コミュ力を失った話
私は元教員です。
子どもの頃からの夢でした。(めっちゃぼんやりとしたものだったけど)
教員というのは当然、コミュニケーション能力がめちゃくちゃ問われる。
相手は子どもだけだろぉ〜と思われがちですが、保護者対応に始まり、行事があれば外部の方との連絡・連携、実習に行かせる(私の元職場はこどもたちに実習に行かせるコースがありました)とあれば、その先々への事前・事後挨拶、塾への営業などなど。
教育実習の時に、教官から「授業は、教員の職務の三割にも満たないから。それ以外が圧倒的に多いからね」と説明があった。
まさにその通り。なんかもうずっと電話してたり、一日営業に出てる先生もいる。あらゆる世代に対応できる能力がすごく必要だなぁと思った。
教員を志してるけど人見知りするし(周りにはそう思われてなかった)、説明下手。
そんな私でも、上記の日常を送っていくことで、一般的な大人のコミュニケーションができる人になれた。
今回はそんなコミュニケーション能力のお話。
◇喋る気力
うつになると、まぁ喋る気力がめっちゃなくなる。(個人差はあると思います)
私の場合は家族ですら一緒に過ごすことが苦痛で、LINEも返せないし、声を発することが億劫。
歌うことも大好きだったけど、それもあんまりせず。
歌えるようになった経緯はこちら👇
入院以降も、なんかもう喋るというか起きている体力もなくて、そんなのだから主治医からの質問とかもめっちゃぼんやり答えていた。
よく聞き取ってくださったなぁと思う。
◇あんまり喋らないと、人ってどうなるのでしょうか。
私の場合はうまく言葉を繰り出せなくなって、説明がめちゃくちゃ下手になった。
例えば、「私は今朝からずっと頭が痛くて、薬も飲んだけど効果がありません。1時間ほど昼寝したらちょっとだけマシになりました。食欲は7割くらい。」という何の変哲もない、自分の体調を伝える文章。
これが言えなくなる。まじで。
笑えないくらいに、言葉が出てこないし、時系列に言えない。
しっちゃかめっちゃかな文章ができあがっていく。
ほんとよく看護師さんや主治医は聞き取って理解してくれたなぁと思う。
(それが仕事といえばそれまでだけど、それでもすごいストレスだと思うよ)
でもまぁ、現場から離れちゃったし、コミュニケーションとる相手も限定されてるからしゃぁなー…と思えるようには数ヶ月かかった。
◇人の目を見て話せない
そんでもって、元々、人の目を見て話すことは苦手だった。
でも仕事をしていく上で必死に身につけた。けど、うつになっていくことで人の目を見ることがまた怖くなってきた。
そして、退職前後から、主治医、看護師さん、家族でさえも、人の目を見ることがもう完全に怖い、というかなんか無理。
直視ができなくなってて、いつもなんか視線を外して喋っていた。
これはうまく説明できない感覚なんだけど、こう…こう…呑まれる!みたいな?(説明下手くそか)
退院後、知人にあった時も目が合わせれなくてなんか申し訳なかったのを覚えている。
自信の無さの表れなのかな?知らんけど、という感じです。
目も合わせられない、上手に説明できない。
極限の所謂“コミュ力なし人間”が出来上がってしまったのだ。
こんなので将来やっていけるのか、ただただ不安のなか、自宅療養生活がスタートした。
◇どうやって克服しようか
当然生きていく上で、人の目を見て、思っていることをちゃんと説明する、という能力は必須です。できなきゃ生きていくのがちょっと厳しくなってしまう人生。
人生というゲームは常にハードモードだなぁと思う。
自分の体力がびっくりするくらい落ちていたことや、コミュ力も圧倒的に低下していたこと、退院してからもしばらくはまだ働かない方がいいと言われたこともあって、退院後はニート生活がスタートした。
また家族とだけのコミュニーケーション生活が始まった。
ついでにコロナも始まってしまったから、外出も控えていた。
転機が訪れたのは退院して半年後。
運動の習い事をしている妹が通っている整骨院に、体ほぐして行ってみてはどうか、と母に勧められた。
めっちゃ嫌がった。
だって知らんところとか行きたくないし、人怖いし。
お風呂入りたくない猫みたいにすごい抵抗しまくる私を整骨院に母は放り込んだ。
「ここの先生たちは優しいから。大丈夫。」
その通りだった。必要以上のことは聞いてこないし、でも言葉かけはすごく優しい。先生たちが同年代ということもあって、少しずつ同年代トークができるようになった。たどたどしい言葉も拾ってくれるので、ちょっとずつ安心できるようになった。
通って一年以上。
今では心許せる場所になった。
“他人”と話す“訓練”をした結果、アルバイトができるまでになった。
アルバイトをする時の云々はまた別回に書きます。
正直いうなら、まだ人とコミュニケーションをとる時は肩に力が入る。
意見をするときはドキドキするし、何なら目もしっかり合わせることはできない。
それでも、少しずつ、少しずつ回復しているのかなぁと思う。
でも無理に目を合わせて喋って、疲れちゃうくらいなら、まだできなくてもいいかな、と思う自分もいるし、主治医もそう言ってくれている。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、私ができる範囲のコミュニケーションの幅が広がればいいな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?