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たけしの死ぬための生き方★3【10冊読むまで帰れま10・7月④】これぞ幽体離脱

「たけしの死ぬための生き方」ビートたけし【評価★3】

※評価は独断と偏見、5段階

94年に起こしたバイク事故の回顧録と、毒舌コラムがセットになった本で、初版は1997年で20年以上も前。

当然ながらこの本の価値は、ビートたけしがバイク事故を起こしてから、生々しい記述で当時を振り返ることにある。

一度死線をまたがなきゃ、書けないことがある。当書の書き出しは、「ヌイグルミ」を例に、自身の体験を語っている。

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恐らく、手術室なのか、集中治療室なのか。傷だらけでボロボロな自身の「ヌイグルミ」を俯瞰している。

つまり、肉体と精神が分裂している、という状況らしい。これは、体験しないと分からない世界だ。こればかりは。

「いつ死んでもいい」という、ある意味達観していた、たけしはこの事故で大きく価値観を変化させた。

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生きながらえたことによって、たけしは「生きる意味」に向き合わなければならなくなった。なぜなら、脳はピンピンしていたからだった。


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ここまでの人生経験を積んだことがないから、想像もつかない。

自分の拙い人生の中だと、なくはない。
仕事で青森の下北半島を雪道の中、車を運転していた時だった。急ブレーキでスピンして、一回転。

その際、スローモーションになったのが印象的だった。

対向車線から車が来てなかったから、今生きているだけで、向こうから車が来ていたら正面衝突で即死していただろう。

でも、自身の肌で痛みを感じなかった体験だったからか、その後の死生観に変化はなかった。

そりゃ、そんな経験しないで生きていく方が良いに決まってるけど…。

ふと日々の喧騒の中で立ち止まって、生きる意味を考えようと思った一冊だった。

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