もものたね

20代 本好き

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さくらももこ『もものかんづめ』読書感想

大好きな作品。 心を落ち着けたい時によく開いています。 受験の待ち時間に読んだのも、今ではとてもいい思い出です。 今回、久しぶりに再読したので感想を書いてみようと思います。 作品紹介 「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!! 著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。 こんな人におすすめ ○クスッと笑える話が好きな方 ○ 普段あ

    • 加藤諦三『だれとも打ち解けられない人』読書感想

      audibleで何気なく聴読してみた作品。 ハッとさせられる言葉が多かったので、感想を書いてみようと思います。 作品紹介なぜ人に甘えられなくなったのか? なぜ自分を偽ろうとするのか? なぜ弱点を見せまいとするのか? なぜ我慢が活きないのか? なぜ、だれとも打ち解けられないのか? …… もしあなたが「うつ病性格」ならば、それは家庭環境で決まります。 だから「見捨てられる不安」に怯えるな! 一見すると自立しているように見えて、じつは他人にビクビク。つねに身構えてしまい、関係

      • 萩耿介『イモータル』読書感想

        父に借りて読んでみた作品。 物語というよりは、哲学書みたいな印象。 最初は読みづらかったのですが、何度か再読しているうちにストンと心に落ちるものがありました。 作品紹介 イントで消息を絶った見が残した「智慧の書」 不思議な力を放つその書に導かれ、降は自らもインドへと旅立った… ウパニシヤッドからショーぺンハウアー、そして現代へ。 ムガル帝国の皇子や革命期フランスの学者が時空を超えて結実させた哲学の神髄に迫る、壮大な物語。「不滅の書」を改題。 こんな人におすすめ

        • カミュ『異邦人』読書感想

          初めてのカミュ。 親戚から貸してもらったのをきっかけに読んでみました。 序盤は読みにくかったのですが、中盤〜終盤は引き込まれるものがありましたね。 多くの人に愛読されているのも納得です。 今回は、そんな『異邦人』の感想を書いてみようと思います 作品紹介私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた。 太陽の眩しさを理由にアラビア人を殺し、死刑判決を受けたのちも幸福であると確信する主人公ムルソー。不条理をテーマにした、著者の代表作。 母の死の翌日海水浴に行き、女と関

        さくらももこ『もものかんづめ』読書感想

          星新一『殉教』読書感想

          『ようこそ地球さん』に収録されている短編。 まず思ったのは「殉教」ってなんだろう?でした。 あまり聞き馴染みのない言葉ですよね。 調べてみると、「自分の信ずる宗教のために命を捨てること」だそうです。 ちょっと不気味ですよね。 尻込みしながらも読了したので、感想を書いてみようと思います。 作品紹介文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している。 人類の未来に待ちぶせる悲喜劇

          星新一『殉教』読書感想

          藤原伊織『ダックスフントのワープ』読書感想

          『テロリストのパラソル』に続き、2作目の藤原伊織さん。 なんだか不思議な題名ですよね。昔、祖母の家でダックスフントを飼っていたこともあって、ずっと気になっていました。 今回オーディオブルで聴読したので、感想を書いてみようと思います。 作品紹介大学の心理学科に通う「僕」は、ひょんなことから自閉的な少女・下路マリの家庭教師を引き受けることになる。 「僕」は彼女の心の病を治すため、異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始める。 彼女は徐々にそのストーリーに興味を持ち

          藤原伊織『ダックスフントのワープ』読書感想

          今村夏子『こちらあみ子』読書感想

          大好きな今村夏子さんのデビュー作です。 でも、あんまり読み返したことはないんですよね。読んでいるとつらくなるというか……それだけ訴えかける力が強い作品です。 今回はそんな『こちらあみ子』の感想を書いてみようと思います。 作品紹介あみ子は、少し風変わりな女の子。 優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。 純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示

          今村夏子『こちらあみ子』読書感想

          富安陽子『かくれ山の冒険』読書感想

          小2の頃に読んで、衝撃を受けた作品。 この作品に出会ってから、読書にはまったと言っても過言ではありません。 小学校時代は、富安陽子さんの本ばかり読み漁っていましたね。児童文学作家さんなのですが、大人になった今でもたまに読み返しています。 今回は、そんな『かくれ山の冒険』の感想を書いてみようと思います。 作品紹介いまどき「神かくしにあった」などという人は、まずいないでしょうが、迷子になったり、急にお母さんの姿を見失ったとき、心細さも手伝って、見なれた風景が、まるで見知ら

          富安陽子『かくれ山の冒険』読書感想

          町田そのこ『溺れるスイミー』読書感想

          『52時ベルツのクジラたち』『宙ごはん』に続き、3作目の町田そのこさん。 町田そのこさんは、ほっこりと心が温まる作品が多いですよね。 今回は『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』に収録されていた『溺れるスイミー』の感想を書いてみたいと思います。 作品紹介思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋。そしてともには生きられなかったあの人のこと。 大胆な仕掛けを選考委員の三浦しをん氏辻村深月氏両名に絶賛されたR-18文学賞大賞受 賞のデビュー作「カメルーンの青い魚」 す

          町田そのこ『溺れるスイミー』読書感想

          星新一『ボウシ』読書感想

          ショーショート作家として有名な星新一さん。 短いながら、色々と考えさせられる作品が多いですよね。 今回は、『きまぐれロボット』に収録されていた『ボウシ』の感想を書いてみようと思います。 作品紹介お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買入れた。オールマイティのロボットだが、時々あばれたり逃げたりする。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが……。 ショート・ショートでは第一級の作者が綴る、大人と子供のための童話。表題作他35編を収録

          星新一『ボウシ』読書感想

          三島由紀夫『金閣寺』読書感想

          言わずと知れた名作。 何度か読み返したのですが、正直未だによく分かっていません。 みなさん言われていますが、難解ですよね。私は三島自体が初めてだったこともあり、何度も挫折しそうになりました。 それでも自分なりに色々考えながら読んだので、感想を書いてみようと思います。 作品紹介「美は……美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ」 吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 現実の金閣放火事件に材を取り

          三島由紀夫『金閣寺』読書感想

          俵万智『サラダ記念日』読書感想

          俵万智さんの第一歌集。 確か小3か小4の時の国語の教科書に載っていて、それがきっかけで好きになりました。歌集を買ったのは大人になってからですが、いつ読んでも味わい深さがありますよね。 今回はこの歌集の中でも、特に好きな2句の感想を書いてみようと思います。 作品紹介「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 日常の何げない一瞬を、新鮮な感覚と溢れる感性で綴った短歌集。生きることがうたうこと。 従来の短歌のイメージを見事に一変させた傑作! こんな人におす

          俵万智『サラダ記念日』読書感想

          村上春樹『品川猿の告白』読書感想

          正直、村上春樹さんの作品ははあまり読んだ事がありません。 ちゃんと読んだのは『ノルウェイの森』くらい。 なんとなく私には合わないのかなあと思っていたのですが、『一人称単数』に収録されていた『品川猿の告白』は面白かったです。 作品紹介人生にあるいくつかの大事な分岐点。そして私は今ここにいる。 ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。 同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。 鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告

          村上春樹『品川猿の告白』読書感想

          村田沙耶香『御伽の部屋』読書感想

          村田沙耶香さんを知るきっかけになったのは『コンビニ人間』 その世界観にどっぷりはまり、『地球星人』『マウス』と少しずつ読んでいるところです。 今回は『授乳』『コイビト』と一緒に収録されていた『御伽の部屋』の感想を書いてみようと思います。 作品紹介群像新人文学賞デビューの著者、初の作品集。優秀作受賞の「授乳」はじめ3作品を収録。 日常生活の細部を新しい感受性・感覚で描く。「小説を書く原点」(選考委員・藤沢周氏)をもった著者のデビュー作。 こんな人におすすめ○独特の世界

          村田沙耶香『御伽の部屋』読書感想

          太宰治『斜陽』読書感想

          『走れメロス』『人間失格』『女生徒』『燈籠』に続き5作目の太宰。 中学生の時に読んだ『人間失格』がよく分からず、以来敬遠していましたが、最近少しずつ読むようになりました。 『人間失格』も再読したのですが、大人になった今だからこそ響くものがありますね。 本作にも期待が高まります。 作品紹介「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の長編小説。初出は「新潮」[1947(昭和22)年] 母、かず子、直治、上原の四人を中心として、直治の「夕顔日記」

          太宰治『斜陽』読書感想

          谷崎潤一郎『刺青』読書感想

          ずっと読んでみたかった短編。 前に読んだ『痴人の愛』が思いのほか読みやすかったので。 同書に収録されていた『少年』『幇間』『秘密』『異端者の悲しみ』『二人の稚児』『母を恋うる記』も面白かったです。 作品紹介肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が、年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。 性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」 作者唯一の告白書

          谷崎潤一郎『刺青』読書感想