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【読書感想文】 ひとりの偉人の一代記を読んでいるような壮大な物語 『舟を編む』

紙の辞書を使わなくなってどれくらい経ってしまったのだろうと考える今日この頃。

今や分からない言葉があっても、スマホで検索すればすぐに分かるという便利さに浸ってしまい、紙の辞書を手にすることはなくなってしまいました。

読書家あるあるだと思いますが、そんな私も子供の頃は、辞書を言葉を調べるだけではなく、読み物として愛用していました。

本編はもちろん、後ろの方にあるコンピューター用語やら、現代用語とか何とかいうところまで隅々読んでいたものです。

活字に飢えていたのでしょうか、それとも、成長期の脳が言葉を欲していたのでしょうか。

しかしながら、読み込んだ割にボキャブラリーが増えるわけではなかったことが残念でなりません。

日本アカデミー賞で最優秀作品賞受賞

本日は、『舟をむ』(三浦しをん 著)をご紹介します。

2012年本屋大賞受賞作

2013年に松田龍平さんと宮崎あおいさんの主演で映画化され、第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、第68回毎日映画コンクール日本映画大賞、第38回報知映画賞作品賞、第26回日刊スポーツ映画大賞作品賞など数々の賞を受賞しています。

これを書きながら、映画館に観に行ったことが懐かしく思い出されました。

松田龍平さんが主人公のイメージにぴったりで、素晴らしかったです。

ひとりの偉人の一代記を読んでいるような壮大な物語

この作品は、新たな辞書の編纂に情熱と人生をかけて真摯しんしに臨む人たちを描いた物語。

ひとりの偉人の一代記を読んでいるような壮大な物語でした。

子どもの頃から使ってきた辞書が、驚くほど長い年月と、たくさんの人々の労力と熱意と試行錯誤の末に生まれてきたことを知り、その素晴らしさや奥深い言葉のひとつひとつに愛おしさを感じました。

主人公は群を抜いていますが、登場人物たちも皆個性的で、その時々の想いに共感したり感動しながら読むことができて楽しかったです。

辞書というのはたくさんの言葉と、携わった人たちの想いや人生を乗せた舟であり、完成したその時からまた新しい航海が始まります。

スマホで簡単に検索できてしまいまう今だからこそ、紙の辞書をもっと大切にしなければいけないと感じました。

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P.S.

主人公の15枚に渡るラブレターが最高です。

摩訶不思議な気持ちの盛り上がり方に思わず笑ってしまいました。

私も1度読んだだけでその純粋な想いを理解する自信はないけれど、貰えたら嬉しい。

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