【もののふ椿🌺】仏教をめぐる冒険③「筒井の守護神」と新たな旅路へ
▼普通とは違う「弁財天」
大和の戦国大名・筒井順慶の一族の末裔が集まるオフ会。
私が、筒井一族の菩提寺が作った冊子を眺めているとき、ふと「筒井弁財天像」という名前の仏像に目がとまりました。
弁財天という名前はついていますが、私の抱いていた弁財天のイメージとはまるで違います。
そう。弁財天といえば、若くて美人で楽器を持っている女神というイメージが一般的ではないでしょうか。
でも、その『筒井弁財天』は、似ても似つかないものだったのです。
この仏像は一般公開されていないので、写真を載せることはできませんが、ありていに言えば、「腕がたくさん生えた、ふくよかな子どものような顔をした仏像」です。
そして、普通の弁財天と異なり、頭の上に奇妙なものが載っていました。
それがこれ。
↓
そう。
体が蛇で、頭がおじいさんの、小さな像。
これと同じ形のものが、小太りの弁財天の頭に載っているのです。
当時、私は仏像のことをなにも知らなかったので、『筒井弁財天』の写真をみたとき、「何なのこの妙な仏像は!😱」と衝撃を受けました。
でも、すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、これって江の島の「八臂(はっぴ)弁才天像」と同じタイプなんですね。
そして、頭の上に載っている蛇の姿をしたおじいさん(人頭蛇身)は、「宇賀神」(うがじん)という神様です。
▼正体不明の神様
ネットで調べたところ、通常の天女のような弁財天は、インドのヒンドゥー教の女神が仏教に取り込まれたもの。
しかし、『筒井弁財天』のように宇賀神が頭に乗ったタイプの弁才天は、インドや中国の仏教経典には見られない、日本独特のものだそうです。
それでは、宇賀神とは一体なんなのでしょうか。
その名前からして、神道の「宇迦之御魂神」と関係があるのではないか、あるいは人頭蛇身の姿から蛇神・龍神の化身ではないかと言われますが、本当のところははっきりしません。
▼「筒井の守護神」とは
私は、この『筒井弁財天』の写真を目にしたとき、子どものころに私が見た白蛇のことを思い出し、X氏にメールで尋ねたのです。
それに対するX氏の答えは、前回書いたとおりでした。
さらに、X氏はこう言いました。
「白蛇は、筒井の守護神です。
一般的にも会えたら吉兆だとされていますので、悪い兆候と誤解して気にすることはないでしょう」
私は驚いて、それ以上尋ねませんでしたが、普通に考えると、「筒井の守護神」とは『筒井弁財天』、特にその頭の上の白蛇(宇賀神)のことを指すのでしょう(神仏習合なので、神と仏の違いは気にしない😅)。
ちなみに、『筒井弁財天』の写真には次のキャプションがつけられていました。
1500年代以前に作られたもののようですが、正確なところはわかりません。
▼ついに私が求めていた「物語」を見つけた
念のためにお伝えしますが、今回のシリーズは、別にオカルティックな話ではありません。
そもそも私がルーツ探しを始めた理由の1つは、「奇妙なことが多い自分自身のバックボーンについて、納得できる物語がほしい」というものでした。
そして私は、ルーツ探しを始めて1年もたたないうちにこうして同族会のX氏と出会い、「私がやたらと蛇に縁があるのは、白蛇が一族の守護神だからだ」という物語(主観的な因果関係)を見つけることができたのです。
そうであれば、私が子どもの頃に出会った白蛇や、蛇にまつわる様々な出来事は、自分の守護神によるものだと考えることができるので、私はもう、自分自身や娘の人生について余計な不安を抱かずにすみます。
これは1つの成果ではないでしょうか。
こうして、私のルーツ探しは、早々のうちに1つの着地点を見つけることができました。
▼ここから始まる新たな旅路
しかし実は、蛇にまつわる話はこれだけではありませんでした。これを機に私は、筒井氏に関係する、蛇にまつわる様々な物語に深く入り込むことになったのです。
それは仏教や神道。あるいは神話や民話だったりします。
日本人の心の深層には、蛇がいる。
私は、次第にそのことを実感するようになりました。
そして、蛇と似たものである「龍」の存在。
これもまた、多くの日本人の心の奥底に横たわっているようです。
このキーワードから、私のルーツ旅は新しい展開を見せることになりました。これから先、いくつかのシリーズの中でご紹介していこうと思います。
(続く)
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