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ウィルスが本質を運ぶ

唐突だが、私は就職氷河期世代の人間だ。

学生から社会人へステップアップする時によく言われた言葉が、「即戦力」。2003年当時、新卒採用人数5名の企業に100人以上(中小企業でも)が集まることなど、数多にあった。

せいぜいバイトやボランティアくらいしか経験したことのない学生に、社会人の先輩たちは口を揃えて、成果主義のプレッシャーをかけた。更には、入社後の強制的に退職へ追いやろうとする言動の数々は、まさに苛烈極まるものがあったのを今でも覚えている。

それだけに終わらず、家族(身内)からのプレッシャーも酷い。当時は何処の家庭もと言ってよいほど、学歴重視思考(高学歴信仰)が横行していた。

4年制大学を卒業した人間は、それなりに良い企業、もしくは中小企業のどこかで当たり前に働けるものだ、という安易な見通しをする親世代の考えがあった。(個人的事情による考察が強いかも知れないが…)

最後の止めの一発は、そんな社会に疲れ果て、弱りきった姿を見て、
「最近の若者は、打たれ弱い!」
と説教を喰らわす。四面楚歌の中、よくここまで生き延びたな…、と、私は個人的にそんな気持ちになる。

いくら世の情勢が厳しいからと言っても、即戦力を過度に求めた社会人の先輩たちはかなり横暴なことをしてしまったね。

なぜなら、最初から即戦力になれる人間など、ごく少数しかいないからだ。誰でも失敗は重ねるもので、社会人の先輩たちも数々の失敗があったからこそ、今の自分の立場を確立できたはずだ。にも関わらず、それを棚に上げて、人を高圧的な力で扱ってしまった。

更に、ここ数年は逆に人手不足。今後はコロナウィルスの影響で就職先が減る可能性は高いが、どんな状況や理由があるにしろ、その時々で自分にとって都合よく人に対する態度をコロコロ変えてしまうと、社会全体へ疑心不安を撒き散らす結果になるのは当たり前なのだ。そこには、他人ではなく自分の都合という悪魔しかいないのだから…。

経済はその時々で劇的に情勢を変化させるが、それに呼応し、人が人に対する扱い方を都合よく急速に乱高下させてしまうと、長期的に見て、経済も社会的雰囲気も悪化の一途を辿るだけだ。故に、野心が変に強すぎる野蛮な人が、多く生き残ってしまう。

ここ数十年の世の中の動きを総合的に見ると、そんな本質的事実が証明されたんじゃないかな。(それぞれの立場の違いで、都合のよい理屈で、もっともらしく見せかけている人は多いけど…。)

さて今後は、コロナウィルスの影響による混乱が続く中、社会・世間は、人をどう扱い、どのように成長を促してゆくのかな…。

恐らく、見せかけの空間には、奇しくもコロナウィルスが、相応の結果を運んできてくれるような気がしてならない。不謹慎かも知れないが、コロナウィルスは物事の本質を運ぶ立役者なのかも知れないな…。

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