ものかくヒトデ

日記、エッセイ、詩、短歌をしまっておくための箱。

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最近の記事

コーヒーとの付き合い方

コーヒーのこと、嫌いじゃない。でも好きでもない。 コーヒーは現代社会において、とても人気のある飲み物なので、こんなことを言うのもはばかられるが、身体的にもそんなに得意ではないので仕方がない。 しかし私も一杯やりたい気持ちはある。 朝、スタバに寄ってカップ片手に出社したいような気もするし、カルディで試飲のカップを渡されたら喜んで飲む。嗜みはしたい。 そう思っている私のコーヒーとの付き合い方を徒然する。 目次 眠い時は頼る やらねばならないことがあるときに 整腸剤

    • 大学生の私と、忘れられない授業の話

      6年前、大学3年生だった頃。 私は単位の足りなさが目につく成績表と睨めっこしていた。単位を何回も計算し、どうにか卒業したいと考えて、モチベーションを保つ為に好きな先生が担当していた西アジアについての演習授業をとることにした。 迎えた新学期、初回授業の日。後輩ばかりの顔ぶれに居心地の悪さを感じながら、4、5人掛けの丸い机に私は座っていた。フロアマットの感触を足の裏で確かめつつ、先生が来るのを待っていた。 ようやく現れた先生は、シニカルなジョークをかましながら自己紹介をさっさ

      • 旅の終わりに

        終わりは駆け足に。 新幹線でのんびりすることもなく、鶏カツ弁当をかっこんで一息ついたと思ったら、もう駅に着いてしまった。乗り換えもスムーズに進み、早歩きで構内を歩いていくと発車2分前のバスが停車しているというオンタイム。 空いている通路側の席を見つけて安堵し、深く腰かけて荷物を膝の上に大集合させる。「帰ってきた」という感傷に浸るには短くてささやかな旅だったので、いつもの帰り道のような気分で狭いバスの中で正気を保とうとする。 奥側に座っていた隣の席のおじさんがバスを降り、隣人

        • 奈良のスカラベ

          東大寺も見ないで、お土産通りも寄らないで、奈良公園を出ていく自分は、一人ぼっちの選択をしている、と思う。 誰かが側にいれば、選ばない選択を繰り返している。それは良くも悪くもないことで、でもどちらかだけにならないといいなと思う。 誰かに気をつかうことなく、気になるところで立ち止まって写真を撮る。地下道の壁のヒビ。奈良のマンホール。壊れて中の土が剥き出しになた植木鉢。飼い猫らしい赤茶色のふくよかな猫。坂道の途中にある空き地から見える山。自分の心のままにいれることが嬉しい。 一方で

        コーヒーとの付き合い方

          鹿の目は大きい

          近鉄電車で奈良公園に向かう。 スマホに目を落として、誰かに見られても恥ずかしくない画面を選んで眺める。 隣の席で親子らしき人が喧嘩を始める。パスワードを読み上げて怒られるお母さん、頓珍漢らしいことを言ってそうじゃないと強く言われるお母さん。身内に強く当たってしまう現象には心当たりがあるなと思う。 初めは空間に余裕があった車内もいつの間にかにぎわってくる。 奈良公園に着くと周りは観光の人らしい。大きなリュックサックを背負った外国人観光客らしき人、軽装の大学生と見られるグループ

          鹿の目は大きい

          朝は親切だ

          翌日7時半前に起きる。ぼんやりしながら、やっぱり鹿じゃないか、私がいきたいのは奈良なんじゃないかと思う。 家から持ってきていたカフェインレスコーヒーのドリップパック一袋を取り出す。 昨日ファミマで買ったミネラルウォーターを、部屋に置いてあるケトルに入れる。昨日のままにしてあるシードルの入ったままのコップと瓶を据え置きつつ、冷蔵庫に入れていた味付け卵を取り出し、ひとつずつ食べる。黄身まで染みていると書いてあったが、確かにそうかもしれない。しょっぱさが寝起きの体に染みる。 部屋

          夜のコンビニに吸い寄せられる虫

          降りるホームを間違えながらも地下鉄に乗り、「動物園前」で乗り換えて、長堀町に向かう。地上へ出ると雨は少し強まっていた。地図アプリは大変役に立つが、歩き始めの方向がいつもわからない。とりあえず歩いてみて、方向を確認するが、おおむね逆方向に歩いていることが多い。 渡りかけた信号を引き返し、少し歩くとファミマの前にホテルがあった。 フロントで少し待ち、機械でチェックインを済ませて、部屋に向かう。さっきフロントで、「不祥事を起こしたかなにかで最近見かけない芸能人に似ている人」がホテ

          夜のコンビニに吸い寄せられる虫

          大阪は美味しい匂いがした

          夕方の太陽の光が目を刺す強さを失い、緩やかに暗くなっていく時間。 京都駅に着くと車窓から寺が見えて少し興奮する。新幹線のスピードで、街並みはあっという間に見えなくなって、あれは本当だったのか?と思う。野々山を眺めているとすぐにまた街並みが目の前に現れて、新大阪に着く。ビルビルしい。 傘をさしている人を見て「え?!雨?!」と新鮮に驚く。天気予報を見ない癖は直らない。 新大阪のホームに降り立って、エレベーターを下るとなんだかいい匂いがした。ほんのり食欲がそそられる、これはソースと

          大阪は美味しい匂いがした

          新幹線の窓の冷たさに毎回少しびっくりする

          新幹線はいつも自由席にする。 当たり前に座れない時が結構あるので指定席にしておけば…と思うこともあるけど、その逆もある。 発車ギリギリの新幹線にとりあえず乗りこみ、自由席の号車番号を調べる。自分がいるのは指定席の号車だったのでテクテクと通路を進み、進み、進み、進むと人がふっといなくなった。自由席の号車はがらんどうだった。 乗車率5%くらいのさっぱりした車内で周り10シートくらい誰もいない席を選んで座る。 静かな車内でふうと息を吐くと、その静かさに吸い込まれていく。今日はラッキ

          新幹線の窓の冷たさに毎回少しびっくりする

          春のコートはお持ちでない

          旅の当日、会社は半休なので、午前中は普段通り制服を着て仕事をする。 退勤したら会社のロッカールームで旅のための服に着替えて、制服をロッカーに置き去りにする。ロッカーに隠していた大きなトートバックを持ち出して、いそいそとバス停に向かう。 バス停で職場の人とはち合わせたけど、個人主義の人間同士、軽い挨拶にとどまる。 3月も終わる頃だが、午後は肌寒く、初冬用のコートでちょうど良いくらいだった。春らしい格好をしたい気持ちはあるけれど、そう思っている内に春は終わってしまうので、軽くて爽

          春のコートはお持ちでない

          リュックサックがないことに気づく旅行前夜

          旅の準備をするのが年々遅くなっている。中学校のころは近くのイオンに行くのにも気張って準備をしていたものだが、県境を越え一泊する旅行でも前日の夜に準備を始めるようになってしまった28歳。 子供のころよりは財布に余裕ができ、現地調達の発想ができるようになったので、そんなものかと思うが、前日になってそんな…と思うこともある。 今回はリュックサックがなかった。使おうと思っていたリュックサックは姉の手によって非常時用の持ち出しリュックに変わっていたのだった。 非常時用グッズをたらふく抱

          リュックサックがないことに気づく旅行前夜