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君となにをしようかな 【SS】

「ねえ、君はどんな食べ物が好き?」

男の子は興味津々といった様子で問いかける。
その相手はロボットだった。このロボットは彼の父親の友人が創ったものだ。
今日は彼の両親が出かけている間、ロボットが男の子の世話をすることになっていた。世話といっても、食事を用意する以外は彼の話や遊びの相手になることがメインだ。


「すみません。私はニンゲンと同じように食物を食べることができません」
「ああー、そっかぁ。ごめんね。うーんと、じゃあ、食べてみたいなってものはある?」

次の問いにロボットはしばし沈黙する。
ロボットでも考えることはあるんだ、と男の子は思う。さっきはいかにも“ロボットらしい”答えだったのに不思議だなぁ、とも。

数秒ののち、ロボットが答え始める。

「チーズケーキでしょうか。博士の奥様がよく作っています。博士はチーズケーキが好きだからです。と言っても、博士は奥様の作ったチーズケーキしか召し上がりません。博士がとてもおいしそうに召し上がるので、私も興味を持ちました。奥様の作るチーズケーキは絶品だと博士は教えてくれました」

「チーズケーキ! ぼくも好きだよ。おいしいものが食べられないのは、少し、残念だね。ぼくとも、博士とも、一緒に食べられたらいいのにね」

男の子は残念そうにしてから「いつか食べられるといいね」と笑った。


「うーん、うーん、君はなにができるんだろう? あっ、そうだ! ロボットだから、運動は得意?」
「得意——、といえるのかはわかりませんが、一通りの運動はできるように設計されています」
「わあ、すっごいね!」

男の子の目がキラキラと輝く。
「じゃあさ、じゃあさ、サーフィンしよう! ぼくはまだへたくそなんだ。いつもパパと練習してるんだけどね。ぼくが失敗しても、君なら助けてくれるでしょ?」

今、彼らが居る場所は海辺にある、いわゆる別荘であった。
彼らの目の前には綺麗な色をした海が広がっている。

男の子の提案に、ロボットは再び沈黙した。
その様子を不思議に思っていると、ロボットが言う。


「サーフィンはスポーツとしてプログラムされています。ですが、どうしてもできません。私はロボットなので、水に濡れると私が壊れてしまいます。ぼっちゃんを助けるどころではなくなってしまいます」


疑う余地のないロボットらしさと、少しの人間らしさを確かに感じて男の子はケラケラ笑った。

「パパとママが帰ってくるまでに、君とできることをたくさん、考えよう」




Bing AI に3つの名詞を出してもらって、それをもとにショートショートを書いてみました。



読んでいただきありがとうございます。

2023.07.09 もげら

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