ふじたももえ

きみのために、つぎはぎの城壁

ふじたももえ

きみのために、つぎはぎの城壁

マガジン

  • 美術館めぐり

    美術館レポをまとめています。展覧会を見て私が想像したことや、イラストもあります。

  • 和菓子めぐり

    これまで訪れた和菓子店レポ、デパ地下の和菓子レポなどのまとめです。 せわしない日常のさなか、すっと心を和菓子にうずめて。

最近の記事

一歩踏み出し姫になるカフェ

 カフェ巡りnoteをやっている割には、一度カフェに入るのに、ひどく決心がいるタイプの人間だ。  なにせ貧乏性。日々「これ買おうかな?」からの「やっぱりいらないわ」となる。節約はいいことだけれど、度が過ぎると何も冒険しなくなる。  その上、カフェにはまっさらな心で入りたい、という希望があるのだ。気がかりな予定や、課題のあるもやもやの心で入りたくない。ところが、「就活」という少なくともここ1年はずっと気を病まねばならない行事があるので、まっさらな心など到底作れない。  そんなわ

    • 病院とセコイヤ

       ベトベトのセコイヤでも、ご褒美になり得るんだ。  私の地元は、まさにド田舎だ。耳鼻科や皮膚科、それに小児科なんて、近くにはない。  だから小学校低学年の頃、具合が悪くなった時には、母が仕事を早く切り上げて、車で片道30分かかる、街の病院に行っていた。妹(私より体が弱く、小児科の常連)の具合が悪くなった時も、私は病院についていっていた。  今なら分かる、母のしんどさが。けれど当時の私は、「普段学童にいる時間に、街に出られるんだ!」とウキウキな気分だった。  診療自体は、楽し

      • IS:SUEというグループのRINちゃんを描いてみました! デビュー曲「CONNECT」は、かっこいい女性戦士的なコンセプトながら、間に挟まるRINちゃんのキュートな歌声がクセになります!

        • ゲリラライブとイメチェンの夢

           ゲリラライブだ、という誰かの声を聞いて、私は外に飛び出した。  日暮れ、午後6時の街角。彼はいた。運動会で校長先生が話しているような台の上に、あぐらをかいて座っている。  彼は、もう歌い出していた。しかしみんな歌を聴くどころではなく、阿鼻叫喚。ライブで2度と取ることができないような、最前列に陣取った私も例外ではない。それでも彼の歌は、太く、力強く、まっすぐこちらに向かって届く。  うざったい黒髪がたなびいていた。群青色でペラペラの着物が、逆に彼の高級感を際立たせる。琵琶を持

        一歩踏み出し姫になるカフェ

        マガジン

        • 美術館めぐり
          5本
        • 和菓子めぐり
          4本

        記事

          残骸から掬う火

          注:『華氏451度』の軽いネタバレを含むよ  ディストピア小説家は凄い。往々にして、社会構造をよく観察して執筆を行なっているから。どの時代の人でも、「これは今の世界に違いない」という心持ちになる。  今回読んだ本『華氏451度』もそうだ。「赤狩り」の時代に書かれた、というこの本に登場する「テレスクリーン」の機能は、スマホにそっくり。頭を使わなくても、私たちを色々楽しませてくれる。けれど、コンピュータや携帯電話が誕生した時代にも、同じようなことが言われて嘆かれていたのだろうな

          残骸から掬う火

          鉄の因果、死にきれぬキミ

           平沢進の企画アルバム「突弦変異」を初めて聴いた。2010年に発売されたアルバムである。彼がP-MODELというバンドをやっていた頃の曲が、10曲ほどアレンジされて収録されている。  初聴…といいつつ、このアルバムに入っている曲は、一度はどこかしらで聴いたことがある曲ばかり。というのも、最近の平沢のライブでは、この「突弦変異」からの選曲がとても多いのだ。  だから、ある曲を聞けばライブの戦闘シーン(平沢は物語仕立てのライブもやっているのだ)が浮かび上がり、またある曲はついこ

          鉄の因果、死にきれぬキミ

          柴田ケイコさん日和

           少し足を伸ばして普段行かない図書館へ、その目的は絵本コーナー、柴田ケイコさんの本を読むこと。  柴田ケイコさんといえば、大流行中の「パンどろぼう」!   私も、私の周りの人々もパンどろぼうが大好きで、しばしば会話に登場している。  では、柴田さんのパンどろぼうシリーズ、それから他の絵本にはどんな魅力があるのか?今回5冊を読んで、いろいろ考えてきた。 パンどろぼうvsにせパンどろぼう 柴田ケイコ『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』KADOKAWA、2021年 ・パン屋さ

          柴田ケイコさん日和

          海底機械は知っている(作文)

          海底機械は知っている。 くらい海の底は、世界のぜんぶが溶ける場所だもの。 海底機械は、なんでも知っている。 きみは、火のかなしさを知っている? 火はね、すごいんだよ。 ぼうっと燃えれば、ぜんぶが更地。 煌々として、誰もが見とれる。 ひとは火が、好きなんだね。 でもね、世界には、火をだまして使うやつらがいるよ。 少し昔には、 魔女を燃やす、魔女がりの火。 泣く女の子の下で、火も泣いていた。 今は? 今日もどこかで、火が泣いている。 今も昔もたいして区別のない海底

          海底機械は知っている(作文)

          いざ幕切り期待のイタリアへ

          「ただ始まりの幕を切るキミが居た」 https://m.youtube.com/watch?v=wHZmpB3egGE    平沢進という音楽家の曲「現象の花の秘密」の一節だ。曲調とも相まって、この歌詞を反芻するとなんとも開放的な気持ちになる。平沢のライブでは実際にチェーンソーで「幕」を切りながら演奏されたという面白いエピソードもあるが、今回するのはその話じゃない。  この歌詞を読むと、思い出す芸術家がいるのだ。  その名も、ルーチョ・フォンタナ。大原美術館で始めて彼の作

          いざ幕切り期待のイタリアへ

          最近ベルセルク読み始めた いま黄金時代に入ったところ ベヘリットちゃんが案外癒し系キャラなのが驚き 自分の中でいい閑話休題になってる まあきみのせいでベルセルク世界は大変なことになってるんですが…

          最近ベルセルク読み始めた いま黄金時代に入ったところ ベヘリットちゃんが案外癒し系キャラなのが驚き 自分の中でいい閑話休題になってる まあきみのせいでベルセルク世界は大変なことになってるんですが…

          いつか飛ぶためのカフェ

           最近読み始めた雑誌、『オズマガジン』。  隔月号となったこの雑誌の最初の特集は「居心地のいい店、東京の居場所」だ。  自分の居場所になるような、何度も通いたくなるような居心地のいい店を集めて、その店の背景情報を丁寧な言葉で紡いだ特集は、読んでいるだけで心地よい。  同時に、私は「居住地である岡山の「居場所」はどこだろうか?」とも考えた。  ふと思い浮かんだのが、今回2回目の来訪となったカフェ、「うのまち珈琲店」だ。 https://www.instagram.com/p/

          いつか飛ぶためのカフェ

          最近読んでる本とか、よく見ているyoutubeとかで、やたら餃子に遭遇する気がします。 発作レベルに餃子が食べたいです。餃子のはねが食べたい、餃子のはねとなって餃子のもとに飛んでいきます(?)

          最近読んでる本とか、よく見ているyoutubeとかで、やたら餃子に遭遇する気がします。 発作レベルに餃子が食べたいです。餃子のはねが食べたい、餃子のはねとなって餃子のもとに飛んでいきます(?)

          そして二条は追い続ける:『とはずがたり』感想

           大学受験期、模試の古典で読んだ後、どうしても内容が心に引っかかった物語があったんです。  模試の解説文で物語のあらすじを読んで、何だこれは!?全部読んだら絶対面白いじゃないか、と思いながらも、3年が経過。  最近ふと思い出し、読んでみよう、と思い立ったのが、後深草院二条『とはずがたり』(佐々木和歌子訳、光文社古典新訳文庫、2019年)です。鎌倉時代の、宮廷周りの物語になります。 あらすじ(自分なりに!)  14歳の二条は、兼ねてより可愛がってもらっていた「御所さま」こと

          そして二条は追い続ける:『とはずがたり』感想

          メロン×和菓子の魔法!:源吉兆庵「メロンふくさ」

           源吉兆庵のHPを見ながら、何となくずっと気になっていた「メロンふくさ」。  メロン味のお菓子が大好きな私。  メロン×和菓子って、一体どんな味なんだ…?ということで、デパ地下に寄った際に購入! 見た目  透け感のあるパッケージは、じんわり熱い今の季節にぴったり。どこか爽やかな気分にさせられます。  緑一色で描かれた、素朴な印象のメロンも可愛らしいです。  風を開けた瞬間ふわっと広がるのは、あの大好きなメロンの香り…!  それに加えて、あんこの甘い香りも混ざって漂って

          メロン×和菓子の魔法!:源吉兆庵「メロンふくさ」

          無機質で、あたたかい:「小林正和展」レポ

           先日、岡山県立美術館で開催中の特別展「小林正和とその時代ーファイバー・アートとその向こうへー」を見てきました! ファイバーアートとは?  この展覧会を見るまで、ファイバーアートとは何ぞや?と全く何も知識がなかったのですが…。  ファイバーアートとは、現代芸術のいち潮流です。そして、日本におけるファイバーアートの第一人者、小林正和が今回の特別展の主人公になっています。  と頭では理解しますが、どんな芸術作品なのかあまり想像できない…?ということで早速展示室へ! ファイ

          無機質で、あたたかい:「小林正和展」レポ

          大事な予定が終わって、やっとお絵描きなど楽しんでいるところです noteもぼちぼち更新していかなきゃね 今はまだ不器用でどちらかしかできませんが、今後は予定の片付けと趣味の両立もできるようになりたいな…と思います

          大事な予定が終わって、やっとお絵描きなど楽しんでいるところです noteもぼちぼち更新していかなきゃね 今はまだ不器用でどちらかしかできませんが、今後は予定の片付けと趣味の両立もできるようになりたいな…と思います