」月が

159「詩」月が

おなじ月を見ている
おなじ月が見ている

正しかったことが
ある日突然
正しくなくなった世界

片隅に住む人たち

願いはなんだ

食べ物も寝る場所

あるのに
空っぽになった心

ある
物に満ちて住む人たち

願うのはなぜだ

おなじ月に願いを届ける
おなじ月が願いを届ける

地球を見ながら
月が願いを届ける
宝石のように輝く地球には
宝石のように輝く平和が
いちばん似合っているのだと

129「1行詩」

129「1行詩」

明日気づけなかった小さな世界の人たちと出会える

127「詩」8月9日

127「詩」8月9日

レースに包まれたラピスラズリ色の星
遥かかなたから見たら 宝石に見える
神さまが大切に両手で受け止めてきた

みこころにかなうものに  平和あれ

わたしが あなたがたを愛したように
たがいに愛しあいなさい

祈りをこめて作り上げられたこの星で
起きたこと
起きていること

お母さんが命をかけて繋いでくれた命
心と手間と時間をかけてやっと育った
いつもと変わりない普通の生活の中で
一瞬にして失われ

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123「詩」8月6日

123「詩」8月6日

広島の原爆記念日
空に不思議な光の輪が現れた

生きたかった
生きられなかった
たくさんの人々の思いが

地上に生きている人たちに
届くように

争いがどれだけの苦しみを作るか
知らせるように

生きたかった人々の痛く酷く辛かった記憶が
今地上に生きている人々を
平和へと導けるように

そっと
静かに
深く
悲しく

120「詩」ベール

120「詩」ベール

今日のわたしは生きられなくても
明日のわたしは生きられるかもしれない

見上げると空の奥深く
逆さまになったわたしが立っている

あそこから見れば
人々の才能の差なんてほんのちっぽけだ

ほんのちっぽけだけど
どれひとつ同じものなんてない

それぞれの色をもって
光る角度が必ずある

違った光を集めると
純白な光になる

光のまま
生きとし生けるものが透明な束になって
平和なベールが地上に降りてく

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38「詩」人間だから

38「詩」人間だから

ありきたりの生活をしてきた

ありきたりに結婚し

ありきたりに子どもを育てた

大切に大切に育まれた子どもたち

ありきたりの幸せでいいと

親たちは願った

ある日

いちばん大切なものが何か
見失った人間たちが
その命を奪う

人間が
人の命を奪っていいわけなんて
どこにもない

ありきたりの生活が
眩しいくらいに
輝いて見える

いちばん大切なもの

人間だから出来ること

ありきたりの人

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