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楽しい時間 #シロクマ文芸部

 書く時間は私にとって一番楽しい時間だ。心が癒される唯一の時間でもある。
 高校ではクラスメイトたちにいじめられている。そんな私のただひとつの楽しみがこの、書く時間。

 あのひとたちは私を『暗い』という理由でいじめる。そんなことは理由にもならないのに。
 私は賑やかさや騒がしさよりも、静かさを好んでいるだけだ。
 クラスの中でやたらと騒ぐだけで、実際には陰湿ないじめをする彼ら彼女らのほうが、私からすればよっぽど暗い。

 私が書くようになったのは、今までに読んできた膨大な書物のおかげ。様々な国の様々な書物のおかげで、私は楽しみと癒しを手に入れることができた。
 私をいじめるだけのあのひとたちは、一生この楽しみを知ることはない。もっとも、あのようなひとたちはこの楽しみを理解できないだろうし、どうせ『暗い』というおなじみの言葉でバカにし大笑いするだけだろう。

 先日から私をいじめているグループの数人が、怪我や病気によって次々と学校を休んでいる。それすらも「かわいそー」というだけで、私をいじめている間にはそのことを気にかけることもない。

 明日は我が身かもしれないのに。

 
 そう。怪我や入院の原因は私。私の、呪い。
 呪いだなんて信じられないかもしれない。信じてもらえなくても構わない。けれど、呪いは事実だ。

 書く時間は呪いの時間。一番楽しい時間。癒しの時間。

 ふふふ、楽しい。楽しい。なんて楽しいんだろう。書く時間は、本当に楽しい時間。
 ああ、私はこんなにも楽しんでいる。わくわくしている。思わず笑顔になってしまう。
 あのひとたちは、このことを知ってもまだ私のことを『暗い』と思うだろうか。



#シロクマ文芸部 企画に参加しました。


読んでいただきありがとうございます。

2023.07.29 もげら


シロクマ文芸部 企画参加ショートショート:
街クジラ お題:「街クジラ」
今日は誰の日? お題:「私の日」
私の日制度、導入 お題:「私の日」
鍵穴を探している お題:「消えた鍵」
ピアノの秘密。 お題:「消えた鍵」
時計の針が止まるとき、それは食事の時間 お題:「食べる夜」

練習 ショートショート:
君と何をしようかな
台風はアイスクリームを食べる
ペンギンのドライブ


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