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Home/とある酒場にて、とあるオヤジ

先日とある酒場でとあるオヤジを見た。

安くもない高くもないチェーン店だ。
酒がめちゃくちゃ美味い訳でもない。
特に店側のこだわりもない。
特に接客態度がよい訳でもない。
店員もバイトもそれなりで。
適度に、または、めっちゃザワザワうるさいちょっと気取ったバー風の店。
でもそれがいい、時にはとても。あ、画像は関係ない、別日別の店。

カウンターで飲み物を注文して受け取り、
それぞれ好きな席につくスタイルであり、
注文時以外は(フードは注文後運ばれてくるが)、
特段、店の人とふれあい会話タイムがめっちゃある店ではない。

そこで、〝彼〟は目立っていた。スーツ姿じゃない、ラフな服装の、なんの特徴もないオヤジだ。

平日夕方の早い時間、
勤め帰りのサラリーマンも騒ぎたい若者もまだ来店していないような時間帯、
何人かのお客さんがそれぞれのテーブルで自分の時間を楽しんでいるときのこと。
彼はど・センターのテーブルに鎮座ましましていた。
そこへ店員がかわるがわる挨拶に来た。
カウンターに居る子も、フロアを回ってくる子も、出勤してきて着替えが終わって店に立つ前の子も。
「おつかれさまです」「おはようございます」
オヤジはなんだかとても満足そうで、「うむ」みたいな感じで談笑なさっていた。

なんだあれ。ちょっと目がいってしまった。

オヤジは恭しく鞄の中から大きな箱を取り出した。
「あ、これ、渡そうと思ってたんだよ。出張で行った●●のお土産」
店長っぽい人はあきらかにわざと大仰に喜んで言った。
「あァりがとうございます!!!」
店長のリアクションと、他のスタッフの「後でいただきまーす」(なんかお菓子の箱だった)ってのに満足げなオヤジはまた、まだ、いろいろ語っていて、かわるがわる店のスタッフが来てそのお相手をしていた。

と、店長っぽい人がまた来て、ちょっと改まった顔をして言いだした、オヤジに。
「実はですね。僕、来年、●●店に移動することが決まりまして」
「おー! そうか! さみしくなるな! ●●って言ったら、駅の前に●●があって、不便なとこだろう」「そうなんです。いやあ、お世話になりました」

いろいろ何からツッコんでええかわからない。
でもめっちゃツッコみながら、その後、このことを考えていて、思った。

オヤジにとってはこの店が、〝居場所〟なんだ、って。
いいとか悪いとかツッコミどころ多いとか痛いとか、
そんな他人がどう思うかとかはきっと全然大事じゃない。
ここでこうしている、こういう風に接し接されている自分が、自分やねん。ああ、大事な場所なんや、って。
それは、それを他人(私)にツッコまれたりどうこう言われたり思われたりすることじゃない。言われたり思われたりしても、それがどうした、どうなんだ。関係ねえのだ。例え、それが、こんな、チェーンのなんの特徴もない酒場だったとしても。

皆のそれぞれの心の中に、きっとある、いろんな〝Home〟、それぞれの居場所、〝私〟の大事な場所。

あたらしくこの店に来た店長にも同じように接するのかな、しないのかな。
●●店にも、会いに行くんかな。行くかもやな。
きっとまたお土産持って、ちょっと、めっちゃ、どや顔で。





これ、遭遇したときに書こうとしていて放ってた話。
放ったままにしよーかなーでしたが。
先日、いつも読んで下さる大衆演劇fanの方が、
いろんな想いと共に(きかせていただきありがとうです)
私の連載〝Home〟の初回「甘辛」をRTしてくださいまして。ふと。

この連載もまたぼちぼち更新しようと思います。ネタはいっぱいあるねんでー。


先日、Home劇場で、
お客さん(好きな本がよくかぶる方(と、私は一方的に思っている))に
すれ違い挨拶のあと、「ももさん! Twitterみてますよ」と言われて「!」って。
ぎゃー、って、いや、今も思うし、なんかちゃんと御礼言えずすみませんなのですが。でも、うれしかったです。
いろんな方々、いつも、目にして下さり、ほんまありがとうございます。


今日のOsakaはびっくりするくらいええ天気だったよ。🚲日和、洗濯日和。

と、これは昨日のお月さん。うれしくなっちゃうな。

■omake■
訳あってとある旅芝居のDVD(2005)を観ていました。
BORN TO BE FREE…ONE & ONLY、誠、夢桜。縁や色々に感謝、
観せていただいた芝居にこめられたものや寄せられた想いにちょっと泣くことにする。
やはり、旅芝居の魅力とは虚実皮膜の間にあるもの、だと、私は思います。



◆◆◆
以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。


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簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。パソコンからみていただくと右上に連絡用のメールフォーム✉も設置しました。


現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。最新話、13回と14回も先日公開されました。15回も入稿したよ!


と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼちと。こっちも更新せなあかんなー。


旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)

あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

秋。体も気持ちもしんどくなりがちやけど。皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気で。


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