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Blowin' in the Wind 近所のちいさな本屋さんで

近所じゃないけれど近所の商店街に
コミュニティスペースというかちいさな古本屋が数年前に出来た。
地域の広報誌とか、他地域などの古書店のオーナーたちが選んだ本などを置いている。
店主も居る。
けれど、日替わりで若者をはじめとしたいろんな人が店番をしているみたい。
たまに覗く。
本棚は「おっ」「ほぉ」「へぇぇ」なセレクトで、
「誰かの本棚」や「その人の好きな本」をみるのが好きなわたしには面白い。
とてもちいさな店だ。
店番してる人によっては正直入るのにひるんだりもしてしまう。
しかし今日、昼前、仕事と仕事の合間に用事のついでに(逃亡とも言う。笑)覗くと、
嘘くさくもなく押しつけがましくもない笑顔の女の子が「よければ見て行って下さい」と笑ってくれたから、ひさびさに、すっと入った、入れた。
 
例えば同じ書店や見慣れた同じ棚でも、
その時の気分や成長や(?)によって、
目に入る本って、違ったり変わったりしてくることって、ない?
同じ棚でも、毎回、目に入る本って、一緒のものもあるし、変わったりもしない?
いろいろ、出会いやなあ、っていつも思う。
今日ふわっと目に入ったのは美術系の古書や、ジャズの本や、
お、乱歩や宇野亜喜良なんて置いてる棚はなんだかセレクトした人の顔を考えてふふふだ、お、唐十郎もあるやん同じ人のセレクトかなあ。
なるほど、定期的に補充したり、入れ替えたりしてるんやね。
しかし豆腐屋とかホルモン屋とか魚屋の並びにある書店で唐十郎を買うんはどんな人やろ。
暮しの手帖のバックナンバーや絵本などと共に、
真っ昼間の乱歩や唐、阿佐田哲也、鹿島茂が並ぶのも、なんだかいい。
古書店って、小説もいいが、滅多にお目にかかれないような品に出会えるのもうれしいな。
潔癖症の人だと古書を受け付けない人も多く、
わたしもどちらかというとちょっと「うーん」と考えないこともないのだけれど、
やっぱり、「ナカミ」が気になるから、みたくなる、欲しくなる。
そしてやっぱり矢野誠一なんかを手に取っちゃったりして、ジャズ本にも目移り、建築の写真集も、ええなあ。美術系のんも全部めくりたいなあ、ああ、楽しいなあ。
古本特有の質感やにおい手触り、を、日曜日のお昼前に、って、なんか贅沢。
なんて、後から考えるとほんと短い時間なんだけれど、わくわくしていたら、
先のキュートな女の子がぽんっとBGMを入れた。
「あ、無音だわ」と気付いたんかな。開店時間からそう間もない時間にわたしが入ったからな。
ちいさな店内に流れてきたのはBlowin' in the Wind、ボブ・ディラン。
彼女のセレクトなのか店長のセレクトなのかラジオの有線なのかなんなのかはわからない。
でも「!」と「?!」からの、なんだか笑えるような、じぃんも、いや、でも笑いやじぃんの過剰反応じゃなく自然に受け入れられて、
特に意識もせんようになって、ちらほらあれこれとページをめくり、
なんだか、わるくないな、いいな、だった。
風に吹かれながら何冊かをレジに持っていったら
「今日初めてレジ打ちなんです」って、ふふふ。
「あ、レシート、うまくやぶれなかった、すみませんっ」ぜんぜんだいじょうぶ。
「レシート大事にします」とか言おうかと思ったけれどキモいので言葉を飲み込む。
「よく来られるんですか」「たまに来るんですが買ったのは今日が初めてです」
「わーうれしい」「〝初めて同士〟ですね(笑)」「うれしいです!」
やっぱり言うたらよかったかな、さっきの一言。いらんな。キモいな(笑)
例えば気取ったおじさんとかが店番とかだったら「ボブ・ディランですね」とか
ちょっと面白がって話振ってみようかとしていたかもしれないしないかもしれない。
でもこの店番の今日の店長さんがぽちりとしたら流れたのがこの曲で、その中に居られてなんてことない本を買えたのがなんだかよかったなと思った意味とか理屈とかではなく。
帰り、チャリの前かごにツッコんだちっこいトートバッグの中に本2冊と地域紙2冊入ってるのはなんだかうれしいないいな、とか思うと、くっそ暑い昼過ぎの道もなんだか嫌じゃなく、逃亡したけれど仕事(PC前)にも気持ちよく戻れた。
 
耳を塞ぎ目を覆いたくなるような報道や事件ばかりで、でも塞ぐの覆うのもたぶん違うような気がするし、暑さとも相まってなんだかとても日々がしんどくもある。
いや、暑さとか関係なくそれはずっといつもだ。なぜだ。でも常にそんなことばかりなこの世だ。
油断するとすぐになにか「キモ」とか「ゴミやな」って口癖が出たりもして、あかんな、と思う。そんな風な感情や言葉で終了や切り捨ててはなにも変わらない気もして。
知らなきゃならない知っておかねばならない考えなければならない。
手段や術を持つために知るために、自身や誰か皆の尊厳のために。
例えば答えが出なかったり苦しかったりわからなかったりなどしてもたまに間違ったりしても間違うのがこわかったりしてもそれでもずっとちゃんと。
さらにはすぐに簡単にいろんなことを決めつけたり押し付けたりで解決した気になるのではなく知ったり想像したり考えたり言葉にしたりしなくてはならない。無力でもどかしい。でももどかしいもなんだか傲慢だ。
でもいつどのどんなことも他人事じゃなくだって他人事じゃない。他人事じゃないから知っておかねば考えねば、っていう意味じゃない。
わたしにとって書店や劇場は楽しみであり、心の拠り所であり居場所であり、そして、同時に、そういった場所でもある気がする。昨今、そんなこともよく考える。
しかしなんやったんやろ、Blowin' in the Wind。幻かな。次行ったらもうあの店もうないんかな。いや、あるな。ふふふ。また行きます。またね。

  *
今日は先日一気読みの後二度読みした話題作『ハンチバック』について書こうとしてた! ちょっと時間かけたい、たぶん書きます。


本屋(古本屋)の話を書きましたが、
我が本屋(棚)もよろしくですよ!
来月、ちょっと毛色の違った本も数冊補充します。ふふふ。


インスタのストーリー(まるいとこ)、気軽に使っていこーかなーです。今更ですが。
なんか24hで消えちゃうのがずるいかなとか考え(考えすぎ)てたりしてたんやけど(いや、皆はええねんで、わたし自身がやで)気軽に使っていくかもしれません。あ、スレッズもね。

写真はいただきものの今治タオルハンカチ、円谷プロコラボ(公認)らしい。ウルトラアイ。
 

◆◆◆
以下は、すこしだけ自己紹介 。よろしければお付き合い下さい。
(先日のプチ告知2つも追加📚🆕
『本で旅する』よろしく&本屋さん来てくださればうれしいです!)

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。
大衆芸能、
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリーに。

詳しいプロフィールや経歴やご挨拶は以下のBlogのトップページから。
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lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。

その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note
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5月1日から東京・湯島の本屋「出発点」で2箱古本屋も、やってます。

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旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では
2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話🆕!!)と
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旅芝居・大衆演劇関係でも、
各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、YouTubeちゃんねるで過去映像が公開中です。
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