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今日の1冊 『レイシズムとは何か』

今週の1冊
 『レイシズムとは何か』 梁英聖

BLM運動に代表されるように、近頃頻繁に耳にするようになった『レイシズム』という言葉。

日本に住む皆さんはこう思ってませんか?
『日本は単一民族だから』
『日本には人種差別は無いから』
『対岸の火事でしょ』

それは違います。
日本には見えにくい、隠されたレイシズムが社会にこびりついています。
そして、欧米に見られるような『反レイシズム』のメカニズムに欠ける社会なので、
尚更たちが悪いのです。

簡単に言うと、
欧米は『レイシズムがあるという一般民衆の認識があるからそれに反対する運動が起こり、そしてそれをすり抜ける狡猾な新しいレイシズムが現れる』
つまりはいたちごっこで徐々に改善していくのに対して、

日本ははなから『無い、あるいは少ない』と思われているので、国や法、民衆の意識として、レイシズムに抵抗するものが無い。
だから平気に『善玉』の顔をしてレイシズムがのさばっている。

なので、日本はより深刻だよ、というのがこの本の主題ではありますが、
序盤にはそもそもタイトルの通り『レイシズムとは何か』という定義もしっかり成されています。

印象に残った言葉としては、
『レイシズムは人種化する』というものがあります。
『人種』というものが最初からあって、
それに基づいた差別が起こるのではなく、
生物学上人間には種類など無いのに、
レイシズムが『人種』というありもしないものを作り出している、ということです。

人種というものは当たり前にあって、違いを認め合おうよ、というスタンスが反レイシズムの取る当然の姿勢だと思っていた僕の考えが覆されました。
『そうか、人種というものがそもそも妄想に過ぎないのか』と。

本書の構成は、前半部分にタイトルの通り『レイシズムとは何か?』の定義をし、中盤にかけて欧米のレイシズムとの闘いの歴史や現状、後半にかけては日本のレイシズムの歴史と現状、未来への提言がなされています。

レイシズムは僕たちが思っているよりもずっと身近なところにある。
対岸だと思っていたら自分の家が燃えていた。
そんなことになる前に是非読んで欲しい1冊です。

#レイシズムとは何か  
#梁英聖

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