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「目標管理」っていう呼び方やめよ?

そこの、事務系管理職のあなた。私は知っている。
事務職のマネジメントで期初に立ちはだかる、「目標管理」の障壁を。
あいまいそのもので形骸化している、
そもそも経営層が見ているのかどうかすらあやしい、
でも提出しなければならない、事務職の目標管理シート。
ああ、あなたの会社もそうですか。・・・お疲れ様です。

そもそも目標管理っていう呼び方自体、やめた方がいいのではないだろうか。あまりにも、経営側が意図するものと、社員側が持つイメージが違いすぎている気がする。
社員側は目標管理と言われると、会社から出せと言われるからしぶしぶ提出する、という意識なのに、変に自主性が前に出て押しつけがましく感じる。
はい、私がそうでした。

事務職の地雷

突然だが、事務職のモヤモヤ苦労の例を一つ、紹介したい。
少し前、家庭での「名もなき家事」が話題になっていたが、それと同じことは会社の中でもある。
特に営業出身の経営者によくありがちなのが、「名もなき仕事」への理解のなさ。事務職自身も、「それって目標にしていいのか?」と自分たちでさえ疑問を持ってしまう。でも実際に仕事中に時間をかけているのは「名もなき仕事」が大半だから、体のいい別の目標を立てても達成できず、結果として評価が低くなる、という悪循環を引き起こす。

こういう事情を知らずに、事務職に対し下働きのような意識を持っている経営者もいる。
もしあなたが経営者だとして、以下の質問に答えられるだろうか。

1.毎朝、就業開始に間に合うようにエントランスを開けている人は誰?
2.コピー機が壊れた時、どこに電話すればいい?
3.会議室の使用予約を社員がどうやって取っているか知っている?
4.郵便物の整理や配布、その他庶務がきちんと滞りなく進むための管理・運用について、「頭」を使っている人は誰か知っている?

必要だが軽視されがちな「名もなき仕事」。だが、そうした仕事をしてくれる人を軽視し、周りにもそれを許すと、とたんに組織の根腐れが始まる。

ここで間違ってはいけないのは、そんな事務職の彼らに伝えるべきなのは「感謝」ではないこと。
上っ面の感謝なぞ、他の社員から腐るほどもらっている。
無意味に感謝されたところで、興ざめなだけだ。
内心で、「お礼はいいから給料上げろ」と思われるのがオチ。
お礼を言ってほしくて仕事をしているわけではないし、経営者だって同じだから、本音じゃないのはすぐわかる。

経営層から事務職に向けて必要なメッセージ、それは「認知の知」。
もしこれを読んで、事務職との関係性に危機感を持った経営者がいたら、まずは現場をよく見て、「あなたはほかの誰かではできない仕事をしていると、私は知っている」ということを、自分の言葉で伝えてほしい。
「ありがとう」はむしろ、地雷である。

目標管理=会社との約束

目標管理からちょっと話が逸れてしまった。
仕事は、お金をもらってするもの。何をしてくれるかわからない人にお金を払えないのと一緒で、私はあなたたちからこれだけの給料をもらうので、1年間でこういうことをやります、と言う必要がある。だから、目標管理が必要になってくる。お金をもらうかわりにどんな役務提供をするのか、会社に約束するわけだ。
逆に、お金を払ってするのは勉強。なぜなら好きなことをしてもサボってもいいから。
意外とこの違いについて、はっきり言わないと理解できない新卒社員が多かった。「この環境では成長機会や学ぶ機会がない」と主張し、給料に見合った動きとは何かを認識できない。そう言っている時間も、給料が発生していますよっと。

だから、「目標管理」なんて押しつけがましいネーミングはやめるべきなのだ。わかりやすく、

今年の給料に対する「会社との約束」シートを作ってください。

みたいな感じで。会社と個人が対等な感じがするし、誰もこれをやっつけで作ろうとは思わないだろう。

給料を上げるための考え方

それを踏まえて、自分の給料を上げていこうと思ったらどうするか?
自分を雇い、「投資」しているのは会社。会社が私に払っている給料が投資額だ。私はそれに対して、どれだけのパフォーマンスを出しているのか?
株価のように自分が一つの銘柄としてチャートがあるとしたら、どんなチャートを描いているだろうか?

パフォーマンスが高ければ、さらに投資しよう、という方向になるのは当たり前。会社からさらなる投資(給料)を自分に呼び込むためには、今何を会社と約束するべきなのか。どんな期待値で自分のチャートを形成すべきか。そうやって、給料を上げるための視点も踏まえて、会社との約束内容を決めていけばいい。
いかなる段階でも、投資している側、されている側の視点を失わないことだ。会社にとって雇用は、一種の投資だからだ。

事務系管理職の心得

なんだかこう書くと、管理職からは「人間味がない・・・」という声が聞こえてきそうだ。しかし、だからこそチームビルディングが必要となるわけで、目標管理や評価とは分けて考えるべきだ。あくまでも雇用という会社と社員のビジネス契約に対し、管理職は会社側と社員の仲介人になればいい。
その社員の能力と会社が求めるレベルとの両方を理解している上で、「部下と会社の約束内容」をまとめる。
それができるのは、管理職のあなたしかいない。

もちろん実践では、100%実行できる場合も、そうでない場合もある。
今更だが、自分が管理職時代にこうした考えを言語化して、きちんと認識できた上で部下と対峙していたら、もっと上手にマネジメントできていたかもしれない、と思うこともあったり、あったり・・・。

#仕事観 #ビジネス #チームワーク #チームビルディング #目標管理 #事務職 #管理職 #マネジメント


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