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ルーツ旅立ち前⑦「家系図を妄信するな」

ルーツ探しで最初に訪ねるのは山形と決めていました。母方の祖母の実家です。
私は色々あって、父方の親戚とは縁を切っていたので、調査できるのは母方しかありません。
また、うちの実家がおかしいのは、母方のルーツが原因のはずという確信めいたものもありました。

ただ、奈良と山形はあまりにも遠く離れていて、子どもの頃の私にとっては外国みたいなものだったので、私は大人になるまで一度も山形に行ったことがありませんでした。

▼「おじいさんは、お侍さんだった」

母が子どもの頃、山形の祖母の実家を何度か訪ねたようですが、大人になってからは殆ど交流がなかったようです。

ずいぶん前に、母が山形の家について話してくれたことがありました。

おじいさんは、お侍さんだったのよ
すごく厳しい人で、行儀悪いことをすると、定木でビシッと手をたたかれてな。
いつもご飯は食べきれないぐらいてんこもりで、脚付きの台に置かれてた。家には、刀やよろいかぶとがあったな

私は興味がなかったので、へーと聞き流すだけでした。母は昭和生まれだから、その頃にお侍さんがいるはずがありません。ちょっとおかしくない? 
そう思っていました。

▼家系図と武家屋敷

ところで、山形の親戚を訪ねようと思ったものの、私は親戚の名前さえ知りません。そこで、仲のいい京都のおばに連絡をとり、親戚を紹介してもらうことに。

私が「ルーツを調べに山形に行きたい」というと、おばは少し驚いたようですが、それはいいことだと喜んでくれました。
現地の親戚に連絡し、泊まるところを用意してくれたばかりか、当日はおばが現地で泊まり込み、サポートしてくれるそうです(ありがとうおばさん😄)。

おばは、こんなことを言いました。

本家に家系図があるから見せてあげる。うちは昔、大きな武家屋敷だったんだよ」

えっ、武家屋敷?😮

私は、急にワクワクしました。
一体、どんなお屋敷なんだろう。ぜひ娘にも見せてあげたい。写真を撮って、フェイスブックに載せようかな。

それまでは、知らない場所に行くのが怖いような気がしていましたが、武家屋敷と聞いて、早く山形に行ってみたくなりました。

▼家系図を信じるな

「……と、いうことなんですよ」

私は、居酒屋で再会した田村さんに、そんな経緯で、今月末に山形に行くことになったと話しました。

田村さんは、「ふーん」と言ってあごに手をあて、少し考えてから、こんなことを言いました。

家系図を見るときは、気をつけたほうがいいよ。応仁の乱の前と後で、まるで事情が違うから

応仁の乱の前の家系図は、嘘ばっかりというか、お金を出して買ったものが多いから、妄信しないことだね

田村さんいわく、一見して立派なものでも、応仁の乱よりも前の家系図は、そう簡単に信じてはいけない。
江戸時代のころ、庶民のあいだで家系図ブームが起きて、自分のルーツをよくみせようと、家系図の制作者にお金を払って粉飾してもらうことが広く行われたのだそう。

古い家系図は、応仁の乱で燃えてしまったという理由をつけて、家系図を自分の都合のいいように書き換えてしまう人も多かったんだよ」と、田村さん。

どうやら、家系図を見るうえでも、応仁の乱には大事な意味があるようです。今度、山形の家系図を見せてもらうときは気を付けなくちゃ。

私は田村さんに「また相談に乗って下さい」と言って、その日は別れました。

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サポートありがとうございます! 近々、家系図のよくわからない部分を業者さんに現代語訳してもらおうと考えているので、サポートはその費用にあてさせていただきます。現代語訳はこのnoteで公開しますので、どうぞご期待ください。