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渚にて(著:ネビルシュート)【読書紹介も終末を迎え、かくて地上にはパンジャンドラムだけが残った】

終末もの。
核戦争もの。
核戦争による人類滅亡、世界の週末を物悲しくもメランコリックに書いた小説であり、同系列の作品としては最古のものではなかろうか?
これ以前に終末ものなんてあったっけ?

原作は小説で映画化もされました。
どっちにしろ50年代。
リメイクもされたようですが、ここでは紹介しません。

そして忘れてはいけないのは、
著者のネビルシュート先生は、
あの役に立たなかったことで有名な超秘密兵器パンジャンドラムを創った人でもあるということ。

作者のイメージが、あまりにも変わりすぎだ。
いや、その話題から離れよう。
当記事はあくまで「渚にて」の紹介だ。

****

あらすじとしては、
アメリカの原子力潜水艦がニュージーランドに入港してくる。
北半球はすでに放射能で連絡が途絶えているが、
南半球はまだ放射能の雲がやってきていないので、
まだ人類の生存に適する世界だ。
逃げるとしたらここしかない。

しかしそれも時間の問題だ。
北半球を覆った放射能雲は、時間と共に南半球にも拡散してくるからだ。
最後に至るまでの時間を、遅かれ早かれ待ち続けるだけだ。
もう戦争は停止している。
アメリカ潜水艦のクルーは、ニュージーランドの現地民と交流して。
つかの間のロマンスを夢見たり。
穏やかな生活を営もうと努力したり。
あるいは北半球から途絶えがちに聞こえる電波送信に最後の可能性を見いだして、
潜水艦で探検調査に向かう計画に一縷の希望を託したりする。

しかし、最後の時は訪れ、愛し合うふたりは別れ、
世界は悲しくも静かに終焉を迎える。

という終末ものの話。
詳しいあらすじはこちら。

******

この小説は核兵器による人類絶滅の可能性を、
一般社会に啓蒙しようとしたのが意図なのだろう。
いや、そう決めつけてしまっていいのかどうかわからないが、

核の時代になって、
ようやく終末ものというカテゴリが登場したことは事実だ。

人類が自分たちの終わった後の世界をイメージできるようになったことは、
創作の世界では当然ながら影響を与えた。
いや、そんな話をしている場合ではないのかもしれないが、
ま、とにかく。

我々が影響を及ぼすことは大して期待できないだろうけども、
終末もののテンプレを知っておくことは、
たとえ人類の歴史が本当にいつか終末を迎えたとしても、
きっと何らかの意味があるはずだ。
と私は考えている。
終末ものというカテゴリが登場したことは、
人類の歴史そのものに対して、
若干の微細な影響を与えるかもしれない。

後は、皆さんがどう解釈されるか次第だ。

そして忘れないように。
しんみりした気持ちになったところで、パンジャンドラムを思い出すのだ。

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