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#109 独特の呼吸 ペトルチアーニ『ミュージック』

有名な話だとは思うのですが、ジャズ・ピアニストの #ミシェル・ペトルチアーニ は先天的な病気で身長が低く、骨がもろいです。36歳で亡くなってしまいました。でも、アルバムは本当にたくさん残されています。

おせっかいな私は、高校時代に、人工透析している友人に、こういうハンデを抱えたピアニストもいるんだと生意気にも教えたらしく、後年に、その話を持ち出してきましたね。なんか印象に残っていると。

いろいろ好きなアルバムもあり、いろいろ語りたいのですが、まず、ジャブとして、このアルバムを。

僕が伝えたいのは、ペトルチアーニの独特の呼吸感です。アドリブももちろんそうだと思うのですが、メロディというのも呼吸をしていて、それに呼応しているのだと。

#大滝詠一#鈴木茂 のソロに対し「息継ぎがないよ」とアドバイスしたエピソードがありますが、あぁ、やっぱり師匠はさすがだなぁと。

そこで、ペトルチアーニですが、彼の呼吸感は独特です。息が長いというか、息をしてないんじゃないか、というようなフレーズがたくさん出てきます。

彼の幼少時代は知らないのですが、しばしば肺疾患に悩まされたそうなので、そういった独特のフレーズを形成するのに、その影響は無視できないのではないかと思ったりします。

それは、時々、非人間的で無機質なフレーズとなり、それは強力な武器として、われわれ聴衆に訴えかけてきます。でもそれは、やはり、一個人の独特な呼吸から自然に生み出されたフレーズであるのです。

AIが発達し「人間の自然な呼吸を伴ったメロディ」を最大公約数的に作曲できるようにはなるかもしれませんが、上記の理由から、ペトルチアーニのフレーズは生み出せないでしょう。

そういう意味で、いつまでもペトルチアーニの演奏は、「異端」であり、独特の生理に基づいた「自然」なものとして、ずっと語り継がれてゆくでしょう。

この『ミュージック』は、ブルーノートが、色気を出して、フュージョンっぽいことをやらせていますが、まったく、そんな「既存の売れ枠」に彼が収まるわけもなく、はみ出しまくっています。プロデューサーの思惑としては全く失敗作だと思いますが、それがとても面白いです。『プレイグラウンド』も雰囲気は全く同じです。


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