【読書感想文】 2人にしか分かり合えない真実と愛の物語 『流浪の月』
帰りが遅くなり、夜道をひとりで歩く時は、頭の中で決まって流れる曲があります。
それは、エレファントカシマシの『今宵の月のように』。
「くだらねえとつぶやいて〜♪」
と脳内再生が始まると、疲れていても足取りが軽くなりご機嫌になります。
周りに誰もいない時は、軽く口ずさんでみたりするので、知らず知らずのうちに防犯に役立っている可能性もなきにしもあらずです。
他に印象的な月の歌はないかと考えたところ、思い浮かんだのは、エレファントカシマシの『月夜の散歩』。
またエレカシかと言われそうですが、こちらも情緒豊かで良い曲なので、興味がある方は是非聴いてみてください。
累計売上39万部を突破したベストセラー小説
本日は、『流浪の月』(凪良ゆう 著)をご紹介します。
2020年本屋大賞受賞作
2021年7月の時点で、累計売上が39万部を突破したベストセラー小説です。
作品の力もあるでしょうが、本屋大賞の影響は凄いなと改めて感心してしまいます。
2022年5月に、広瀬すずさんと松坂桃李さんの主演で映画化されました。
2人にしか分かり合えない真実と恋愛ではない愛の絆の物語
この作品は、女児誘拐事件の被害者と加害者とされる2人にしか分かり合えない真実と恋愛ではない愛の絆の物語。
外野にいる人間が正義や善意、倫理観で事実だけを誇張させ、悪のレッテルを貼りつけ、いつまでも2人を苦しめ続ける様がやるせなくて心が押し潰されそうになりました。
私も知らず知らずのうちに自分の尺度だけで他者を判断しているのだろうと思うと、申し訳ない気持ちになります。
主人公の女性は自分では気がついていないのかもしれないけれども、誠実で優しい人なのでしょう。
しかし、そのせいで心身共に傷ついてしまう。
その様に途中で何度ももどかしい気持ちになったけれど、後半に事件の加害者とされる彼の真実を知り、終章で不安定ながらも光が見えたことは救いでした。
2人に穏やかな幸せが訪れることを願わずにはいられません。
P.S.
読了直後に書き留めた読書メモを開いてみると、「幸せの在処が分からない」と書いてありました。
現実世界であったならば、この2人のことを理解してくれて、手を差し伸べてくれる人がいると信じています。
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