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故郷とHome/老ガードマン、寿司屋にて(omake.ボン・ジョヴィおじさん)

先日、お寿司を食べる機会があった、てか仕事絡みのお付き合いがあった。
大阪でも有名な店、回らない、でも高級でもない、が、人気店らしい。
大衆的な、観光ガイドブックにも載っている店なのだと。
開店前から長蛇の列だった。ランチ何時になるねん。
同店にはボン・ジョヴィやKISSも来たらしい。
彼らはこうして並びはしなかっただろうのに!
という、意味不明なうらみ羨みの気分。
そもそもそんなにお寿司好きでもないし! 今それどころじゃないし!(失礼)

なんと混雑が故に列を整備する警備員まで居た。
腕に腕章を巻いたおっちゃんがお客の列をさばいている。
でもおっちゃん? いや、おじいちゃんはもう毎日のことで飽きているのか、
お客さんと雑談をしている。
「僕の今日のおすすめはね、マグロと、つぶ貝と……」
話しているうちに列伸びてるよ!  気になって仕方がない。
でも「おすすめ」くらいまではまだいい。寿司屋だし。
なのに、おっちゃんはどっかから来た若いカップルと「故郷(ふるさと)話」をし始めた。
……ちょっと待てぃ! である(相席食堂@千鳥)
 
ペアルックみたいな若いカップルに楽しげに言う。
「え、広島から来たんかいな。わしも広島や」
いや、待って、列、どんどん伸びてるから。
でもカップルの「聞き役」がうまいからか、
彼と彼女も「有名なこの店」に来ることが出来て話しかけられて嬉しいのだろうか、めっちゃ盛り上がっている。
気持ちがよくなったのか、
警備員のおっちゃんは自分の財布を取り出して、
同じ土地の人しかわからない店の名刺??だかなんだかを出してきて
彼と彼女に見せたりして、「え、球場の近くか? わしもや」なんて。
でもその間にお客さんの列はさらにめっちゃ伸びている。
私は心の中でめっちゃツッコみながらもいろいろ気が気でならなかった。おいおい、もうもう。
 
でも聞こえてきたそんな会話が、せやのに、なんだか忘れられなくて、今、こんなところに書いている。
 
と、いうのは。
おっちゃんが言うてたの、私、聞き逃さなかったのです。
「わしはな、集団就職で出て来てな」
カップル、その言葉の意味や時代、わかったんかなあ。
おっちゃん、これまでの人生、どないして、ここで今、お寿司を食べたい人の列をさばいてるんかなあ。
詳しい生い立ちは、その後話していたのかもしれないが、いや、きっと話していたのだろうが、私はちょうど店に入ってしまった聞けなかった。
 
故郷。ふるさと。
先日、オバアのカラオケ稽古の件(これ)でも書いたけれど。
ふるさとは遠きにありて思うもの、じゃないが、
生まれ故郷だのふるさとだのって、きっと、歌などで言われるほど、
うつくしかったりきれいだけのものではないのだろう。
でもでも、だからこそ、年や経験を重ねれば重ねるほど思い出すものなのかもしれない。そこに居る人、居なくなった人のことと共に。
 
そしてそんな私は、さいきん、〝Home〟、
実際の生まれたり育った場所もだけれど、
それとは別にとか、同じくらいとか、その次に、大事な場所って、皆にあるんじゃないかな、とも考えたりもする。
故郷に帰れる人帰れない人、いい思い出がある人思い出したくもない人、
もう故郷がない人、人によって本当にさまざまだけれど、
でもだから、だからでも、それぞれに、大なり小なりの〝Home〟……
HouseじゃないけれどHome、そこまでいかなくても、大事な場所って、あるんじゃないかなあ。
ましてや、酸いも甘いも経験してきた大人なら、大人には、大人だから。って。
 
自分の、ほんまの家とは違うけど家に近い場所?
自分らしく居られる場所?
いや、家とか普段勤め先とかでの自分じゃない自分としていられる場所?
心のふるさと? ふるさとってなんだ?
使いつくされたこの表現は、まだ、また、ちょっとピンとは来ないのだけれど。
 
それも、この何年か、大好きな踊り子さんを追いかけて足を運ぶさまざまな〝劇場〟で思ったり、思うようになったこと。
 
ってなことを書いているもうひとつの連載も、
コロナ禍で酒場巡り原稿がなかなか進まなくなったことで始めたのに、
新しい話を更新するネタはたまっているのに進めておらず、進めなきゃ、です。


ちょっと前に書いた、なんてことのないBarでちょっと偉そうにしていたお客さんも、そこがHome、やろうな。

寿司屋のガードマンのおっちゃん、あの日ほんまに嬉しかったんやろな。

すべてのひとにとっての、故郷、Home、
実際のそれも、心のそれも、今のそれもが、
なにか理不尽や大きな力によってなくされたりなくなったり、しませんように。

皆が〝ええ表情(かお)〟出来る、そうなれる場所の大事さ、素敵さ、を、とても思います。だから、思います。考えます。考えています。


え? Livin' On A Prayer? 
いつぞやネットで〝ボンジョヴィおじさん〟ってバズりましたね。
あれ、もう、おいおいおい、過ぎる。よく考えたら「どうなん?」もある。
けど、私は泣き笑い笑い泣きしました。
今観てもジンとする。
私もよくこの歌歌うよ、PC前で。

ロンドンの地下鉄でボンジョヴィの名曲を幾日も熱唱するおじさん 、そしてその後の幸せな展開 The man singing Bon Jovi's masterpieces. - YouTube


先日のNHKのど自慢で、娘さんとお父さんだったかな、が、『北国の春』を歌ってた。ゲストの千昌夫、めっちゃ喜んでた。


やっぱりいい写真を撮っておくのを忘れがちで、新快速電車からみた秋っぽい景色(笑)

京都、DX東寺、金銀銅杯というお祭り、20日まで。よければご一緒しませんか!


以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。最新話、15回🆕公開されました。16回もすぐ♫

(以下に第1~15回、まとまっています♫)

と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼちと。こっちも更新せなあかんなー。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気でね。

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